気がつくと私ひとりがぼんやりと
バーボンソーダの発泡を眺めている
誰の顔も輝いているというのに私ときたら
里子に出された子どものよう
気遣ってくれて何か尋ねられても
頭がよくない私には何のことかわからない
膝を進めてくる真剣そうな独白も
曖昧に頷いてぎこちなく微笑んだ後
笑ってはいけなかったのかしらと唇を噛む
興味を失ってくれるよう瞳を伏せながら
なのにどこかの会話に入れないものかと
猫のように耳を立て犬のように見えない尾を振り
台本にはないはずの私の名前を探している
コースは全部食べてデザートも出てきた
ワインを飲みたいけれど暗くて
メニューが読みにくいしキャンドルは遠い
少しも酔っていないのはもったいない
帰り支度の人たちの間で立ったり座ったり
いちばん最後にエレベーターに乗ったおかげで
いちばん最初に吐き出され会釈して歩き出している
立ち止まる理由は見つからないし呼び止める声もない
来なきゃよかったのにといつも思うのに
どうして来たかったのだろうといつも思う
別れ際だけでも笑って手くらい振ればよかったと
コートのポケットの中でちょっと練習してみる
(4/5/02)
バーボンソーダの発泡を眺めている
誰の顔も輝いているというのに私ときたら
里子に出された子どものよう
気遣ってくれて何か尋ねられても
頭がよくない私には何のことかわからない
膝を進めてくる真剣そうな独白も
曖昧に頷いてぎこちなく微笑んだ後
笑ってはいけなかったのかしらと唇を噛む
興味を失ってくれるよう瞳を伏せながら
なのにどこかの会話に入れないものかと
猫のように耳を立て犬のように見えない尾を振り
台本にはないはずの私の名前を探している
コースは全部食べてデザートも出てきた
ワインを飲みたいけれど暗くて
メニューが読みにくいしキャンドルは遠い
少しも酔っていないのはもったいない
帰り支度の人たちの間で立ったり座ったり
いちばん最後にエレベーターに乗ったおかげで
いちばん最初に吐き出され会釈して歩き出している
立ち止まる理由は見つからないし呼び止める声もない
来なきゃよかったのにといつも思うのに
どうして来たかったのだろうといつも思う
別れ際だけでも笑って手くらい振ればよかったと
コートのポケットの中でちょっと練習してみる
(4/5/02)