Zooey's Diary

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「アイダよ、何処へ」

2022年08月10日 | 映画

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の中で起きた大量虐殺事件「スレブレニツァの虐殺」の中で、家族を守ろうとした一人の女性の姿を描いたヒューマンドラマ。
「サラエボの花」でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したヤスミラ・ジュバニッチ監督。


1995年、スレブレニツァ市がセルビア人勢力によって占拠される。
街には迫撃砲が撃ち込まれ、セルビア軍兵士がうろつき、見境なくその場で発砲する。
殺戮、強姦、強奪が始まり、逃げ惑った市民たちは国連軍の施設に押し寄せる。
2万5千人の市民が、水も食料もトイレもない、体育館のような所に避難する。
そこで国連平和維持軍の通訳として働いていたアイダは、夫と二人の息子の姿を必死で探す。
銃を持ったセルビア兵がそこにも入って来るが、弱腰の国連軍は為すすべもない。
国連軍は数百人、セルビア軍は数万人というのですから、無理もない。



施設の中を、夫と息子の姿を探して必死に駆け回るアイダ。
その鬼気迫る表情に、一体何が起きているのか、これからどうなるのか、観る側もパニックに巻き込まれます。
ようやく彼らを見つけても、彼女にはどうすることもできない。
助けてくれとボスである国連軍の大佐に必死に訴えるが、大佐には何の権限もない。
泣き叫ぶアイダを置いて、夫と息子たちは連れて行かれる。
セルビア軍は劣悪な環境の中であえぐ避難民を男と女に分け、バスに乗れという。
安全な所に連れて行くから、と。
バスに乗ったアイダの夫と息子たちが下ろされた先で待っていたのは、一斉射撃だった…



学校の教師であったアイダの元教え子がセルビア軍にいて、「先生!」と声をかけてくる。
そうした近所の人たち、或いはかつての教え子に殺される状況というのが、なんとも恐ろしい。
終戦後何年も経ってから教師に復帰したアイダが見る学芸会の客席では、敵部隊の隊長だった男が、父親の顔で笑って舞台を見ているのです。
この虐殺で8千人以上が殺されたといいます(正確な数字はまだ分かっていない)。
これを観て誰もが思うのは、ウクライナで今、同じようなことが起きているということでしょう。
分かっていてもどうすることもできないのか。
この映画の原題は「 Quo Vadis」(クォ・ヴァディス)、ラテン語で「あなたはどこへ行くのか」という意味だそうです。

公式HP 


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