遠藤雷太のうろうろブログ
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観劇三昧:坂口修一「ミッド・ナイト・エクスプレス第29話『各停飲み』」

2017/10/10

なぜかホストクラブに配属された阪急電鉄の田々南徹が、下っ端として働いているうちに、思わせぶりな女に出会う話。

田々南は、ほとんどの時間をしごかれながら過ごす。

ホストクラブなので、仕事として酒を飲み続ける。地獄としか言いようがない。

徐々に衰弱していく演技が丁寧。

「各停飲み」という何が楽しいのかわからない芸。札幌のホストクラブにもそういう文化あるのかな。

「12342234、桂三枝、いらっしゃい」という掛け声がいかにも大阪らしい。

阪急だから「電車」というあだ名がついたんなら、シルバーフォックスのあだ名はなんだろう。

ホストクラブで働いているのに、いまだに女性とはまともに話せない田々南。

ただ、さすがに一人称が「僕」だと、女性には見えない。

あと、話が進むにつれ、ナレーションの岸本奈津枝さんの重要度がどんどん増している。

《登場人物》田々南徹 下っ端ホスト ゆうき

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(観劇三昧サイトから転載)

劇団名:坂口修一

公演時期:2007/10/23

地域:関西

出演者:
坂口修一

スタッフ :
作・演出:サシマユタカ
舞台美術:柴田隆弘/演出助手:若旦那家康(ROPEMAN(28))/音響:児島塁(Quantum Leap*)/照明:南勇樹(芝居処味一番)/フライヤーデザイン:黒田武志(sandscape)/webデザイン:山口良太(slowcamp)/写真撮影:森達行/ナレーション:岸本奈津枝
企画・製作:坂口修一
協力:土の会

あらすじ北新地のホストクラブ、源氏物語で働くこととなった徹とシルバーフォックス。しかしホストの世界は弱肉強食。案の定、二人は家畜以下の扱いを受けているのであった。



