フランス・ノルマンディー地方南のサン・マロ湾上に浮かぶ小島にモンサンミシェル修道院があります。
干潮と満潮の差が15mとヨーロッパ最大で、
島に鎮座する巨大な建物とその歴史的価値から1979年世界遺産に指定されました。
満ち潮の時には海に浮かび、
引き潮の時には自然に現れる陸橋で陸と繋がる。
「西洋の驚異」と称されるカトリックの巡礼地のひとつだそうです。
ところが1877年に対岸との間に地続きの道路が作られ、
潮の干満に関係なく島へと渡れるようになったけれど、
潮流をせき止めることとなり100年間で2mもの砂が堆積。
さらに10年前に観光バスなどが通れる道路が整備され、急速な陸地化が島の周囲で進行しているようです。
海に浮かぶモンサンミシェルではなくなったのです。
このニュースをTVで見ました。
かつての姿を取り戻すべく2009年には地続きの道路を取り壊し、
2010年には代替となる新たな橋がかけられる予定で工事が着々と進んでいました。
これに反して、わが国日本は西九州・諫早堤防開門問題。
国営諫早湾干拓事業による潮受け堤防の閉め切りによって、
漁業環境が悪化したとして長年争われてきました。
6/27夕刊には佐賀地裁判決で、漁業被害を認定し開門を命じたと載っていました。
国による総事業費は2533億円。
国側は裁判の判決にも聞く耳持たぬ姿勢で、控訴するとみられているそうです。
今年の4月から干拓地の営農が始まっています。
堤防上を走るというツアーもよく企画されています。
5月終わりの西九州ツアーでは、島原半島を下ったので遠くにその干拓地が一瞬見えました。
実際に堤防上を走った「
団塊の世代のこれから」さんのブログでは、最後こう締めくくられていました。
「諫早湾干拓」とは一体なんだったのか・・・
もともとは戦後の食糧不足の時に計画された農地確保を目的とした計画だったのだ。
あのギロチンのボタンは、たった1個で事足りたのに、
ダミーを10数個作って、「連帯責任」としたのだという。
いや、責任回避と言うべきか。
その人たちはいまでも「干拓は絶対に必要だった」と胸を張って言えるのだろうか。
いずれにしても近い将来、歴史はきっと証明してくれるであろう。
自然や魚介類をはじめ全ての生きとし生けるものを無駄死にさせた責任は重い。」