
3日目。
パルナソス山脈の中腹に広がるデルフィ遺跡。
古代より聖地として栄え、アポロンの神託を受けに多くの巡礼者が集まったといいます。
紀元前6世紀頃が最盛期だったとか。

子どもの頃、ギリシャ神話を何度も読んだものです。
オリンポス12神のうち、全知全能だが浮気者の大神ゼウス、その奥さんの嫉妬深い美女ヘラ、
海の神ポセイドン、月の女神アルテミス、美の女神アフロディテ。
芸術・医療・予言の神であるアポロンが神託を行ったのが、ここデルフィだというのです。
アポロンの神殿、ガイアの祭壇、5千人を収容する劇場、そして広大な競技場などがあります。

アポロンの神託と聞いて思い出すのは、やはりオイデプス王の話。
あまりにも有名な話ですが、簡単に書いてみます。
テーベの王ライオスは、自分が後に息子に殺されるというアポロンの神託を受け、
息子オイデプスを山に捨てさせる。羊飼いに拾われ、
何人かの手を経てコリントス王の養子となったオイデプスは成長して
やはり「父を殺し母と交わる」という神託を受ける。
そんなバカなと家を出たオイデプスは、山中で出会った老人(実父)と争い、殺してしまう。
怪物スフインクスを倒してテーベの王として迎えられ、実母と結ばれるが
ある日その真実を知り、自分の目をつぶして放浪の旅に出る、というものです。
その神話から、男性が幼い頃に父を憎み、母に愛情を覚えるという心理傾向のことを
フロイトはエディプス・コンプレックスと言ったようです。

そんな紀元前の神話の舞台が本当にあったのか…と目を見張る思いでした。
奥深い山の中の遺跡に、世界中から観光客が集まっていました。
麓には、その出土品を展示するデルフィ博物館があり、
黄金の装飾品、黄金の牛、スフィンクスなど、宝物が山と飾ってあります。
写真は有名な「青銅の御者の像」ですが
たまたま写真の左隅に女性が二人写り込んでいる。
多分、この博物館の職員なのでしょうが
どの部屋にも必ずこうして2~3人の職員が、何をするでもなくお喋りしていました。
ああこれが、今話題になっているギリシャの公務員なのね、とつい思ってしまいました。

参考にさせて頂いた本
「ギリシャ神話集」 (講談社学術文庫)
「ギリシア神話を知っていますか」 阿刀田 高