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この作品は、現代のママ友の実態を描いたとして新聞雑誌など
色々なメディアで取り上げられ、読むのを楽しみにしていました。
有紗は東京ベイエリアのタワーマンションの29階に住む、30代前半の専業主婦。
夫はアメリカに単身赴任、三才の一人娘と二人で住み、近くのママ友と日々付き合っている。
同じ年頃の娘を持つママ友たちとは、一見仲良くしているように見えるが
5人の間には微妙な、しかし歴然とした格差があった。
分譲か賃貸か、家賃の高低、学歴、実家の家柄、夫の職種などによって。
有紗は、自分の秘密をひた隠しにして、精一杯背伸びして付き合っていたが…
やれやれ、と思ってしまう。
この主人公の有紗が、どうにも好きになれない。
自分に自信がなくて嘘で身を固め、見栄っ張りで人を妬みながら生きている。
自分はグループの中で「公園要員」に過ぎないという悲しい自覚を持ちながら
そのグループから離れることもできない。
子どもを有名幼稚園に入れようとするママ友たちに、
とてもそんな余裕がないのに、張り合おうとする。
5人のママ友の中で、意外な不倫関係が発覚する。
有紗自身に突きつけられた離婚問題、隠してきた過去が絡んで、
彼女は千路に迷う…
ママ友たちの狭い世界の中の閉塞感、そのくだらなさはよく伝わりますが
それ以上でもそれ以下でもない。
所詮、お洒落な女性雑誌「VERY」に連載されていた小説だと納得できるだけ。
情けない弱者が主人公であることは一向に構わないのですが
それならそれなりに矜持を見せるというか、人生の決着を引き受けて欲しいのに
どうも中途半端で…
ママ友たちの心理的駆け引きを、もっと息苦しくなるほど克明に
描いて欲しかったとも思います。
桐野夏生の「OUT」で衝撃を受けてから
「グロテスク」で舌を巻き、「柔らかな頬」「残虐記」など夢中で読んできましたが
「アイム・ソーリー・ママ」「魂萌え!」辺りからどうも失速しているようで…
ちょっと残念。
また衝撃作で驚かせて欲しいものです。
「ハピネス」 http://tinyurl.com/nhp47gk