デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

クイーンのブルー・アンド・センチメンタルを聴いてみよう

2016-11-20 08:30:12 | Weblog
 宮崎正弘著「ウォール街 凄腕の男たち」(世界文化社)に、「10年後大統領選へ挑戦か?」のタイトルでドナルド・トランプ氏が紹介されている。発刊された1989年当時から大統領という目論見があったようだ。同書ではアメリカン・ドリームの体現者として不動産ビジネスの戦略を分析しているが、いわゆる仕手戦の名人でユナイテッド航空やホテル・チェーンのホリディ、百貨店フェデレイテッド等、売り抜けるタイミングの巧みさは舌を巻く。

 さて、トランプといえばドナルド違いでバードの「Royal Flush」にマル・ウォルドロン「The Dealers」、ウェス・モンゴメリー「Full House」、キャンディーズの「ハートのエースが出てこない」と何枚か思いつくが、選挙中から美貌の娘イヴァンカが話題になっていたので、クイーンのジャケットを選んだ。フランシス・ウェインの「The Warm Sound」だ。40年代にチャーリー・バーネットやウディ・ハーマンのファースト・ハードで活躍したシンガーで、この時代の楽団専属歌手が誰でもがそうであったようにスケールは大きい。ベイシー楽団の初期の作編曲家というよりもバットマンのテーマ曲で有名なニール・ヘフティの奥方でもある。

 エピックやコーラルにもアルバムがあるが、このアトランティック盤がベストだ。プロデュースは旦那だけありハンク・ジョーンズをはじめビリー・バターフィールド、ジェローム・リチャードソ、ン、アービー・グリーン、アル・コーンという歌伴の名手を揃えている。しかもメンバーを変えて2回のセッションだ。スタンダード中心の選曲で特にいいのが「Blue And Sentimental」だ。1938年にベイシーとジェリー・リヴィングストンが作曲したもので、当時はハーシャル・エバンスのテナーをフューチャーして大ヒットした。美しいメロディーにマック・デヴィッドが歌詞を付けたのは9年後のことだが意外にもヴォーカルは少ない。それだけにフランシスとヘフティの選曲眼が光る。

 同書で「ドナルド・トランプは、日本の対米投資の変化をいち早くかぎとり、日本のマネーを狙って次の手を打ってくるであろう」と結んでいる。経済と政治は別物だが手強い相手には違いない。選挙中の発言がそのまま政策になるとは考えにくいが、日米同盟、TPP、対ロシア等、どんなカードを突きつけてくるのだろうか。先日の安倍首相とトランプ氏の初会談で日米の信頼がより厚くなることを期待している。
コメント (6)
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