遠藤雷太のうろうろブログ
何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。




観劇三昧:アガリスクエンターテイメント『笑の太字』(Aチーム)

2017/10/30

三谷幸喜の名作『笑の大学』の文字起こしを卒業制作として提出してきた学生と、指導教官が論争する話。

タイトルだけ「笑の太字」に変えている。

しれっと本家の「平行線だな」「冗談ですよ」などの印象的なセリフがあったり、同じようで微妙に違う音楽をわざわざ作っていたり、作り手が『笑の大学』好きすぎる。

ただの文字起こしをオリジナルだと言い張る屁理屈ぶりが見所になるんだけど、課題は「創作戯曲」なので、「コンセプチュアルアート」として価値があっても意味がないんじゃないかと思ったりもする。

「00:17:19」のところで爆笑した。

でも、世の中の人全員が『笑の大学』見ているわけじゃないから、著者が権利を主張するのは当然。

最後のところ、作意が先に立っている感じもするけど、もう一ひねりあったのがよかった。

終わり際のサイレント演技が好き。

こんなに三谷幸喜という固有名詞が頻繁に登場する作品はない。たぶん三谷幸喜作品にもない。

 

《配役》

学生:熊谷有芳
教員:前田友里子

《作品情報》(観劇三昧HP)
公演時期:2016/09/11
地域:関東
出演者:熊谷有芳/前田友里子
スタッフ :脚本・演出:冨坂友

文芸助手:淺越岳人/舞台監督:大地洋一/舞台美術:袴田長武/照明:山内祐太(東京)・ぷっちヨ・渡辺佳奈(大阪)/音響:兼坂香弥(東京)・下田要(大阪)/宣伝美術:カトウリョウ/WEB:海里有香/制作:佐伯凛果・小林大陸(大阪)/主催:アガリスクエンターテイメント/後援:サンモールスタジオ/協力:NPO法人S.A.I.・@Kyoto.lighting・劇団熊タオル・コメディユニット磯川家・日本コメディ協会・ファルスシアター・4C・CoRichチケット!/大阪市芸術活動振興助成金対象案件

あらすじ

大学の演劇学科の劇作コース。とある学生により卒業制作として提出された戯曲は、某有名傑作二人芝居の丸パクリだった…!
盗作を指摘し、認めない指導教官。
屁理屈で反論し、認めさせたい学生。
両者の闘いは、次第に“問題の二人芝居”さながらの展開を見せ始める…!



コメント ( 0 )




2017/10/29

意訳すると「世界一おしゃれで平和を愛するジェントルマン」ということらしい。

すごくノリが軽いけど90年以上続くコンゴの独自文化。

そんな「サプール」たちの写真展。

当然、どの被写体もかっこいい。黒人の肌の色にパキっとしたスーツの色が映える。

コンゴは内戦が続く世界最貧国のひとつ。

給料何か月分のスーツを着こなす彼らの思い切った生き様が写真にも出ているのか、それとも単に「かっこいいからかっこいい」のかどっちなんだろう。

平和を愛する理由「着ている服が汚れるのがいやだ」は、説得力があるうえに、シャレが効いている。

ファッションってこんなに大事なものだったのか。

いろいろ差し引いて考えなきゃいけないにしろ、最貧国で暮らすこの人たちよりも、自分はちゃんと幸せに生きているんだろうかと考え込んでしまう。

サプールの名言集つきノートほしかった。

座る勇気はなかった。



コメント ( 0 )




観劇三昧:坂口修一「ミッド・ナイト・エクスプレス第33話『クラブレジェンド』」

2017/10/29

田々南徹が生まれて初めて女の子に告白され、お断りする話。

上演時間が17分と微増。終盤に向かって尺が足りなくなっているのだろうかと邪推してみたけど、今回起こった出来事が本筋とどう関係してるのかがよくわからない。

一人芝居で、告白する側とされる側を交互に演じるのは結構鬼門だと思う。落語ほど、聴覚に特化していない表現なのでなおさら。

一人で大人数を演じる時のワンアクションを入れる工夫は、楠美津香さんの一人シェイクスピアでも見たけど、定番の技術なのかな。

ホステスのゆうきさんは一人称が「ボク」なので、髪を書き上げる仕草がないと女性として飲み込みづらい。

しかも、堂々と「いい女」雰囲気を出しているので、ギャグなのかシリアスなのか迷う。

田々南はいつもの調子でわたわたしてしまうけど、最後は阪急電鉄社員の意地を見せる。

田々南の成長回だったけど、この成長は次回以降に活かされているんだろうか。

《登場人物》田々南徹 ゆうきさん シルバーフォックス(回想)中川専務(回想)

