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ワープロソフトは一太郎

2019-07-07 07:46:00 | 政治
小沢一郎には何度も裏切られてきた。参院選を前に、存在感を増している山本太郎とれいわ新撰組の演説やツィッターなどに接するたびに、あの引きつった笑顔と少しはにかんだような口許を思い出す。またしても、あのオッサンにやられたなと、心中苦笑する。

民主党の政権交代を実現させ、権力中枢に返り咲いたときは、誰しもその「豪腕」ぶりを認めたのも束の間、野党となった自民党のみならず、民主党内からも呼応して、真っ先に彼は政権から排除された。

民主党を追い出されてから「国民の生活が第一」党をつくったときは、(なるほど、卓越したネーミングだな)とは思いつつも、泡沫野党の党首に過ぎなくなるのかと落胆したものだ。このあたりまでは、「政局」と云い慣わせる権力闘争として、新聞の政治面の水準で理解できた。

その後、元二流の俳優兼タレントである山本太郎を引き入れたときには、ついに彼もタレント候補の売名にすがるようになったかと落胆した。ましてやその適宜な党名を「山本太郎と仲間たち」に変えたことを知ったときには、正直呆れた。

民主党のときと同様に、党を乗っ取られたか、それとも自ら託したかなどと考える間もなく、その山本太郎にまで出ていかれて、れいわ新撰組をつくられてしまった。

これで落ち目の三度笠から、完全に過去の政治家になったと少し寂しかった。

ところが、山本太郎とれいわ新撰組が次の参院選挙に向けて、次々と新機軸を打ち出して、けっして無視できない支持と話題を集めている。その選挙運動が正当に周知されれば、現在の政治の潮流を変えることも不可能ではないと思えるほどだ。

派遣切りされた元派遣労働者のおばさんやセブンイレブンの横暴を告発したオーナー、難病患者や障碍者、現役の創価学会員、そして、元拉致被害者家族連絡会事務局長の蓮池透氏など、身につまされる境遇の人たちだけでなく、「本気の大人」を参院選候補者に並べてきた。

だが、いちばん、唸ったのは、比例代表の名簿順位に当の山本太郎を3位にしたことだ。ちなみに、1位と2位は難病のALS患者と重度障害者である。常識的に考えて、山本太郎の落選は確実である。

「捨て身」が「の覚悟」や「の決意」と続くように、同情を誘う目的だったり、負け惜しみの言葉でしかないときに、ほんとうに再選を捨てたわけだ。

立派であれ、クズであれ、どのような政治家も再選をめざすところでは同列である。結果が先にあるとき、目的が決まっているとき、その言説は欺瞞の誹りを免れない。

れいわ新撰組と山本太郎の背後には小沢一郎がいる、彼が黒幕や軍師ではないかといいたいのではない。今日の山本太郎を薫陶したのは小沢一郎だとも思っていない。話は逆で、今日の山本太郎の資質や活躍を当初から見抜いていた、という見方のほうが妥当かもしれない。

しかし、いずれも違うだろう。もっと大きな、しかし当然の文脈ではないかと思えるのだ。田中角栄から継承した小沢一郎を通して、繰り返し抹殺されては甦ってきた「大衆政治家」の命脈が、山本太郎によって担われたように思うのだ。

ほんとうに、小沢一郎には裏切られてばかりだ。

Louis Armstrong - What a wonderful world ( 1967 )


ジョン・レノン「イマジン」は、この歌への返歌だと思う。

(止め)
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