足らざるを 補うことが なによりも 先に補う ことこそ常道
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伊東清
【金融資本原理主義の幕引き】
「価格のわからない金融商品を、価格のわかっ
ている金融商品で複製する。それによって元の
金融商品の価格が無裁定原理によって求まる」
というのが数理ファイナンスの基本的な考え方
が裁定されようとしている。
米証券取引委員会(SEC)とニューヨーク証券
取引所(NYSE)などを運営するNYSEユーロネ
クストの規制部門は4日、米金融大手ゴールド
マン・サックス・グループの一部門ゴールドマ
ン・サックス・アンド・カンパニーの証券部門
に対して株式の空売り規則に違反したとして罰
金を科したという。NYSE規制部門からの通達に
よると、2008年12月から2009年1月の間、ゴール
ドマンの株式執行決済部門が、顧客が保有して
いた空売りのポジションを買い戻すための十分
な株式を調達していなかった、とされている。
ゴールドマンが何百件もの株式の空売り注文を
継続して受けたことで事態が深刻化したという。
派生商品の価格などを考えるときに何故この理
論が使えるのかの理由は「派生商品というもの
は基本的に原資産との関係で価格、あるいはキ
ャッシュ・フローが決まる資産であり、一般に
原資産とその他の金利系の資産等を組合わせて
保有することにより複製(実質的に同じもの)
が可能と考えられるからである」による。
裁定取引は原理的に言って、2つの資産の組合
わせとして行われるので、基本的にこれが可能
になるためには、将来同じキャッシュ・フロー
を生む現在価値の異なる資産、あるいは現在価
値が同じで将来の同一時点で異なるキャッシュ・
フローが確実に発生する資産が必要になる。派
生商品の上記のような性質から、複製ポートフ
ォリオとの間でこのような裁定取引のスキーム
を考えることができ、よってその現在価値は複
製ポートフォリオの価値と一致しなければなら
ない、という考え方が適用できることになると
されるが、通常の金融資産(株式)などは、そ
れと同じキャッシュ・フローを生む複製ポート
フォリオを考えることは難しい。よってプライ
シング原理として無裁定理論は基本的に使いに
くいとされる。
Wiener process
A demonstration of Brownian scaling, showing
for decreasing c. Note that the average features of
the function do not change while zooming in,
and note that it zooms in quadratically faster
horizontally than vertically.
つまるところ、確率微分方程式を原理主義の拠
り所とした「無裁定永久機関」の誘導的な夢は
水泡に帰そうとしている現場に、曲げれもなく
立ち会っていることだ。そのことは、「ギリシ
ャの危機を扇動しているのが、ゴールドマンサ
ックスやJPモルガンといった米国の投資銀行
的な勢力と、S&Pなど米英の格付け機関である
ことだ。彼らは、ドルやポンドの危機を回避す
るために、ドルやポンドより先にユーロを潰そ
うとしている。ギリシャ国債を売ってギリシャ
の危機がひどくなっているように演出しつつ、
英米などのマスコミも動員して投資家の不安を
煽り、時機を見てS&Pがギリシャ国債を格下げし、
危機を激化させている」とする田中宇好みの機
能主義的帰結(「ユーロ危機はギリシャでなく
ドイツの問題」2010/04/30)(“Goldman role in
Greek crisis probed”)(“Special relationship between
UK and US is over, MPs say”)(“Euro Sales Extend
as Morgan Stanley Mulls EU Breakup (Update3)”)
の陰謀説はやがて『ダビンチ・コード』と一緒
くたにされるとしても、汲み取る<事実>対象は
明確だ。
つまり、「毎晩1本二百万円もするワインをの
み干しながら、デリバティブ商品を開発し拡販
する行動」の根っ子を問うてみても虚しい。世
界の総GDPが5,400兆円(2007年)、過剰流動総額
が66,940兆円(デリバティブ総額51,640兆円、77%)
で約8%に過ぎない(残りは債権、株式、先物商
品)からだ(※「国際投資顧問」)。寧ろ、米
証券取引委員会( SEC )が要求する「開示性」
に対する英米金融資本運営企業集団が「隠匿性」
に拘る<保守性>にある。その最後の拠り所の完
全放棄が「市場の停滞」を招くのであれば、市
場調整機構の過剰を解かねばならぬが、運用方
法や技術が問題というのであればやりようがあ
るというものだ。その意味において、従来の英
米の金融・市場原理主義の幕引きと、IMF改
革や世界銀行機構改革は最優先課題と考える。
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【ゴマサバは元祖寿司】
ゴマサバ(胡麻鯖)、学名 Scomber australasicus
は、スズキ目・サバ科に分類される魚の一種。
太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布する海水魚で
ある。日本では食用魚として重要で、近縁のマ
サバ、グルクマ等と共に「サバ」と総称される。
地方名としてマルサバ(各地)、ホシグロ(新
潟)、ゴマ(千葉)、コモンサバ(島根)、ド
ンサバ(福岡)などがある。日本近海を含む、
太平洋の暖流に面した熱帯・亜熱帯海域に広く
分布する。マサバより高温を好み、日本近海で
も夏に漁獲量が増える。沿岸域の表層で大群を
作り遊泳する。
食性は肉食性で、動物プランクトン、小魚、頭
足類など小動物を捕食する。産卵期は春で、マ
サバより産卵期が早い。マサバより脂肪が少な
いが、季節的な味の変化が少ないとされている。
夏はマサバの味が落ちるがゴマサバの味は落ち
ず、漁獲量も増える。鯖節への利用が多いが、
他にもマサバと同様に〆鯖(きずし)、鯖寿司、
焼き魚、煮付け、唐揚げ、缶詰など幅広い用途
に利用される。新鮮なものは刺身でも食べられ
るが傷みが早いので要注意。高知県土佐清水市
の清水サバ、鹿児島県屋久島の首折れ鯖など、
各地に地域ブランドがある。
真鯖より脂が少ないく上品な胡麻鯖の棒寿司は日
本一だろう。畜養から完全養殖にはもう少し時間
がかかるかも知れないが、工夫次第では健康食品
として世界に『寿司の王様』として普及していく
だろう。
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