Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「マイ・フェア・レディ」

2021年04月08日 | 映画

若い頃に何度も観たこの作品、BS放送で久しぶりに鑑賞。
昔は気がつかなかったことが色々見えてきたので、ちょっと書いてみます。
バーナード・ショーの戯曲「Pygmalion」をもとにしたミュージカルの映画化。
貧しい花売り娘イライザ(オードリー・ヘップバーン)が、言語学者ヒギンズ(レックス・ハリソン)の指導で洗練されたレディに変身するというシンデレラ・ストーリー。

言語学者のヒギンズは、下町の酷いコックニー訛りの言葉を話すイライザに「人間として正しく話す力を授かりながら、シェイクスピアやミルトンの国の言葉を汚している!」と嘆きます。
このヒギンズ教授、ロンドンの家に執事やら女中頭やら小間使いやら7~8人の使用人を使っています。
教授くらいで大層な暮らしができるものだと昔は驚きましたが、その母親がアスコット競馬の初日にボックス席を確保していることから分かるように、この人は元々上流階級の出身で、だから学者業は道楽でやっていたのでしょうね。
ウインポール通りの彼の家は、ウイリアム・モリスの壁紙や、その系統の花柄の布のソファやクッションなど、吹き抜けの壁を埋め尽くす蔵書、その部屋のしつらいやインテリアも楽しめます。



貴族の社交場であったアスコット競馬場でのイライザの装い、なんて美しいのだろうと昔は息を呑んだものですが、今見るとあまりにも派手過ぎて、滑稽ですらあります。
白と黒のモノトーンのドレスはお洒落ですが、彼女が被っている帽子は、パラボラアンテナより大きいのじゃないの?
宮廷晩餐会での装いもしかり。
ティアラとネックレスが燦然と輝き、ギリシヤ調のドレスは眩いばかりに美しいが、髪型ときたら昔のローマ帝国の兵士のヘルメットのようではありませんか。



それでも、オードリーの美しさは例えようもない。
イライザを自分の実験道具として扱っていただけの利己的なヒギンズが、段々と彼女に対する気持ちを変えていくところ、どんなに上っ面を上品に飾っても結局自分の中身は変わらないと気付いたイライザが、本当に求めるものは何だったのかと考えてヒギンズに向き合うところ、単なるシンデレラ・ストーリーではない面白さがあります。
日産自動車の社長であった川又克二氏が、60年代にブロードウェイでミュージカル「マイ・フェア・レディ」を観て感動し、新しい車に「フェアレディ」(フェアレディZの原型)と名付けたというのは有名な話ですが、今考えてもお洒落な名前ですね。

ヒギンズ教授が彼女にしつこく発音させた「Rain in Spain stays mainly in a plain」は、[ei]と[ai]の区別がつかないコックニー訛りを直させるためのものだったのですね。
初めてイギリスに行った時、英語の発音が聞き取りにくくて焦りました。
BBC放送を聞いたり、イギリス映画を沢山観て慣れていた筈なのに何故?と不思議でしたが、BBCのアナウンサーのような発音をする人は、中々その辺を歩いてはいなかったのでした。


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする