コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

映画企画 ライバル

2014-02-24 10:32:00 | スポーツ


彼女が泣きそうなときは、私もグッとくる」をポスターの宣伝惹句に使ってもいい。

タイトルはズバリ「ライバル」。意表をついて、キム・ヨナが主、マオは従。太陽のようなマオを周回する、冷たく輝く月のようなヨナのドラマ。

キム・ヨナである前に、大韓国民の代表であることを宿命づけられ、勝ち続けることだけを期待され、そのために最高難度のトリプルアクセルへの挑戦を禁じられた少女スケーターの悲劇。

W杯もオリンピックも征しながら、挑戦し続けるフィギアスケーターとしての理想と栄光はいつもマオに寄せられ、それを横目に007のテーマ曲でお色気演技を強いられるヨナ。

つねに倒すべき敵の筆頭であるマオは、苦しく厳しい練習をたがいに知るライバルであり、ともに絶賛と中傷を繰り返すメディアと国民感情に苦しめられる戦友でもある。

私は、キム・ヨナ、もうたくさん、と一度は引退してみたものの、結局は、最後の闘いに招集される。そして、ともに引退を前提とした最後の戦場、ソチ五輪へ。

過熱する報道、憶測飛びかう舞台裏。台頭する次世代の強敵たち。しかし、ショートプログラムの場で、ヨナはけっして自分が勝てないことを知った。マオは? 彼女は闘い続ける!ところが、なんと無残な16位! 青ざめた顔、震える肩、噛みしめる唇。光は輝きは消えた。

「どうしたの、マオ!」「私のライバルじゃなかったの?」「マオはもう気にしなくていい」「彼女はもうおしまいだよ」「日本にはもう切り札はない」「マオなどいてもいなくても、ナンバー1はヨナ、君だよ」

周囲の声はヨナを凍りつかせた。「マオを貶めるなんて、あなたたちは何もわかっていない。マオこそわたしの目標だった!」ジュニア時代から競い、トリプルアクセルとトリプルルッツと技は違えど、ともに相手の強さと自らの弱さと闘ってきた。Maoを否定することは、私の10年の競技生活そのものを否定すること。消えかけたヨナの闘志に火がともされた。

一度は投げかけたフリーに挑む決意を新たにするヨナ。しかし、その完璧な演技は、審判に減点される。冷笑を浮かべるヨナ。観客の拍手とブーイング。激高するコーチやスケート団体役員。そして、マオが静かにリンクへ滑り出した。目も覚めるようなブルーの衣装。ENDマーク。

最後のタイトルロールでマオのショートとフリープログラムのパフォーマンスが流れ、2人の過去にさかのぼる映像や写真のカットバック。ヨナとマオの微笑。この映画企画、5万円で売ります。日韓合作は無理だろうが、ヨナ役は韓国でオーデション。取材とスケート演技の習得に、最低、1年はかかるだろう。

お断り:この映画は実在の人物や出来事に基づきますが、あくまでもフィクションです。

(敬称略)

ソチ五輪が泣いた!

2014-02-21 22:24:00 | スポーツ
昨年のクリスマスに、真央ちゃん宮本武蔵説を書きましたが、真央ちゃんは負けても美しい佐々木小次郎でした。日本国内はもちろんですが、世界のスケーターたちから賞賛の声が寄せられ、とくに中国ではたいへん盛り上がっているようです。

前日のショートプログラムですべてのジャンプに失敗して16位となりながら、一夜明けたフリースタイルでは、トリプルアクセルをはじめ、6種8回のジャンプのすべてに成功する見事な演技。どん底から再起した美しきスケーターの物語に感動するのは当然です。

ただし、そうした佳話はなにも真央ちゃんに限ったことではありません。41歳にしてはじめてオリンピックメダルを二つも獲得した葛西選手をはじめ、ほかの日本選手たちにも感動の物語がありました。もちろん日本以外の国々の選手たちにも、たくさんの物語があるはずです。

