
港の見える丘公園の薔薇の花壇の奥に、こんな立派な文学館があったのですね。
”『100万回生きたねこ』から『シズコさん』まで”のまるごと企画展というだけあって
佐野洋子の多彩な活動と人生の軌跡を、様々な作品を通して紹介しています。
キーボード伴奏付きの「百万回生きた猫」の朗読も堪能できました。
「100万回生きた猫」を自分がいかに好きだったか、
そんな優しい絵本の著者の、実母との凄まじいまでの葛藤を書いた「シズコさん」を
読んでいかに驚いたかは、こちらに書いています。
http://blog.goo.ne.jp/franny0330/e/b54dd8251ed090fdfb74ff2905635a23

今回は展示品の中の「空とぶライオン」に心惹かれました。
目にも鮮やかなオレンジ色の大きなライオンが主人公の絵本。
”あるところに、りっぱな たてがみと、いさましい声をした ライオンがいました。
ねことライオンは しんせきで、いっしょに くらしていました。
ライオンは、あつまったねこたちに、まいにち ごちそうをしてやりたくなります。
「ウォ~~」と いさましくほえて、じめんをけって、えものをとりにいきます。
空をかけのぼるように 見えました。
ねこたちは、「ほうっ」とためいき。
「さすが!ライオンだ~」 まいにちまいにち、ごちそうを たべます。”

でもライオンは、疲れてしまうのです。
それでも猫たちは、ライオンが御馳走を取ってくるのを当たり前だと思って待っている。
ライオンは、自分に鞭打って頑張るのだけど…
”その夜、ライオンは「つかれた~~」といって、さめざめとなきました。”

ついにライオンは動かなくなり、金色の石になってしまう。
何十年も何百年も石のままでいるのだけれど、ある時やさしい子猫の一言で生き返るのです。
”「どうしてねているの?」
「きっとつかれたんだ。」
それをきくと、きんいろのいしのライオンは、「ウォー」とほえ、
また、えものをとりにいきました。”
なんだか切なくなります。
これで話は終わりなの?と次のページを確認してしまいました。
そんなに頑張らなくていいんだよ、と
ライオンに声をかけてあげたくなる。
疲れた時は疲れたって言っていいんだよ…
「まるごと佐野洋子展」 http://www.kanabun.or.jp/exhibition/3179/