
24歳の女性が、自分の居場所を何処にも見つけられなくて
旅に出たい、と思う気持ちは分かるような気がします。
しかし何故それが、オーストラリアの砂漠横断という無謀な計画となるのか?
4頭のラクダと愛犬を連れて、徒歩で、一人で。
オーストラリア大陸中央部からインド洋までの3000キロを歩き通すという。
しかし、1977年、ロビン・ディビッドソンはそれをやり遂げたのです。
その自伝を元にジョン・カランが映画化したのが、この作品です。

子どもの頃の切ない場面ー母親が自殺したとか、愛犬を安楽死させられたとかーが
所々にフラッシュバックして、彼女の心の闇の理由を多少解明してくれるような気がする。
積極的に人と関わろうとせず、誰とも距離を置きたがる孤独なヒロイン。
それでもあくまでも淡々と、荒涼とした砂漠地帯を歩く姿を画像は描いていく。
灌木やごつごつとした岩、赤土と砂ばかりの世界。
どうしてそんなことをするの?というこちらの疑問は置いておかれたまま。

何度も生命の危険に脅かされ、
”こんな旅は馬鹿げているし、まったく意味も無い”
”最初からやらなきゃ良かった”
と、本人も何度も後悔するのです。
特に、一番の親友であった愛犬が、あんな運命を辿った後は
さすがに彼女ももうあきらめようとするのですが…

それでも彼女はやり遂げた。
1日30キロを歩き、7か月かけて。
その自叙伝は世界的ベストセラーになり、そして今の彼女があるのでしょう。
”凡庸な人間にもこんなことができるということを示したかった”
という台詞もあったような気がしいます。
しかしそれでは、こんな大冒険ができない凡庸な人間は
あくまで凡庸に生きるしかないのか、という気もしてしまいます。
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