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50歳の誕生日を迎えたアリスが、華やかに家族に祝ってもらう場面から
話は始まります。
コロンビア大学の有名な学者アリス、夫は医者、長男は医学生、
法科を出た長女は幸せな結婚をし、次女は役者志望のニート。
その次女が、この家でははみ出し者の問題児だということで
どれだけ恵まれたエリート家庭かということがよく分かります。
そんなアリスが、次第に物忘れがひどくなり、ジョギングしていて道に迷う。
そしてある日、若年性アルツハイマーと診断される。
その日から始まる、アリスの闘い。
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「アイリス」や「鉄の女サッチャー」を観た時、
こんな高名な作家や首相であってもアルツハイマーになるのかと度肝を抜かれました。
そして世界的に有名だった主人公たちが、次第に無気力無表情になっていく姿に
なんとも切ない思いをしたものです。
高名な言語学者であるアリスも、その知性とプライドから、
自分が惨めな姿になっていくことが許せなかったのでしょう。
自分のPCに、ある仕掛けをするのです。
「この動画を見ているあなた、寝室の引き出しに入れてある薬を飲みなさい」と。
しかし…
この場面には深く胸を抉られます。
この病気を患った者は、自殺という選択肢を持つこともできないのかと。
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全体に淡々と描かれている作品です。
綺麗すぎる、という気がしないでもない。
アカデミー主演女優賞に輝いたジュリアン・ムーアはさすがで、
失禁したり、半狂乱になったりと体当たりの演技を見せてくれるのですが
それでも綺麗すぎるし、彼女を取り巻く家族の苦悩や葛藤はもっと凄まじかった筈。
けれども、ALSを患っていたグラッツアー監督が最後の力を振り絞ってこの作品を作り、
この3月に亡くなられたことを思うと
監督の渾身の祈りに似た思いが込められていたのかと、納得できてしまうのです。
「アリスのままで 」http://alice-movie.com/