《作品情報》(観劇三昧HP)

公演時期:2007/11/20
地域:関西
出演者:坂口修一
スタッフ :
作・演出:サシマユタカ
舞台美術:柴田隆弘/演出助手:若旦那家康(ROPEMAN(28))/音響:児島塁(Quantum Leap*)/照明:南勇樹(芝居処味一番)/フライヤーデザイン:黒田武志(sandscape)/webデザイン:山口良太(slowcamp)/写真撮影:森達行/ナレーション:岸本奈津枝
企画・製作:坂口修一
協力:土の会
あらすじ東京旅行ですっかり散財してしまったシルバーフォックスを他所に、キャバクラ、クラブレジェンドへ単身乗り込んだ徹。約束通りユウキを指名した徹であったが、席に来たのは里緒菜というヘルプの女の子だった。



コメント ( 0 )




観劇三昧:小松利昌一人芝居『コマツマツリ2015』

2017/10/27

小松利昌さん一人によるコント集。

「ウォーズマン先輩」「壁ドン男」「ミギーちゃん」「チャック男」「harakiri」「越冬鶴美」「魚っ地」「無題(ホームレス漫談)」「一川先生の苦悩」の9つで100分超。

ひとつのギミックを膨らませて作っている感じ。作品というよりネタと言ったほうがしっくりくる。

かっこよさよりも親しみやすさを優先した題材選択。客いじりも積極的。

「壁ドン男」のアメコミヒーロー感。

堂本剛による小松脱出ゲーム「チャック男」の倒錯した感じ。

チャックがよくできている。全体的に小道具がよくできている。

食べ物を食べるときの所作が完全に落語家さんのそれ。

「harakiri」の切腹と介錯を一人でやるのはかなり強引だけど、ちゃんと笑える。

一人でコントを100分やるだけでも大変なのに、幕間で「硝子の少年」を踊っている。

最後は勢いで持っていった感じもするけど、最後まで勢いを保ったこと自体がすごい。

================メモ================

「エンタメ賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:01:41:10

上演時期:2015/12/22

作・演出:小松利昌



コメント ( 0 )




観劇三昧:坂口修一「ミッド・ナイト・エクスプレス第32話『地下アイドル』」

2017/10/17

田々南徹が、シルバーフォックスに連れられて、地下アイドルのコンサートを体験する話。

シルバーフォックスがただのめんどくさいタイプのオタクになっていた。豹変しすぎ。

こういうツンデレキャラはどこかでデレるものなんだけど、あさっての方向にデレてきた。

シルバーフォックスのキャラが好きだったので、案外悲しい。もう星川君でいいのかな。

オタ芸なつかしい。北海道民なので「秋葉原」という地名すらもなつかしい感じがする。

地下アイドルの曲『ミッドナイトロマンス』は、わざわざこのために作ったんだろうか。

前回から本筋と全然関係のないやりとりばかりで心配していたけど、終盤でぎりぎり繋がったような気がする。

超能力設定も結構ほったらかしなので、次に出てくる時が心配。公演期間中だったらもっと長く感じたはずだし。

二人がホストクラブに配属された本当の理由もそろそろ明らかにしてほしいところ。

《登場人物》田々南徹 シルバーフォックス

《作品情報》

カテゴリー:

劇団名:坂口修一

公演時期:2007/11/13
出演者:坂口修一

スタッフ :
作・演出:サシマユタカ
舞台美術:柴田隆弘/演出助手:若旦那家康(ROPEMAN(28))/音響:児島塁(Quantum Leap*)/照明:南勇樹(芝居処味一番)/フライヤーデザイン:黒田武志(sandscape)/webデザイン:山口良太(slowcamp)/写真撮影:森達行/ナレーション:岸本奈津枝
企画・製作:坂口修一
協力:土の会

あらすじアキバのメイド喫茶を初体験した徹は、持ち前の運の良さを如何なく発揮し、ベテランシルバーフォックスを唸らせた。そして、メイド喫茶を満喫した徹とシルバーフォックスは、次の目的地石丸電気へと足を運ぶのであった。

(観劇三昧HP)



コメント ( 0 )




2017/10/17

・ミスコンの女王になった「トリシャ」の仲間達が、生前の彼女の希望に応じて、死後七日間日替わりで海外セレブメイクを施してあげる話。

・トリシャは生物学的には男性。性自認が女性なのでトランスジェンダー。

・フライヤーにはミスコンとしか書いてなかったけど、「ミス・ゲイ・フィリピン」というイベント。厳密なルールはわからないけど、対象になる出場者はニューハーフという言い方が一番近いような気がする。