日本国民はただ純粋に日本代表の真央ちゃんのがんばりに拍手したのですが、世界のスケーターたちや中国の人々は、真央ちゃんにそれ以上のものを見出したのかもしれません。ときにスポーツが実現する無垢な光といったものに、喝采を贈ったように思えるのです。いうまでもなく、同じ日に、「疑惑の判定」という闇を見せつけられていることと無縁ではありません。

ソトニコワは素晴らしい演技をしましたが、あきらかに、金メダルはキム・ヨナのものでした。プルシェンコのツイッターも、それを裏づけていると思います。



最後のロシア語はGoogle翻訳してみます。
おめでとう、アデリーヌ・ソトニコワ。ロシアのオリンピックチャンピオンの歴史の中で、初の女子フィギア金メダル! ブラボー

時系列でいくと下から上へ、①金のソトニコワへ「おめでとう」、②銀銅のキム・ヨナ、コストナーへ「すばらしいスケートをありがとう」、そして、③真央ちゃんへという順です。注目すべきは、②③の投稿間隔が、4:15~4:16 とわずか1分しかないことです。つまり、ソトニコワ以外の非ロシア選手3人へのコメントは、たぶんいっぺんに書いたものを分けて投稿したと考えられます。

②③をひとつの文章だったと考えれば、Maoへの賛辞が本論という構成になります。3つを読み比べてみると、真央ちゃんへのツイッターが、ほかとは異質に熱狂的で肉声に近いことがわかります(ほかはフルネームなのに、Mao、ですもんね)。プルシェンコの一連のツイッターを、ソトニコワ、キム・ヨナ、コストナーより、Maoだ!と読んでも、うがち過ぎとはいえないと思うのです。

Maoへのコメントで、女子選手としては、唯一浅田真央だけが可能な、難技のトリプルアクセルを決めた闘志を手放しで褒め称えています。その高い技術と挑戦する姿勢をプルシェンコは何より誰より尊んでいることがわかります。"amazing skating!" とスケートへの賛辞と "great" や "real fighter!!" の存在や姿勢への賞賛はあきらかに違います。

ロシアを代表する金メダリストのプルシェンコとすれば、誰よりもソトニコワに言及するのが、ふさわしい態度のはずです。あるいは、ソチ五輪女子フィギアをオーソライズするためには、金銀銅の3選手をその内容を含め称えて然るべきでした。自国主催の冬季五輪、ロシアが上位を占めたフィギア競技という観点からは、真央ちゃんの再起パフォーマンスは、1エピソードに過ぎません。

ツイッターという個人の「つぶやき」の場としても、かなりアンバランスなコメントといえます。そこに、たぶん不本意な棄権で終わったプルシェンコの無念が、また「疑惑の採点」への鬱屈した思いが、Maoの再起によって晴らされた、とまでいうなら、それはうがち過ぎというものでしょう。

ただし、少なくともこうはいえるはずです。さまざまなスポーツ以外の要素に、オリンピックや競技や選手が左右されるからこそ、メダル獲得が絶望的になってもなお、自己ベストを尽くした真央ちゃんにプルシェンコは感動したのではないでしょうか。

引退同然だったのに国威発揚のために出場させられ、ショートプログラムを前に怪我を理由に棄権したことで、国内から厳しい批判に晒されたプルシェンコですから、真央ちゃんの再起に自らを重ねたかもしれません。

中国の観客たちの感動もプルシェンコのそれに通ずるものでしょう。真央ちゃんによって、オリンピックとは国威発揚の舞台という通念が覆され、彼らはほとんどはじめて、オリンピックが選手それぞれの努力による可能性を追求する場であることを知ったのです。

皮肉なことに、真央ちゃんの素晴らしいパフォーマンスが話題をさらうことで、結果的に疑惑の判定がかすみ、スポーツを鑑賞する純粋な悦びへの信頼もつなぎ止められたわけです。ソチ五輪女子フィギアもまた、真央ちゃんに救われたようです。プーチン、真央ちゃんに、お礼は?

