2016年の本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説を読んだとき、
何て静かな作品なのだろうと思いました。
自信がない新米の調律師の外村が、ピアノの調律を通して社会と関わり合い、
自分の内面をも見つめながら少しずつ成長していく物語。
外村はピアノの音を聴いて、森の匂い、森を歩く時の感覚を思い出すような繊細さを持っており、
この本は、まさにその孤独な男の世界なのです。
原作を読んでから映画を観ると概ね失望することが多いし、
大きな事件が起きる訳でもない、調律関係の専門用語も多い、この静謐な物語を映像化したら
一体どうなるのだろう、という危惧があったのですが…
雪に閉ざされた北海道の冬、緑きらめく夏の森、透き通った水の画面。
そして随所に挿入されるピアノの旋律!
これは映像ならではのものです。
高校生のふたごの姉妹が連弾するシーンなど、本当に楽しい。
そして例えば、ひきこもりの青年のエピソード。
小説では、乱雑な一人暮らしの青年の家に外村が呼ばれ、15年間放置されていた
というピアノをなんとか調律し、それまで目の焦点も合わなかったような青年が
最初はおずおずと、次第になめらかにショパンの子犬のワルツを弾いたとそれだけの話なのです。
それが映画では、青年がピアノを弾き出すと、幼い頃に亡くした両親、
その後、彼の心の支えになっていたであろう愛犬の映像が
青年の弾く軽やかな子犬のワルツに載って、回想シーンとして出て来るのです。
これには、やられました。
エンディングには久石譲作曲、辻井伸行のピアノ。
題名の「羊と鋼の森」は、ピアノの中にある、羊の毛のフェルトでできたハンマー、
そしてそれが叩く弦は鋼、というところからつけられたようです。
原作と映画、双方を楽しませて頂きました。
「羊と鋼の森」本 http://tinyurl.com/y2ozykwg
映画 http://hitsuji-hagane-movie.com/
大きな事件が起きる訳でもない、調律関係の専門用語も多い、この静謐な物語を映像化したら
一体どうなるのだろう、という危惧があったのですが…
雪に閉ざされた北海道の冬、緑きらめく夏の森、透き通った水の画面。
そして随所に挿入されるピアノの旋律!
これは映像ならではのものです。
高校生のふたごの姉妹が連弾するシーンなど、本当に楽しい。
そして例えば、ひきこもりの青年のエピソード。
小説では、乱雑な一人暮らしの青年の家に外村が呼ばれ、15年間放置されていた
というピアノをなんとか調律し、それまで目の焦点も合わなかったような青年が
最初はおずおずと、次第になめらかにショパンの子犬のワルツを弾いたとそれだけの話なのです。
それが映画では、青年がピアノを弾き出すと、幼い頃に亡くした両親、
その後、彼の心の支えになっていたであろう愛犬の映像が
青年の弾く軽やかな子犬のワルツに載って、回想シーンとして出て来るのです。
これには、やられました。
エンディングには久石譲作曲、辻井伸行のピアノ。
題名の「羊と鋼の森」は、ピアノの中にある、羊の毛のフェルトでできたハンマー、
そしてそれが叩く弦は鋼、というところからつけられたようです。
原作と映画、双方を楽しませて頂きました。
「羊と鋼の森」本 http://tinyurl.com/y2ozykwg
映画 http://hitsuji-hagane-movie.com/