・フィリピンには地方の大会もあるようで、「職業:ミスコン」も成り立つ。ほんとだろうか。

・見た目だけではなく、即興の質疑応答があったり、世界各国の代表を模してみたり、まったく想像の外の文化だった。

・序盤から人間関係がよくわからなくなってしまい、だいぶん混乱する。

・登場する人たちのほとんどが、明確に男女に分かれていないので、誰が誰の何なのかわからなくなってしまう。

・映画に限らず、自分が物語に触れるときに、いかに性別に頼って人間関係を把握しているのかを自覚する。

・一言にLGBTとは言うけれど、個人個人でいろんなグラデーションがあることに気づかされる。

・差別もあるけど、フィリピンのそのあたりの文化的な浸透度は日本よりかなり深そう。

・直接的な表現はないものの、おっぱいの手術シーンがイヤ。術後に痛むとか言うのを聞くのがしんどい。

・性差関係なくレイプはダメ。ダメとしか思えないシーンが出てくる。

・LGBTへの理解が全くない父親がひどい。最初からひどいけど、最後の発言が特にひどい。

・あんなに痛い思いしてつけたのに、自分が不快だからって取れって。

・葬式まで七日間もあるという不思議な文化。日本よりも暑そうだし、早めに火葬なり埋葬なりしたほうがよさそうだけど。

・ただ、その期間の長さを活かして、日替わりセレブメイクと、トリシャの人生を交互に見せていく構成は、ばっちり決まっていたと思う。

・誰に当てはめてもそれなりに面白くなりそうな構成。

・フライヤーのコピー「天使になったLGBTの人の真の感動物語」は変だと思う。

東京国際映画祭W受賞『ダイ・ビューティフル』予告



コメント ( 0 )




観劇三昧:坂口修一「ミッド・ナイト・エクスプレス第31話『秋葉原』」

2017/10/15

田々南徹とシルバーフォックスが、夜行バスに乗って秋葉原のメイド喫茶に行く話。

もう30話を過ぎ、主人公田々南のライバルキャラとして定着していたシルバーフォックスだったけど、崩れる時は一瞬だった。

和解から巨悪への共闘に進むのかと思ったら、意外な方向に進んだ。笑ったけど。

田々南が荷物の中身を紹介している間に、シルバーフォックスが彼を置いて行く見せ方がおもしろかった。

一人芝居で二人演じる時には、ただ声色と立ち位置を変えるだけだと飽きるので、こういう変化のつけ方は大事。

一方でメイドとの掛け合いのシーンは、一人芝居としては微妙な感じがしないでもない。相手の姿が見えないだけで、演者が別の人と会話してしまっている。面白さとは別の話だけど。

コーラやカレーを給仕する際のメイド演出は、どこまで一般的なものかはわからないけど、メイド喫茶文化に疎いのでおもしろかった。

《登場人物》田々南徹 シルバーフォックス

《作品情報》

公演時期:2007/11/06
出演者:坂口修一

スタッフ :
作・演出:サシマユタカ
舞台美術:柴田隆弘/演出助手:若旦那家康(ROPEMAN(28))/音響:児島塁(Quantum Leap*)/照明:南勇樹(芝居処味一番)/フライヤーデザイン:黒田武志(sandscape)/webデザイン:山口良太(slowcamp)/写真撮影:森達行/ナレーション:岸本奈津枝
企画・製作:坂口修一
協力:土の会

あらすじ阪急社員らしく、阪急バスで秋葉原のメイド喫茶へ行くことにした徹とシルバーフォックス。午後11時前、阪急三番街バスターミナルへ一足先についた徹は、シルバーフォックスを待ちわびていた。



コメント ( 0 )




観劇三昧:柿喰う客『いまさらキスシーン』(無料・要会員登録)

2017/10/14

平凡なひとりの女子高生が、恋に受験に部活動に励みながら、高校三年間を全うする話。

演者は玉置玲央さん(男性)。女子高生の格好をしているものの、スカートから見えている両足のエッジが効きすぎている。

スカートがめくれても、パンツよりアスリート然とした膝上の筋肉のほうが気になる。

常に語りが圧の強い「柿喰う客」作品なので、一人芝居においても圧倒的な早口で語り倒す形式。外郎売の女子高生版みたい。

駅伝部の走り方と男前田先輩のキャラ付けがおかしい。

大迫力の語り口で見えにくくなっているけど、少なくとも転換点までは、身の丈に合わない理想を掲げ、何も成し遂げることなく高校生活を終える、どこにでもいる女子高生の話。

だからこそ、終盤の悲劇としての生々しさが強調される。

実は男前田先輩の名前もミスリードで、実際はもっと平凡で大した男前でもない男子高校生だなのだと思う。

=======================

■作品情報(観劇三昧HPより)

劇団名:柿喰う客

公演時期:2016/06/03
地域:関東
出演者:玉置玲央
スタッフ :作・演出:中屋敷法仁

あらすじ

部活!勉強!そして恋愛!
あらゆるものに心奪われながら
天才女子高生は今日もひとり
国道4号線をひた走る!
爆走系青春喜悲劇!



