柔らかくほのかに甘い春キャベツの時期である。よって、今日の晩飯の献立は、イワシのフライと春キャベツの千切りと豚肉炒めと春キャベツの千切り、である。春キャベツを中濃ソースと醤油で食べる。豚肉炒めと春キャベツの千切りは亡き母がよく作ってくれた。食べ盛りの中学生の頃は、これでご飯の3杯くらいは軽かったものだ。
豚肉炒めと春キャベツの千切りのレシピ
亡き母の思い出の料理であるが、じつは料理というほどのものではない。フルタイムで働いていた母が買い物袋を下げて急ぎ帰ってきて、雛鳥のように大口を開けて待っている私と弟に手早く突っ込む餌である。手間はかけられない。10分でできる。
材料:春キャベツ1個。豚肉細切れ200gはブランド豚ではなく安い油身の多いものがよい。カレー粉。味の素。
調理:春キャベツを千切りにする。糸のように細く切る必要はまったくない。ザクザク適当に百切りくらいでよい。炒めた豚肉を千切りキャベツの山に載せる。これだけである。間違ってもスーパーで出来合いのキャベツ千切りパックを使ってはならない。だいたいが手抜き料理なのだから、そこまで手を抜いては料理とは呼べない。
盛り付け:水を切った千切りのキャベツの上に、フライパンから熱々の豚肉をあけたら、SBのカレー粉を振る。この料理で一番高価な素材であるが、惜しみなくまんべんなく振る。ちょっとダマになっても気にしない。その上に、味の素をやはりまんべんなく振りかける。「味の素はちょっと」という人はこの料理を作らなくてけっこう。味の素は欠かせない。最後に醤油をぐるりとかけ回す。
食べ方:豚肉1に対してキャベツの千切り5くらいの比率で箸でまとめて頬張る。続いて飯を口に運ぶ。豚の油と醤油とカレー粉が混じり合い、爽やかな春キャベツの青味を引き立てる。1:5の割合で豚春キャベツと炊き立てご飯を交互に口に運ぶという幸せな作業。味の素の役割はよくわからないが、味の素抜きで作ってみたら、別物のように味気なかった。
注意点:とり分けるなんてあり得ない。ばあちゃんは小皿で、なんてダメ。父ちゃんは晩酌中止。家族それぞれが飯の入った茶碗を片手に、もう一方の手に箸を握って待つという態勢でなければならない。そこへ大皿が置かれ、カレー粉の香りが漂い。各方向から箸が伸びる。今宵の主役の春キャベツに。
そういえば、今日は母の命日だった。
島津亜矢 ★帰らんちゃよか
(敬称略)
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