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2017/10/2

・1961年、アメリカで初めての有人地球周回飛行に貢献したNASAの黒人女性スタッフ三人の仕事ぶりを描いた話。

・前に見た『42 世界を変えた男』と似ている。メジャーリーグで活躍した黒人選手ジャッキー・ロビンソンの話。

・1947年のメジャーリーグに対して、本作は1961年のNASA。

・42からそれなりに時間は経っているはずなのに、全然状況が変わっていない。

・あんなにジャッキー頑張っていたのに。

・単に女性だからというのもあるけど、アメリカ南北は当然として東西でも大分ちがうのかもしれない。

・最初のうちは常にまとわりつく差別の雰囲気にうんざりする。

・それを一人の数学の天才がひっくり返してカタルシスにつなげる。

・このへんは差別を題材にした物語のテンプレみたいなものかもしれない。

・黒板とチョークで計算した数式が宇宙船の命運を握る。ロマン以外の何物でもない。

・天才数学者のキャサリン、技術者を目指すドロシー、黒人女性の計算係チームをまとめるメアリー。

・この三人がとてもかわいいしかっこいい。ほんとかっこいい。

・作中、三人が同時に職場で活躍するところはほとんどないにもかかわらず、チーム感、仲間感が強い。

・どちらかというといかつい見た目の女性をヒロインに据える配役。

・上司とキャサリンが数学の公式を語るところは意味が全く分からなかったけど、天才同士の会話として面白かった。イチローと落合の会話みたい。

・走るシーンをコミカルに見せているのは何でだろうと思っていたけど、後半に仕掛けがあった。

・うんざりするような差別の現場に身を置きながらも、気持ちを切り替えて生きていけるのは音楽の力。

・作中でも、しんどい思いを共感させられたあとに、必ず音楽でリセットできるように構成されている。

・当時の黒人にとっての音楽やダンスというのはそういうものだったんだと思う。

・もちろん、楽しい時には音楽を鳴らして踊るもんだということも同時に描かれている。

・なので、この作品で描かれているのは、差別はいけないことだということと、音楽はすばらしいということ。

・差別という生臭い食材を、ここまでカラッと口当たりのいい料理にまとめたのがすごい。

『ドリーム』予告編/シネマトクラス



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2017/10/8

阪急電鉄の田々南とシルバーフォックスが、なぜかホストクラブに配属されてひたすらしごかれる話。

おなじみになったテーマ曲もなんだかかっこよくアレンジされている。

思ったより直接的な光GENJIキャラが登場。

コール&レスポンスが雑。

歌の余韻を長めに入れるギャグと同時進行で着替えをしている。二回目見て気づいた。

袖に入っては殴打音という、わかりやすいしごき表現。

灰皿を交換するときは一回重ねるものなのか。

シルバーフォックスは眼鏡を調節してもらったほうがいい。たぶんサイズあってない。

素直にシルバーフォックスにお礼を言っている田々南がかわいい。

二人が完全に和解したということは、これからより大きな敵が活動を始めると言うことなんだと思う。

すでに田々南たちは超人レベルの身体能力を持っているので、このまま少年マンガっぽい雰囲気で押し切れるのか。

どんな敵が出てくるのか期待。

《登場人物》田々南徹 光源氏 シルバーフォックス



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2017/10/7

6日目。午後から仕事だったので札幌大谷高校『女生徒』のみ。

太宰治『女生徒』のテキストを、女子五人が動きながら、ポーズをキメながら、ポップに読み上げていく。

intro『わたし−THE CASSETTE TAPE GIRLS DIARY−』と似ているなと思ったら、パンフに「【作劇協力】イトウワカナ」の文字。

「わたし」に比べると、よりコンセプト重視。

シンプルでわかりやすくなった一方で、娯楽として成立させるためには、少なくとも運動部並みのフィジカルが必要だと思う。

ただ、そんな作品だからこそ演者が磨かれる。

実際、個々のモノローグスキルが異常に高い。

会話ではないので、基本的に言い間違えると成立しない作品。

膨大な量のテキストを全員ほぼ淀みなく語り倒す集中力。

特に「バラ」から「美しく生きたいと思います」に続くところが痛快だった。



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2017/10/6

・5日目。きちんと見ることができたのは、札幌新川『手紙』、札幌西『歌と弁当と私』、北星学園『男女男男女女男女男女… ~どこで区切りますか~』の三作品。

・『手紙』は30分くらいの一人芝居。「お姉ちゃん」にあてた手紙をトツトツと読み上げる形式。

・高校演劇部というチーム戦を競い合っているなかで、一人芝居はそれだけで異質。

・話の展開や演技に大きな破綻はなく、時に漫談っぽい雰囲気も出しながら、見事にやりきっていた。

・あと、布を大胆に使った装置も、簡素になりがちな一人芝居を彩っていた。貧乏臭く見せないのはとても大事。

・せっかくあそこまで用意したんだから、装置を使った演出上の工夫が見たかったけど、望みすぎなのか。

・『歌と弁当と私』は、部員が激減してしまった合唱部の「ヒヨリ」が、親友の初めてのお弁当作りに協力することで、部活動への意欲を取り戻す話。

・どうしても、札幌西高の演劇部も三人しかいないということと切り離して見ることができない。

・しかも、パンフを見てみると、役名が演者と同じ名前。

・いろんな葛藤があって上演することになったんだろうなと勝手に想像して感動してしまう。

・「自然な弁当の渡し方」のくだりで爆笑した。あれを狙ってできるのはすごい。

・『男女男男女女~』は、「あずさ」が、姉の同姓婚宣言をきっかけに、友達とLGBTについて調べる話。

・LGBTというテーマ自体は珍しくないけど、今年から札幌市が同性パートナーシップ宣誓制度を始めているので、時事性の高い話題でもある。

・きちんと調べられていて、とてもわかりやすくLGBTを解説していた。

・反面、教材っぽい雰囲気もあったので、衝動だけで作ったようなロミジュリのシーンをねじ込んでいるのは、とてもいいことだと思う。衝動大事。

・母親を説得するシーンの緊張感がすごい。

・三作品とも、心の底から「よく上演まで漕ぎ着けたな」「おつかれさまでした」と思える労作揃いだった。



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2017/10/5

4日目。仕事終わりで、札幌平岸高校『十、数えるあいだに』を見に行く。

客席は8割くらい埋まっている。パンフの高校・演目紹介の書き込みぶりと整理整頓ぶりに、几帳面な方向での狂気を感じる。

将来世界を変えたいとうそぶく男子高校生が、不登校の幼馴染の女子に前向きな変化を与える話。

上演時間のほとんどが挨拶禁止の是非を話し合うマンションの集会のシーン。

登場人物たちの演技がしっかりしている。見る側の補正が必要ないので、いい意味でかわいげがない。下手な役者がいない。

特に生徒指導の先生が好き。生徒のことはそれなりに大事に思っているのに、全く心を開いていない感じ。不器用な距離感が生々しい。

ただ、「あいさつ運動」なんてせずに、自然な距離感で明るく挨拶を続けていれば、あんなに近所で問題になったり、彼女自身、不登校になるまでトラウマかかえることもなかったと思う。

