コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

硫黄島からの手紙

2007-05-18 21:04:52 | レンタルDVD映画
「ローハイド」であった。ケン・ワタナベは「フェーバーさん」だった。カウボーイ映画であっても、見事に戦争映画ではなかった。おしまい。

予感としては、アメリカ視点の『父親たちの星条旗』のほうがよさそうだ。なぜ、C・イーストウッドがこの『硫黄島からの手紙』はつくりたかったのか、最後までわからなかった。『父親たちの星条旗』を補うためだったのか。未見なのでそれもわからない。

C・イーストウッドはつねに水準以上の映画をつくり、これまで愚作駄作を一本もつくったことがない、と俺は思ってきた。が、今回はどうだろう。脚本も演出も俳優も、もちろんカメラにも別に文句はないが、はじめて凡作をつくってしまったのではないか。二宮和也があまりにアメリカ映画的な類型だった。

先に戦争映画ではなかったと書いたが、これぞ戦争映画だという作品も実は思い出せない。スピルバーグの『プライベートライアン』を観たときも、『コンバット』だと思った。「ローハイド」や「コンバット」と同様な人間模様というより、軍隊の分隊や小隊、あるいは参謀本部でも、同じ人間の組織ということかもしれない。軍隊組織が普遍なのか、それ以上それ以外の組織をまだ人間は持ち得ていないということかもしれない。