
ゆさ企画『MEDDLE CONCERT』
出演:壊れかけのテープレコーダーズ/愛のために死す/シベールの日曜日/OA:ぬーとなかい
愛のために死す、シベールの日曜日のベーシスト早川洋平氏が10月末に東京を離れバンドを脱退してしまうことになった。両バンドと仲の良い壊れかけのテープレコーダーズのキーボードの遊佐嬢が企画したイベントが、彼らが最新作「ハレルヤ」をレコーディングした吉祥寺のGOK SOUNDで開催された。1993年に吉祥寺に移転オープンして以来、数多くのバンドがリハーサル/レコーディングを行ってきたレコーディング用スタジオをレンタルホールとして開放。55畳あるのでちょっとしたライヴハウス並みの広さだ。愛のために死すは7月にやはり吉祥寺の練習スタジオで公開ライヴを行っており、そこに遊佐嬢やシベールの坪内氏も遊びに来ていたので、それが今回のイベントのヒントになったのかもしれない。
仕事が終わり次第急行したのだが開演には間に合わずオープニング・アクトのぬーとなかいはラスト・ナンバーしか観れなかった。女性vo&g2名と男性b+dsの4人組。ベースは本日の主賓早川氏。異形人/ゴイゾンのニラ氏が来ていた。いつも高円寺界隈のいかがわしい場所でしか会わないので意外だったが、早川氏とぬーとなかいのドラマー氏と知り合いだという。スタジオは若い観客でいっぱい。
本編のトップは愛のために死す。ヴォーカルの弦人氏は激しい曲ではジャンプ&シャウトし客席に飛び込んでくる。観るのは2回目だが前回同様正統派ロケンローの伝統を引き継ぐ地に足のついたサウンドが印象的。初期のローファイ・サイケデリック・サウンドの狂気を秘めた演奏はただのロケンロー野郎とは違った迫真性がある。歌い上げるバラード・ナンバーも聴き応えたっぷり。早川氏の脱退まで数回ライヴがあるようだから観に行くといい。
続いて壊れかけのテープレコーダーズ。彼らを初めて観たのは2年半前。正直言って初めて観た時の印象はほとんど残っていない。2度目に観たのはシベールの日曜日との2マンで、その時に遊佐嬢のチャーミングさとポップな曲調の端々に漲るサイケ魂を認識した。以来、灰野さんとの対バンや明星音楽祭で観るとともに、遊佐嬢がシベールの日曜日や坪内和夫とサンデーズにゲスト参加したり、UFO CLUBや下北沢のライヴハウスでvo.gのコモリ氏に会ったり、いろいろなところで遭遇してきた。2011年5月に三軒茶屋Heaven’s Doorで初のワンマン・ライヴを成功させ、今年6月には3作目のアルバム「ハレルヤ」をリリース。ジャケットの遊佐嬢の写真がと・き・め・き。"ドリーミィ・サイケデリック・ガレージ・ロック・バンド"を自称するだけあり、所謂日本のサイケ特有の湿っぽいアングラ臭を排した爽やかなポップ感が魅力。
トリはシベールの日曜日。早川氏は本日3バンド目の出演。坪内氏はフリル付シャツを着用、独特の美意識を発散する。サイケなライトショーがスタジオの雰囲気を一気に"不可思議の森"に変えてしまう。トリオになって以来追求し続け、最新作「Gypsy House」で結実したファンキーなビートとトリッピーな浮遊感を湛えた独自の世界を生で体験できるのは嬉しい。途中でギターの弦が切れるアクシデントがあり、一瞬だが壊れかけのコモリ氏愛用のSGを構えた坪内氏の姿が脳裏に焼きついたて。60分のロング・セットに想像の翼が無限に広がった。9月20日(木)幡ヶ谷forestlimitでの「村の緑の保存協会」と題されたレコ発(共演:los doroncos)が楽しみでならない。
このように仲の良いバンドが共同で企画ライヴを行うことは大変意義深い。企画者の遊佐嬢と出演バンドのメンバー、スタジオ・スタッフの協力による手作りイベントは温かい人間味に溢れていた。
大活躍
早川君よ
永遠に
そういうわけで愛のために死すとシベールの日曜日はそれぞれベーシスト募集中のようである。我こそはという方は連絡してみてはいかが?