聖教新聞や赤旗だってここまでは書かないだろうな6月30日の日刊ゲンダイの第1頁。「もういちど民主党に投票を」から、第2頁は、「10年で長期債務を200兆円増やした自民党」と続き、第3頁には、「小沢路線を完全否定 みんなの党と組むという 枝野幹事長、玄葉政調会長の軽挙妄動」、その下段には、「小沢 検察審議会に上申書提出-冷静な証拠判断を求めると委任状」という記事が置かれている。
断固、民主党を支持し、とりわけ小沢一郎に期待する姿勢を貫いているわけで、もしかすると、世界でいちばん、「言論の自由」があるのは日本じゃないかと思えるくらいの思い切った紙面だ。
民主党の岡田ジャパンのパラグアイ戦惜敗についても、「日本代表の構造的欠陥」と大見出しを打ち、「今大会中、もっとも退屈な試合のひとつ」(南ア通信)、「日本にもっと野心があれば、別の結果になっただろう」(英民放)、「技術的には低いレベルにあった。日本はカウンター狙いか、パラグアイのミスを待ち続けた」(ブラジルTV)と世界の酷評を集める。
「守備はともかく、攻撃、指導者は世界のトップレベルでは通用しないことを改めて証明」という見出しの下に、ドイツサッカー協会公認S級コーチの鈴木良平氏に、「日本は、あまりに攻撃への意識や考えが乏しかった。決勝リーグまで勝ち抜いたのは、運に恵まれただけで、決定力不足の代表チームをつくった岡田監督の罪は大きい」という辛口コメントをさせ、大方の絶賛報道に冷水を浴びせている。
「大勢翼賛報道」のさなか、「ドイツサッカー協会公認S級コーチ」という人以外に、「岡田ジャパン」批判の口火を切ってくれる専門家がいなかったことが窺える。もちろん、メディアやW杯スポンサー企業に、遠慮するからだ。日本には、「言論商売の自由」はあるが、談論風発の場がないことがよくわかろうというものである。
ふと、東八郎を思い出す。日刊ゲンダイに目を通す日本を支える「リベラルおじさん」は、たいてい、東八郎のようなアホ面をして、「がんばれ、強いぞ、ぼくらのなまか~♪」と調子はずれな歌を心中でくちずさんでいるのである。
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さて、民主党へ政権交代の評価がかかった参院選の渦中、68%もの高視聴率に沸いたサッカーW杯パラグアイ戦の翌日という歴史的な「ロクサンマル」の紙面だが、第2頁の下段に、ちょっと不思議な囲み記事を見つけた。
「『股関節唇損傷』ってどんな病気?」-松本人志が手術を発表」という見出しである。現在、病気休養中の松本人志の続報なら、なぜ、芸能頁やあるいは健康頁に置かなかったか?
トップ記事にしてもよいほどのスクープネタだからとしか考えられない。記事はどこに置かれるか、それが大事なのである。場合によっては、その内容以上に。医学博士の米山公啓氏が、耳慣れない「股関節唇損傷」について解説している記事のどこがスクープなのか?
この記事の場合、解説は水増しである。書きたいことは、なぜ、「股関節唇損傷」になったかなのだが、それは書けないということを書いているのである。たいていの記事は、書いてあることと同じくらい、書いていないことが重要なのだ。
小見出しの「慣れない体位は危険」と、最後の「愛人ができたと喜んでハッスルし、慣れない体位を試すのも危ない。大股開きはパートナーに任せましょう」という一般論の〆に注目する。
東八郎のようなアホ面をしていても、それなりのリテラシーに心得のある「リベラルおじさん」は、「危険が危ない」と重ねてあるので、「ははあ」と肯くのである。「こりゃ、関係者は震え上がってるな」と。
(敬称略)