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子どもの頃愛読した世界児童名作全集の中に、ヴィクトル・ユーゴーの
「ノートルダムのせむし男」が入っていました。
ノートルダム寺院の鐘楼守は、世にも醜い容貌で寺院の中に隠れ住んでいたが
美しい踊り子エスメラルダだけは優しくしてくれた。
男は彼女を愛し、危機に見舞われた彼女を救おうとするのだが…
寺院の石の螺旋階段を、小さな醜いせむし男が綺麗な娘を背負って
必死に登っていく挿絵が印象的でした。
近年、ディズニー映画から「ノートルダムの鐘」と名を変えてアニメができたようですが
男の顔は全然醜くなく、しかもハッピーエンドと聞いて見る気も失くしたのでした。
「せむし」という言葉も今はもう差別用語になってしまったのでしょうか。
人間は外面の美醜に捉われがちであるということはどうしようもない事実で
そこから生まれた悲劇が文学となっているのに…
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セーヌ川から見たノートルダム寺院
この作品といい、「オペラ座の怪人」といい、
古い大きな建物に人間がこっそり住み着くという話が
子どもの私には、どうにも想像できなかったのでした。
何日間かならともかく、何年も何十年間も、どうやって人間が隠れ住むことができるのか?
しかし今回ノートルダム寺院の実物を見て、その疑問は払拭されました。
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何しろでかい!
でかい上に複雑怪奇な造り。
これなら人間一人くらい隠れ住んだって誰も気がつかないかも…
ここには有名なステンドグラスのバラ窓があります。
巨大で荘厳な美しさです。
ここの塔に登り、ガーゴイル(魔物)越しにパリの街を眺めるのを楽しみにしていたのですが
長蛇の列であきらめたのでした。
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この近くにサント・シャぺルという小さな教会があり、
ここにはパリ最古というステンドグラスがあります。
小さいながらも、礼拝堂は全面ステンドグラスに囲まれた幻想的な世界。
ガイドブックによると、15の窓に1134景の場面が描かれているのだそうです。
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