亡きホームレス女性、ノートに残した暮らしと思い「美しい夕陽」「今日も書けた、読めた、歩けた」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/169413
私、今日フランスに行ってくるわ。夜の時間をゆっくり使いたいの…。美しい夕陽を見送り、顔が今日の夕陽のように赤く燃えている。(2001年6月26日)
死んだホームレス女性が書いたからではない。ホームレスなのに文章が巧みだったからではない。「夕陽」の重複はふつうは避けるものだが、そんな巧拙を越えた力のある文章の書き手だから惜しまれるのだ。
君は何もしていないんだ、もう君に食べさせる食料はない、誰か男でもつくり2人でいる所を見たらすぐ殺してやる、俺はそれを待っているんだと、又、おかしい事を口走る。私は、男を作り、共に過ごそうなんて、1度も思ったこともないわ、一時も早く、一人で静かに自立して生きていきたいだけなの…。(01年6月18日)
25才より、読む書くことを志、現在こんな環境の中で約2カ月で6冊ものノートを書けたら十分だ。 きっとはげまし協力してくれた人も、世に認められず収入がなくとも喜んでくれるだろう。 私も喜んでいる。今日も書けた、読めた、歩けたと…。きれいな風景を見て、美しい音楽も聞くことが出来た。(01年3月26日)
かつて朝日新聞は、「コトバの力」なる珍妙な購読キャンペーンを打ったことがある。言葉や文章による報道に携わりながら、その使命や特権を留保するかのような「コトバ」を使ったのに驚き呆れたものだ。
いっそ「コトバのチカラ」でもよかったくらい、新聞の凋落はその後著しいわけだが、上記の彼女の文章には、その対極の個から滲み出る確固とした「言葉の力」を看取できる。
ホームレスでか弱い女性なのに、前向きで力強い意志を語り、夕陽の一景や一杯のコーヒーにも人生の喜びを見出している、という「感動の物語」には収まらない、読み手の感情を揺さぶる力だ。
それは罪悪感という甘いオブラートに包まれた毒物として、心の皮膜にごく小さな傷をつける。
インドのハヌマンラングールというサルとアクシスジカは協力関係にあることが知られている。サルは樹上からシカは鋭い嗅覚を使って、外敵の接近を互いに知らせ合う。
(止め)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/169413
私、今日フランスに行ってくるわ。夜の時間をゆっくり使いたいの…。美しい夕陽を見送り、顔が今日の夕陽のように赤く燃えている。(2001年6月26日)
死んだホームレス女性が書いたからではない。ホームレスなのに文章が巧みだったからではない。「夕陽」の重複はふつうは避けるものだが、そんな巧拙を越えた力のある文章の書き手だから惜しまれるのだ。
君は何もしていないんだ、もう君に食べさせる食料はない、誰か男でもつくり2人でいる所を見たらすぐ殺してやる、俺はそれを待っているんだと、又、おかしい事を口走る。私は、男を作り、共に過ごそうなんて、1度も思ったこともないわ、一時も早く、一人で静かに自立して生きていきたいだけなの…。(01年6月18日)
25才より、読む書くことを志、現在こんな環境の中で約2カ月で6冊ものノートを書けたら十分だ。 きっとはげまし協力してくれた人も、世に認められず収入がなくとも喜んでくれるだろう。 私も喜んでいる。今日も書けた、読めた、歩けたと…。きれいな風景を見て、美しい音楽も聞くことが出来た。(01年3月26日)
かつて朝日新聞は、「コトバの力」なる珍妙な購読キャンペーンを打ったことがある。言葉や文章による報道に携わりながら、その使命や特権を留保するかのような「コトバ」を使ったのに驚き呆れたものだ。
いっそ「コトバのチカラ」でもよかったくらい、新聞の凋落はその後著しいわけだが、上記の彼女の文章には、その対極の個から滲み出る確固とした「言葉の力」を看取できる。
ホームレスでか弱い女性なのに、前向きで力強い意志を語り、夕陽の一景や一杯のコーヒーにも人生の喜びを見出している、という「感動の物語」には収まらない、読み手の感情を揺さぶる力だ。
それは罪悪感という甘いオブラートに包まれた毒物として、心の皮膜にごく小さな傷をつける。
インドのハヌマンラングールというサルとアクシスジカは協力関係にあることが知られている。サルは樹上からシカは鋭い嗅覚を使って、外敵の接近を互いに知らせ合う。
(止め)
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