猿の惑星:創世記
噂にたがわぬ傑作。CGとわかっていても、「猿」たちのリアルさには驚く。とくに、主人公のチンパンジー「シーザー」の惚れ惚れする英雄ぶり。キャストを調べて、俳優名が出てきたのに驚いた。たぶん、バストアップのシーンをメイクアップで演じているのだろう。
アンディ・サーキス(Andy Serkis)というイギリス人俳優で、「キング・コング」(2005)も彼が扮したそうだ。世界ナンバーワンの猿俳優ということになる。ぜひ、「アントニーとクレオパトラ」を「創世記」の猿キャストでリメイクしてほしいものだ。
Andy Serkis
人間側のドラマは貧弱だし、文明批判や自然保護も類型的なのは、これはしかたがない。猿には何の関係もないからだ。猿が人間を追いはらって、惑星の主人公となる第一歩の蜂起を描いた、猿の創世記神話だからだ。
保護施設を集団脱走し、戦車をはじめとする近代軍備を徒手空拳で打ち負かして、マンハッタン島の対岸の森に逃げ込む猿たち。高層ビルが林立する文明の島を、猿たちが遥かに望むところで映画は終わる。
観客は想像する。猿なのに、虎視眈々と文明の島へ攻め入る日を狙うのだ。猿なのに、臥薪嘗胆しながら、幾世代も待ち続ける。猿なのに、革命に欣喜雀躍する日を夢見るのだ。
したがって、次作の内容はもう決まったも同然。「猿の惑星:決戦」である。シーザー率いるローマ軍のように、弓矢と刀槍、甲冑を装備し、馬に跨った猿の帝国軍が、人類文明の首都ニューヨークをめざしてブルックリン橋を渡るのだ。
迎え撃つのは、霧の中から現れるのは、アメリカ海兵隊や国連軍ではない。こちらも人間ではなく、やはり人間に蜂起したゾンビたちなのである。俊敏と怪力の猿戦士に立ちはだかる、鈍足ながら食い意地だけは並はずれた不死身のゾンビ衆。
率いるのは、もちろん、マイケル・ジャクソン。テーマソングは、「スリラー」。かたや猿の帝国軍は、もろちんシンバル隊。猿とゾンビが入り乱れて大乱戦。猿軍団の中世の武器兵器に対して、歯と爪のゾンビ衆はひとたまりもないが、吹き飛ばされ、ひき千切れても、立ち上がり追いすがる。
やがて、ゾンビに噛みつかれてゾンビ化した猿が蜂起して、猿の帝国軍はやむなく森に撤退。残り少なくなった人間軍とすったもんだするが同盟を結び、決戦を期して、両軍はふたたびブルックリン橋へ。猿と人間の連合軍のリーダーは、ホイットニー・ヒューストン! テーマ曲は、もちろん、「えんだああああああ♪」。
この企画、大ヒット間違いなし。100万ドルなら、売ります(100万円から相談可)。
(敬称略