【レトルト釜と鮎の一夜干し】
若鮎の季節がやってきた。小鮎の飴炊きも、雑炊も、塩焼きもすべてよし。イタリアンな若鮎ペ
ペロンチーノも良いが、やはり一夜干しが一番、特にJR岐阜駅で買って帰る一干しが良いね。
鮎の背から包丁を入れ→頭から尻尾にかけて背開き(頭部も半分に割る)→内臓と腹の黒い薄膜
をきれいに洗い流し→3%程度の塩水に1時間ほどつける→塩水から取り出し、容器の中にキッ
チンペーパーを敷く→塩水が表面に付いたまま容器に蓋をして冷蔵庫に入れて一日間おく。醤油
と酒、みりんでつけるのもよし(鮎の香りを味わうなら塩水)。
ところで、巷では骨まで食べられる焼き魚が話題となっているらしい。レトルト釜製法といって、
10数年前から盛んに研究会開発されてきた?!たぶんその時分からだと思うが、要するに高圧
加熱殺菌させることで骨を柔らかくすることができ、そのまま真空パックすれば常温で半年保存
でき、冷凍保存なら1年程保つということだし、何よりも、袋から取り出し電子レンジで10秒ほ
ど加熱するだけで美味しく頂けるというから便利だ。といっても実際に購入して試食したことが
ないが、そこのところは信頼しているのだ。
これらの特許・新規考案をさらっと調べてみたが、レトルト釜という装置(高圧加熱殺菌装置)
がコアにあることを腑に落とす。ザックリとした感想では、これに限らないのだが、過熱方式や
加圧媒体に新規考案の余地が大きい(水蒸気以外にも、マイクロ波、赤外線、誘電過熱など、加
圧媒体には、蒸気、空気、窒素、あるいは液化二酸化炭素など)。また評価として省エネ的側面
のCO2PT、EPT、CPTが前提の上だが、日本が鮮魚と対極の調理済み畜産水産食品の革新技術の、あ
るいはビジネスのトップ・ランナーであることに間違いはないだろう!?
【尖閣とスターウォーズ】
「スターウォーズ/エピソードⅠ」のポッドレースのコンセプトデザインを考えていたらオスプ
レーのデザインが無性に腹が立つというか気にくわなくなり、突然ネットでそのブループリント
や仕様書を調べて出していた。どうみても不格好だから、暇ならコンセプト・デザインを独自で
描こうと思い立つ(相も変わらず、性格は昔のままで直っておらんのだ)。どうみてもこの脈絡
はつながらないがこれも個性。
【ぱらぱらと寺山修治】
莨火を床に踏み消して立ちあがるチエホフ祭の若き俳優
罐に飼うメダカに日ざしさしながら田舎教師の友は留守なり
わがカヌーさみしからずや幾たびも他人の夢を川ぎしとして
寺山修司の表現活動の中で、一番永続的な価値を持つものは短歌だというが、寺山修司自身は生
命を削るような作歌は行っていないと評されてもいるが、才能とは、飛躍と見たり。ということ
であれば、命を削ろうと削るまいという一線は越えている。草田男の「燭の火を煙草火としつ、
チエホフ忌」という俳句をもとにしながらも、「煙草火」と「チエホフ」という取り合わせを
導入し、「床に踏み消して立ち上がる」という動作を加えることで、舞台の表裏をたちまちのう
ちに反転し鮮やかに逆照射させる。寺山修治は「どんな鳥だって想像力より高く飛ぶことはでき
ない」と『邪宗門』に記したが、空想家の寺山がなりたかった透明人間には到底なれなかったと
いうこの歌を紹介した藤島秀憲は、田舎教師がメダカに変身したのではと考える。「さみしから
ずや」とあるのは牧水の引用だと指摘される三首目も、日本の詩歌は他人の引用の上に遊ぶもの
ともいえ、その営為がさみしいとするのは正直な表白であり、彼にしては珍しいと評されている。
短歌が全く書けなくなってもう一年以上経つが、自然体で構えている。そんな心境でいても、ど
んなに疲れていても、短歌に対する渇望は消えることがない。実に不思議だ。