コメント ( 0 )




 

アウトレイジ ビヨンド [DVD]
クリエーター情報なし
バンダイビジュアル

2017/10/10

・零細暴力団の元組長の大友が、日本最大級の暴力団組織山王会の会長に落とし前つけさせようとする話。

・第一走者は中尾彬。かなり役を作りこんできた感じ。わりとあっけなく死んじゃうけど。

・前作で加瀬亮が怪演を見せた石原が、巨大組織のナンバー2になって急に小物化している。

・小さな組織では生き生きと暴れられたのに、大きな組織に所属した途端につまらなくなる石原のようなタイプは、どこのジャンルにもよくいると思う。

・同じ売春でもちまちまやるんじゃなくて国交省の役人捕まえて海外のマーケットを作るとか言っている。

・あの眉毛どうなってるんだ。

・軟球何発くらいであんな感じになるんだろう。

・全体的にほとんどグロ描写がない。ちょっと拍子抜けしたくらい。

・前作の「よくこんな嫌なこと思いつくよね」と感心するような殺し描写はあんまりない。

・ただ、ドリルはいやだ。

・アンチクライマックスというか、淡々と山王会の没落を描いている。

・コミカルなシーンもあんまりない。

・それでもレジェンドクラスの役者たちを適材適所に配しているので、まったく退屈さを感じない。

・役者と編集のリズムだけで見せる上品な作品と言っても良いかもしれない。逆バコ起こししたら楽しそう。

・悪い三石研が新鮮。松重豊の人相が悪い。塩見三省が怖すぎる。

・小日向文世の相手の目を合わせない話し方。

・冤罪より更にあくどい取調べシーン。

・策士が策に溺れる様。

・西田敏行とビートたけしが罵り合う名シーン。

・出てくる人間は全員悪人で、必要以上に感情移入させない。

・子分の若造二人も、憎めないように描かれてはいるけど、堅気の人相手にひどいことしてる。

・結果、いつ誰が殺されてもいいようになっていて、それを緊張感につなげている。

・ただ、そのなかでもグラデーションがつけられていて、ちゃんとビートたけし演じる大友には多めに感情移入できるようになっていた。

・完結編みたいな煽り方してたけど、明らかに続編ありそうな締め方。



コメント ( 0 )




観劇三昧:坂口修一「ミッド・ナイト・エクスプレス第30話『お帰りなさいませご主人様』」

2017/10/12

ホストクラブで働く田々南徹とシルバーフォックスが、常連客からキャバクラに誘われて、どうするか相談する話。

本業と関係ないホストクラブに配属された謎、思わせぶりな女性客、区切りの30話、大きく話が動きそうな雰囲気。

しかし、今回は二人が「マクド」でウダウダ話しているだけ。

今までも二人で話しているシーンはあったけど、丸々一話ははじめてかも。じらされている。

ただ、田々南とシルバーフォックスとの力関係が決定的に変わる瞬間があって、地味でも勝算あっての展開だと思う。

このシリーズ通しての転換点になっている。「ジーザス」って。

メイド喫茶に入ってもよいのかどうかは、確かに葛藤してしまうところではある。

でも、次の話が『秋葉原』ということは、大阪からわざわざメイド喫茶のために東京に行くのかな。

仕事忙しそうだけど大丈夫なんだろうか。

《登場人物》田々南徹 シルバーフォックス

劇団名:坂口修一
公演時期:2007/10/30
地域:関西
出演者:
坂口修一

スタッフ :
作・演出:サシマユタカ
舞台美術:柴田隆弘/演出助手:若旦那家康(ROPEMAN(28))/音響:児島塁(Quantum Leap*)/照明:南勇樹(芝居処味一番)/フライヤーデザイン:黒田武志(sandscape)/webデザイン:山口良太(slowcamp)/写真撮影:森達行/ナレーション:岸本奈津枝
企画・製作:坂口修一
協力:土の会

あらすじ先輩ホストの顧客であるキャバクラ嬢から、お店に誘われた徹とシルバーフォックス。しかしキャバクラ未経験の二人は、いくらお金を用意すればよいのかわからず、思案に暮れるのであった。



コメント ( 0 )


« 前ページ 記事一覧画像一覧フォロワー一覧フォトチャンネル一覧