コタツ評論

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私は眉を顰める

2015-06-22 00:51:00 | 政治
安倍首相をバカだアホだという批判が多い。首相の無知・無教養を執拗に挙げつらう背景には、安倍首相の成蹊大学卒という学校歴へ優越感がうかがえる。



自分は優秀だから東大をはじめとする一流大学に入ることができた。あるいは子どもの頃から一生懸命努力を重ねたから、一流大学に入ることができ、大手上場企業や官庁に就職できて、今日、階層上位にいる。

ひきかえ、岸信介につながる名家に生まれ育ち、受験期には衆院議員となった平沢勝栄を家庭教師につけられるほど環境に恵まれていたのに、傍流私立大にしか入れなかったと嘲笑しているわけだ。



高学校歴とは有形無形の家庭環境によって与えられたものに過ぎない、という今日の常識を踏まえない無知・無教養、ならびに受験学力と仕事の能力を直結する世間知らず。たしかに、そんな考えはまだまだ世間には罷り通っている。

しかし、いわゆるリベラル派にこれほど多く残っているとは思わなかった。憲法改定や安保法制などに反対する、政治家や学者・知識人・ジャーナリスト・専門職業人たちが、政府批判にからめて安倍首相をバカだアホだと公言しているのだ。


いうまでもなく、世間には大学に進学しなかった人は数多くいるし、成蹊大学を仰ぎ見るほどの下流大学もたくさんある。安倍首相へバカアホ呼ばわりは、そんな大多数の国民の反発を招き、かえって安倍支持を固めることにしか貢献しない。

また、自由と民主主義、護憲と平和など、きれいごとを並べて、そのじつ階層下位を蔑み、恵まれた立場を守りたくて改革を怖れる既得権益者に過ぎないのではないか。そんな疑念を呼び起こして、自らの影響力を低下させかねない。いったい、○○○○はどっちだろう?

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いや、バカをバカといって何が悪い、とまだおっしゃる? 少なくとも安倍首相は努力しています。前回よりはるかに首相としてましです。主義主張は別にして、そこは認めざるを得ません。それにひきかえ、この人は! 

日本のMITといわれる東工大に入学し、学生運動のリーダーから、市民運動の若きホープ、その後、リベラル派の若手政治家として政府自民党へ烈しく論戦を挑み、政権交代してからは首相にまで登りつめました。弁も立てば筆も立つ人だったはずです。

「イラ菅」と渾名されるほど、愚劣な返答や質問にはかんしゃくを破裂させたことを裏返せば、それだけ物事の理解が早く、頭の回転が速かったといえるでしょう。『大臣』(岩波新書)など何冊も著作をものしたそんな人が、いまや下掲のような文章を書いています。

たしかに、人には生まれながらとしか思えないほど優劣の差があることがあり、それ以上に努力が大きく人生を開くことがあります。しかし、必ずしも人は、成長や努力ばかりするとは、できるとは限りません。そんな当たり前のことをいまさらのように納得しました。

だから、焦らなくてはならないのは、ほかでもなく、あなたです、といいたくなります。(公式ブログですから、リンク先を示せば済むのですが、あえて全文を掲載しました。重大な誤字を保存するためです。このテーマで名前を間違えたら、迂闊ではすまず、ひどい弛緩としか思えません)

安倍総理の焦り
2015-06-21NEW
http://ameblo.jp/n-kan-blog/entry-12041413260.html
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 国会の会期延長が当面の焦点になっている。安倍総理は日本の国会に安保法制を提出する前に、アメリカの議会で「夏までに安保法制を成立させる」と約束。そのことが安倍総理の焦りを生んでいる。

 9月末までの会期延長という案も検討されているようだ。8月には終戦の行事やお盆もあり、国会も夏休みをとるのが普通だ。9月には自民党総裁選も控えている。

 安倍総理としてはアメリカに約束した夏までに何が何でも成立させる為には大幅延長が必要と考えているようだ。しかし、国会の議論を聞いていると安倍総理の答弁を聞けば聞くほど矛盾が深まるというのが多くの国民の感想だ。

 安倍総理の考え方が多くの国民にも次第に分かってきた。つまり、安倍総理にとって国民や日本の将来の事よりも、おじいちゃんである岸伸介元総理が実現できなかった憲法改正を実現することが「天命」と考えている政治家。その最初の一段階として集団的自衛権を閣議で合憲とし、それに基ずく安保法制を強引に成立させようとしている。

 おじいちゃんへの思いを大切にするのは一般の人なら褒められるかもしれないが、総理の立場で国民の意思を無視しておじいちゃんへの思いを重視するのは間違いだ。

蛇足ですが、「安倍首相はバカアホ」というのは、じつは「安全」な政府批判なのです。内閣、政府、つまり官公庁、そして、与党である自民党、公明党には、彼らと同じく東大をはじめとする高学校歴者や弁護士、医師などが数多くいます。

さらに、実際の政策立案者や唱道者、遂行者やキーマンは、アメリカや財界などにいたりします。安倍首相はその代表であるだけで、安倍首相によって、すべてが決定されているわけではなく、影響されているのでもありません。むしろ、彼らの「御輿」が安倍首相であると考える方が妥当です。

「御輿」ではなく、腕力も走力もある担ぎ手を批判して、その運行を止めようとした場合、向かってくる怖れがじゅうぶんにありますが、「御輿」に遠くから悪口雑言を浴びせてもせいぜい不興を買うくらいでしょう。バカにしながら、支配されるという一線を越えないかぎり、「彼ら」は安全なのです。

(敬称略)

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