さあ、もう真央ちゃんでは失礼ですね。浅田真央さん、ありがとう、おつかれさまでした。

と終わるつもりでいたら、プルシェンコに勝るとも劣らない偉大なスケーターから、真央ちゃんへ心のこもった言葉が寄せられました。滲みるなあ。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2014/02/21/0200000000AJP20140221003800882.HTML?input=www.tweeter.com

H. Grimaud 1/3 Rachmaninov piano concerto No.2 in C minor, op.18 [Moderato]


(敬称略)









観音と武蔵

2013-12-24 12:23:00 | スポーツ
おこたに入っておみかんむきながら、浅田真央の福耳を見ていた。『山口百恵は菩薩である』(平岡正明)という本があったが、舞い踊るまおちゃんは観音様のようであった。

まおちゃん観音様説に反対は少ないだろうが、さらにまおちゃん宮本武蔵説も加わったのが、昨夜の日本フィギア選手権だった。

来年、2月7日のソチオリンピック開催まで、正味1か月しかないのに、トリプルアクセル(3回転半)を優先して、難技に挑戦を続けるその求道的な姿勢。

さらに、選択曲がラフマニノフピアノ協奏曲第2番という難曲。「ポル・ウナ・カベサ」なら誰でも気持ちよくのれるだろうに、ラフマニノフによく手拍子がとれたものと観客へ拍手。

前夜の高橋大輔も、武蔵を彷彿とさせた。選択曲はビートルズ・メドレー。それも、クラッシックからの影響が濃い曲ばかり。つまり、たとえば、ワーグナーやドビュッシーやチャイコフスキーたちの曲をつなげて、舞い踊るという難業に挑戦したようなもの。

クライマックスの『ロング・アンド・ワインディング・ロード』を滑りながら、犯したミスに打ちのめされたような表情だった。完成度を高めるより、困難に挑むことで、自らの集中力の限界を試そうとした、大輔とまおちゃん。

気がつけば、おみかんに入っておこたをむいていた。

NIKOLAI LUGANSKY & ANTONI WIT ラフマニノフピアノ協奏曲第2番第1楽章


ザ・ビートルズ The Long and Winding Road


(敬称略)

こいつだきゃ許せんな

2013-11-03 22:49:00 | スポーツ
あんまり腹が立ったから、掲示板だけでなくブログでも書く。以前からそう思っていたけれど、星野はほんとに小物でバカ。

こいつ、試合後の監督インタビューでアナウンサーから4度も、(ファンの皆さんにお礼を)と水を向けられているのに、4度も「選手に感謝です」「選手を褒めてやって下さい」を繰り返した。

たしかに、田中、則本で39勝も上げてリーグ優勝したんだから、「選手のおかげで日本一監督になれた」は本音だろうし、監督采配より選手のがんばりで勝ってきたのは冷厳たる事実だろうが、それでも「選手のおかげ」は内輪褒めになるからせいぜい2度だろうよ。

70歳にもなって興奮のあまり我を忘れ、もっとも大事なファンへの気配りと賞賛されたファンの大歓声という球場のカタルシスをすっとばしてくれたのは、見事なまでに世間を愚老したもの。いや、準備する時間はじゅうぶんにありながら、場にふさわしい言葉を吐けないのは、ただの未熟か。

おまけに、「東北を癒やした」と。それは他人が云うもので、本人が云うべきことじゃない。俺が三木谷なら即クビだが、残念ながら来年も監督続投だそうだ。マー君、前日160球も投げて翌日も投げさせるようなバカ監督とはさっさと手を切って、大リーグへ行くべき。ほんと、星野のおかげで、楽天の奇跡的勝利と巨人との歴史的名勝負が台無しの極みだよ。


楽天球団社長・立花陽三氏。ジョーンズとマギーを自ら口説いてスカウトしてきたという。星野仙一監督より、この人の方が功績大ではないか。

(敬称略)

おめでタイ

2013-09-22 10:32:00 | スポーツ
タイがバレー女子アジア選手権で日本を下し優勝
http://thailog.net/2013/09/22/3254/#comments

いつのまにか、タイが強豪になっていた。日本に3-0とは。それにかわいい娘ばかり。日本娘もずいぶん改善されたよなあ。昔は、「まあ、お父さんにそっくりなんだろうなあ」とよその娘ながら胸を痛める例が多かったのだが。