夜もふけて、ぐでんぐでんになって、能登の語り部となったじろべさん。
山ごやじろべの案内チラシで、何ができるかというところには、
山菜収穫体験・畑の草取りや土寄せ、収穫等の農業体験・
下草刈、枝打ち、木起こし等の林業体験・能登の民謡・民話語り・
囲炉裏で焼いた魚、山菜料理、郷土料理の試飲・市内観光案内
じろべさんが2002年に自家出版されたエッセイ集に、
中山間地型のグリーンツーリズムという一文が載せられていた。
許可を得ましたので、そのままを転載させていただきます。
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都市住民で、たまに農村へ、それも工場の煙の見えない所か、ビルの天辺の見えない山間地で、農家に泊り、農作業の手伝いをしてみたいと思う人はいるのかな。
こんな人達を受け入れて、農家は副収入を得られるのだろうか。
相当、行政がテコ入れしてやらないと、ホスト役を受ける農家はないのではないか。
もし山間地のグリーンツーリズムが立ち上がったとすれば、こんな一場面がみられるのではなかろうか。
「お客さん、朝だよ。今日もよく晴れているよ」
「ほんとだ。朝日が眩しいな。うぐいすって年がら年中鳴いているのかね」
「お客さん、放し飼いのにわとりが梅の木の下にたまごを産んでいるから集めてちょうだい。それからきゅうりとトマト、こまつなを自分で食べられるだけ収穫してきて。
そうそう、畑の端にあるブルーベリーもね」
「すごーい。とりたての野菜を食べるの初めて。産みたてのたまごおいしいだろうな」
「お客さん、朝ごはんが終わったら、わしらは杉の木の下草刈りに行くが、よかったら一緒に行くかい。嫌なら、向こうの林にハンモックが吊るしてあるから、寝そべって本でも読んでいたらどうかね」
体験農家とゲストの朝の会話だ。
これくらいの世話なら、たいていの農家はできないことはない。
「あのー、今何時。いやーん。まだ7時じゃなーい。ゆっくり休みたいのよ。起こさないで。朝のメニューなーに。私、生たまごだめなの。たまご焼きにしてね。
おじさん、風呂沸いている。風呂に入ったら朝市案内してね。お母さんからアジの干物買って来るように頼まれたの。輪島ってお魚美味しいんでしょう。
今夜はお刺身と焼き魚をお願いよ。お金はあるの。心配しないで」
こんなゲストならお断りだ。でも来てみるまで分からない。
果たして、中山間地にグリーンツーリズムが定着するのだろうか。
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じろべさんは長年、グリーンツーリズムの夢をあたため実践されていたんですね。
定年退職された年、地元新聞で紹介されていました。
有名人の似顔絵をとても上手に描かれています。
手作りの額で表装してガレージの壁にびっしりと並んでいました。