個人的には「挨拶はいいけどあいさつ運動はやりすぎ」という結論になった。



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2017/10/4

3日目。今日も仕事が終わって18時40分開始の石狩南高校『ヴィオロの花』を見に行く。

昨日が満席だったので、急ぎめで行ったら今度はかなり空いていた。

高校ごとに人気の差があるのはしかたないけど、あまりにも現金すぎるだろうと、判官びいきたっぷりで見る。

「リサ」が、病気で色彩がわからなくなってしまった親友「アキ」を、ロボットや高名な医師の力を借りて、助けようとする話。

生徒創作の話というだけあって、当て書きがしっかりしている。

部員同士がお互いのことをよくわかっているんだろうなとほほえましい気持ちになる。

絵が書けなくなったら友達じゃなくなるのか問題についてはきっちり答えがほしい。そこ、面白いところなのに。

ただ、そんなことはやってるほうは百も承知で、時間とか人手とか足りなくてできなかったこともたくさんありそう。

脚本いつごろできたんだろうとか、もどかしい気持ちでいろいろ想像してしまった。



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2017/10/3

二日目。仕事が終わり、18時40分開始の札幌啓北商業『うさみくんのお姉ちゃん』を目指すが数分遅刻。

前の作品が押しているのではなく、もう始まっていたのだとわかるまで50分かかった。

客席が満席。初日は満席まではいかなかったので、完全に油断していた。立ち見。

アンパンマンに似ているという「宇佐美あかね」が、愛と勇気の力で女性恐怖症の男子を力づける話。

放課後の教室を舞台にしたワンシチュエーション・コメディ。

装置がすばらしい。当たり前のように普通サイズ(に見える)黒板があった。

自分の作風と近いので、どうしても設定のアラを探す感じで見てしまうけど、なにぶん最初のほうを見逃しているのでモヤモヤしてしまう。

「宇佐美あかね」の大物感がすごい。

既成でも、完全に役と役者が一致する的確な選択。脚本選びの大切さがわかる作品だった。

あと、アンパンマンのテーマはずるい。



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2017/10/2

・本日が初日。プログラムによると6日間で全41校の作品を一気に上演する。

・審査員は前後半二人ずつ、お一人だけ全作品を担当する。大変そう。

・初日は6作品上演。見ることができたのは、札幌南陵『台風一家』、札幌山の手『狼少年はここにいる』、札幌日大『幻の長城』。

・作品は札幌山の手が突出していた。

・高校生の「涼」くんが、父親の高校生時代の日誌を読み進めていくことで、実生活でも小さな一歩を踏み出す話。

・現在の高校生の彼から見る、1977年新聞部部長の父親と、1941年時に体制と戦った通称「狼少年」の存在。

・世の中や学校の圧力に抗う彼らの行動を知って、現在の「涼」がすこしだけ成長する。

・恋愛禁止の貼紙の前で告白する彼の姿が味わい深い。

・あわせて「空気」に流される危険性というのは、今の現実社会にも通じるテーマ。射程距離が長い。

・「わかるわね」の繰り返しが象徴的。忖度。

・三つの時代のそれぞれの高校生を演じることで、高校生が演じる必然性を残しつつ、変化もつけている。

・脚本はイナダ組の稲田博さんで、顧問の先生が潤色している。

・作品選択がいいのか、潤色がうまいのかはよくわからないけど、高校演劇のフォーマットにきっちりはまっていた。

・全41作品ある中で、ちゃんとトップを狙いに来ている感じが伝わってきた。

・札幌南陵は、台風一過をきっかけに引きこもりの長男が学校に行くことにする話。

・不登校をテーマにしていたり、笑いの取り方だったり、自分のイメージしている高校演劇という感じだった。

・幼馴染の男の子が抜けのいいポジティブさで、印象がよかった。もっと見栄切ればよかったのに。

・札幌日大は、古代中国で梨、桃、柳の妖精が、父親を失った娘に力を貸す話。

・題材の選択が渋すぎるし、音響や照明、舞台装置の使い方がストイックすぎる。

・会話と舞踏だけで勝負するなら、もうちょっと錬度がほしい。

・妖精たちの衣裳がかわいかったけど、作ったのかな。



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観劇三昧:坂口修一「ミッド・ナイト・エクスプレス第27話『帰ってきたシルバーフォックス』」

2017/10/2

新人研修を終えた田々南徹が、中川常務に新規事業の開発部へ配属される話。

あれから飲んだくれているお父さんが心配。

今は端役になってるしセリフもなかったけど、一話でまるまる中心人物を務めていたので、つい感情移入してしまう。

何度目かの通勤描写。新しい展開へのタメになっているのかな。

出社後は、中川専務、シルバーフォックス、田々南の三人の会話シーン。

声色と立ち位置を切り替えながら、一人で三人の会話劇を作っている。

会話のリズムがくずれない。さりげなくやってるけど、やっぱり巧み。

おどおどするシルバーフォックスが新鮮。出町柳常務のキャラクターも楽しみ。

田々南も指摘していたけど、巨大な狐への疑問が尽きない。

鉄道系のなにかのメタファーなんだろうか。

《登場人物》

田々南徹 村越駅長代理 シルバーフォックス 中川専務 (漢字は音からの推定)

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カテゴリー:

劇団名:坂口修一

公演時期:2007/10/09

地域:関西

出演者:
坂口修一

スタッフ :
作・演出:サシマユタカ
舞台美術:柴田隆弘/演出助手:若旦那家康(ROPEMAN(28))/音響:児島塁(Quantum Leap*)/照明:南勇樹(芝居処味一番)/フライヤーデザイン:黒田武志(sandscape)/webデザイン:山口良太(slowcamp)/写真撮影:森達行/ナレーション:岸本奈津枝
企画・製作:坂口修一
協力:土の会

あらすじ新入社員研修も無事に終わり、いよいよ阪急電鉄の一員として働くこととなった田々南徹。配属先は未定であったが、それを不安に思う気持ちはなく、むしろ期待に胸を膨らませているのであった。

 

 



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