Zooey's Diary

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不器用な男と女「枯葉」

2024年01月24日 | 映画

フィンランドの名匠アキ・カウリスマキの新作。
ヘルシンキのスーパー・マーケットで働くアンサは、消費期限切れで廃棄処分の食べ物を持ち帰ってるのがバレて、クビになる。ホラッパは工事現場で働いているが、仕事中に酒を飲んでいるのがバレて解雇される。二人はカラオケバーで出会ってお互いに惹かれるが、不運な偶然が重なり、中々会うこともできないでいた…



若くもなく、お金も定職も持たず、さえない男と女。
アンサの住む小さな住まいはシンプルと言えば聞こえがよいが、小さな机と小さなベッド以外、見事に何もない。
紆余曲折の後、ようやく男を食事に招くのですが、その直前にお皿1枚とカトラリーを買い足すくらい。
テレビすらなくていつの時代?と思うが、ラジオからはロシアのウクライナ侵略のニュースが流れて来る。



登場人物はみな愛想がなく、突っ立ったまま棒読みのように台詞を口にする。
女の勤務先のスーパーの警備員も上司もニコリともせず、常に彼女の行動を監視していて、些細な理由で鬼の首を取ったように解雇する。
それは男が働く工事現場でも似たようなもので、この映画では人間の悪い面しか描かないのかと暗澹とした思いで観ていると、そうでもなく、とぼけた味、控え目なユーモアが所々に顔を出してきます。



孤独を抱えながら、人生に殆どあきらめながら(でも完全にはあきらめていない)、不器用に触れ合いを求めて生きる人々。
アンサが拾ったみすぼらしい犬が、彼女の孤独を優しく癒します。
落ち葉の舞い散る道を二人と一匹が歩く後ろ姿が、微かな希望を感じさせるラストシーンでした。

コメント (2)
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