遠藤雷太のうろうろブログ
何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。




2021/10/23

・20分ちょっとの二人芝居を三作品。

RED KING CRAB『ギッチャ』

・自転車置き場で女子高生二人が語らう話。

・演じている役者さんも女子高生とのこと。初々しい。

・舞台上に自転車置き場の転倒防止柵が二基。地味に用意が大変そう。簡素だけど、演出のこだわりを感じる。

・題材の採り方おもしろい。自分にとって自転車泥棒は生涯の敵なので、心穏やかではない状態で見守る。

・途中から自転車が盗まれた件ではなく、コロナ禍で制約の多い生活への不満へと転じていく。

・話題や関係性の変化がちょっと唐突な感じもしたけど、若い今の演者さんがちゃんと実感を持てるように題材をつなげていくとこういう感じになるんだと思う。

劇団ノベル『心にわかに掻き曇る』

・精神科医が速く回復したい患者をカウンセリングしていく話。

・症状は突発的に怒りの感情を表出させてしまうこと。頻発するとたしかに社会生活を維持するのは難しそう。

・あの状況なら何らかの公的補助もありそうだけど、情報にアクセス自体出来なかったのかもしれない。

・精神科医の言動があんまり専門家っぽくない。患者の前で声を荒げたり、発作中の患者に不用意に近づいたり。節々の言葉遣いも。意図的なのかな。

・悲劇として観るか、ドキュメンタリー的に考えるのかで印象が変わる話だった。

レントヨシノブ『アルデバラン・ラプソディ』

・二人組アーティストが出会いから成功までを熱量たっぷりに振り返る話。

・脚本と演出は明逸人さん。俳優のイメージが強く、いい脚本の作品にもたくさん出演されているので、ご自身ではどのような脚本を書かれるのか気になる。

・見てみて納得。音楽と男臭さ。そして軽快さ。弾き語りをうまく取り入れて、後半に向けて盛り上げていく構成。

・どのラプソディでもいいんだけど、選ぶならやっぱりおうし座のアルデバランだと思う。

・演者さんはどちらも22歳とのこと。若い。

・会話や掛け合いもリズム感があって気持ちいい。関係が出来上がっている。

・弾き語り、会話、身体表現、勢い、演者さんの強みを活かした作品で、満足度高かった。

(10/22 19時 演劇専用小劇場BLOCH)



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2021/10/19

・戦争が終わったばかりのパリ。画家と音楽家と歌手志望の三人組が、お互い内緒にしつつ同じ女性に惚れてしまう話。

・1951年の映画が先。ほんとの終戦直後に、こんなにご機嫌な作品が作られていたのか。

・戦争あけの解放感がそのまま演出にも反映されている。

・早々に歌とダンス、舞台美術に圧倒される。最初の方、話が頭に入ってこなかった。多幸感強い。

・それでも、話の筋自体はごく単純で迷子になることはない。恋愛ベースの物語は色んな意味で強い。

・あちこちで三角関係が発生していて数えだすとキリがない。ヒロインのリズと画家ジェリーを軸に、アダム、アンリ、ダヴェンポートがワンシーンで切り替わっていくところ、見せ方が楽しいし、登場人物たちに対しては切ない気持ちにもなる。

・鉄板の役割ではあるんだけど、ダヴェンポートさんがかっこいい。聡明で強い。

・あらためて身体表現がすごい。ステップひとつで楽しい気持ちになるし、人間鍛えるとここまで滑らかに動けるのかと感動もできる。

・一方で、どんなにすごいダンスでも観客が集中して見られる時間には限度があると思うんだけど、次々と展開を変えてくれるので、初心者にもやさしい。

・恩人の愛を受け入れるという形の愛もあると思うし、衝動に任せた愛もあると思う。選択できることがすばらしい。

・恋愛ベースのミュージカルだと、そりゃ主人公とヒロインがくっついて終わるもんだし、それでいいと思うんだけど、個人的にはそこまでピンとこなかったりする。

・本作の場合、恋愛の成就という意味では完全に敗者の音楽家アダムが、主人公以上の重要な役割を担っていて、思わぬところで救われた気分になる。

・自分もたぶん思い出を抱えながら死んでいくタイプ。

・彼の心変わりのところ、見ている分には全然違和感なかったんだけど、後で考えると不思議。何か仕掛けがあったのかな。

・さらっと出てきた「失敗から個性は生まれる」という言葉。今後、何か失敗したら個性が貯まったと思うようにしたい。そして、自分で考えたフリをして今後人にも使っていきたい。

(札幌シネマフロンティア)



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2021/10/22

・パリにやってきた絵描き志望のアメリカ人ジェリーが、そこで出会った女性に一目ぼれする話。

・最初に出てくるジェリーの暮らすアパート。色々仕掛けがあって面白い。リフト式のベッドや収納式のテーブル、あんまり話に関係ないけど、やたらと凝っている。日本だけが兎の小屋ってわけでもないみたい。

・1951年と2018年だから当たり前だけど、前に見た舞台版とは大分違う。

・歌やダンスのシーンはあるものの、舞台版ほどではない。同年代の『雨に唄えば』と同じくらいの塩梅。そういえば、クライマックスの気が遠くなるようなダンスシーンが共通している。当時の流行だったのかな。

・ジェリーを演じているのはジーン・ケリー。とにかく、彼が目立つ。

・舞台版よりも主人公としてのジェリーに焦点がおかれていて、だいぶん関係性がすっきりしている。単純と言ってもいいかも。舞台版でいかに難しいことをやろうとしていたのかもわかる。

・カフェでおばあちゃんと踊っているシーンはほほえましいし、子供たちと歌いながらタップダンスを披露するシーンも楽しい。

・元兵隊の絵描き志望が不自然なくらい歌って踊れる。

・こういう作品だから気にするほうが野暮なんだけど、作中には歌い手や演奏者、ダンサーも出てくるので、そのへんの境界線がボヤけやすい。

・舞台版は完全にミュージカルなのでそもそも大体の登場人物たちが歌って踊れるような世界として提示されている。今更ジェリーひとりが歌って踊れてもそんなに違和感がなかったりする。

・それでも楽しいシーンは多いので、舞台版見てなかったら素直に感動していたと思う。

・舞台でお気に入りだったアダムは話にはあんまりかかわってこなかった。ダヴェンポート姉さんに至っては似た役割の人はいるものの、登場すらしなかった。

・ただ、アダムの演奏シーンの迫力に圧倒された。

・後で確認してみたら、演じていたオスカー・イヴァントはもともとピアニスト。逆にコメディ的な演技をしっかりこなしていたほうがすごいことだったみたい。

・ただの映画の舞台化ではなく、強調するところ、省略するところ、要素を足すところ、チャレンジするところ、色々違いが見えて比較しても楽しい作品だった。

(字幕版・PrimeVideo)



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