Zooey's Diary

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「きっといい日が待っている」

2017年08月30日 | 映画


いや、驚きました。
福祉の先進国、人権大国のようなイメージのデンマークで
ほんの50年ほど前に、こんなことが行われていたとは。
1967年コペンハーゲンの児童養護施設の、実話に基づいた物語。
デンマーク・アカデミー賞6部門受賞。

労働者階級家庭の兄弟、13歳のエリックと10歳のエルマーは、
母親が病に倒れ、引き取ってくれる身寄りもなく、養護施設に預けられる。
しかしそこに待っていたのは、地獄のような日々だった。



入所したその日、将来何になりたい?と教師に訊かれたエルマーは
無邪気に「宇宙飛行士」と答えて、いきなり教師に殴られます。
「勘違いするな」と。
そこは、明るい未来を夢見る子どもたちに勉強させる場所ではなく、
社会の底辺を支える職人を育成する場所だったのです。
凄惨な体罰、年上の同級生からのいじめ、教師の扇動による激しいリンチ。

弟エルマーはおねしょをしてしまい、
裸で濡れたシーツを持って一日中、厳寒の戸外に立たされる。
それでもおねしょが治らないと、安定剤を投与される。
エルマーは、教師から性的虐待も受けていたのです。
唯一彼の味方になってくれた女教師は、施設を辞めてしまい…



仲良くなった級友は彼らに、ここで生き残るためには幽霊になれとアドバイスする。
感情を持ってはいけない、自己出張してはいけないということか。
15歳になった出られると、それだけを励みに2年間頑張った兄エリックは
冷酷な校長にその夢を打ち砕かれ、爆発する。
そして校長から半殺しの目に遭い、文字通り死にかけるのです。
しかし校長は、エリックを病院にも連れて行かず、見殺しにしようとする。
弟エルマーは最後の勇気を振り絞り、行動に出るのだが…

いやはや、観るのがつらい場面ばかり。
パンフレットに「コペンハーゲンのゴズハウン少年養育施設を中心に
子どもに対する強制暴力・薬物投与問題調査が21世紀になって行われ、
2000年に公表された報告書を基に、本作は制作。
当時、養育施設における暴力は”しつけの範囲”を口実に問題とされず、
現在、当時の子どもたちが告発し、その国家的謝罪を求めている」と。

「きっといい日が待っている」
例によってヘンな邦題だなあと思いましたが
英題も「The day will come」なのです。
これは仕方ないか…

公式HP http://www.kittoiihigamatteir/u.ayapro.ne.jp/
コメント
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