A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

不失者@名古屋 TOKUZO 2012.9.21 (fri)

2012年09月23日 00時56分35秒 | 灰野敬二さんのこと


『まぶしい いたずらな祈り』
・不失者

9/18リリースの不失者のニュー・アルバム「まぶしい いたずらな祈り」レコ発東阪名ツアー~難波ベアーズ2 days/名古屋TOKUZO/渋谷WWW。昨年1月に心斎橋クラブクアトロに不失者を観に行った友人と再び地方遠征することにした。昨年は友人がひとりで自動車を運転して2泊1日の強行軍で多大な苦労をかけたが、今回はバスで名古屋ヘ行くことになった。東京にいると日本のアーティストのライヴなら大抵何でも観ることが出来る。特に灰野さんは都内で月数本のライヴを行っているのでいつでも観ることは可能だ。しかし地方ではそういう訳には行かず、年に1~2回くらいしか来ないアーティストのライヴにお客さんもアーティスト本人も東京とは違った気合いと熱気が感じられて新鮮である。また、ベアーズやTOKUZOのような有名なライヴハウスには一度は行ってみたいと思っていた。

朝新宿を出て6時間、夕方4時に名古屋に到着。10数年ぶりだ。栄周辺はうっすら記憶に残っているが、ショッピング・ビルは殆ど建て変わっている様子。まずは今池にあるTOKUZOへ場所確認も兼ねて向かう。一階が飲み屋の青いトタンの建物の2階。不失者のサウンドチェックの音がだだ漏れだ。友人の話だと騒音問題で夜10時以降は音出しが出来ないとのこと。今回TOKUZOのHPとパンフレットの不失者の紹介文を書かせてもらったのだが、依頼いただいたTOKUZOのPA担当で自主レーベルオーナー兼ギタリストの臼井康浩氏に挨拶する。"音楽する赤ちょうちん。ライヴの後は朝までやってる呑み屋"と称するTOKUZO(得三)はまさに天井が高いビアホール風居酒屋という風情のユニークな空間である。ステージの昭和の香り漂う作りもいい感じ。

名古屋といえばひつまぶし、と友人が数年前に行ったというウナギ屋へ行ったら値上がりしていてウナギには手が出ずその店の一番人気という豚ロース照焼き定食を食す。開場時間が近づいてきたので、常に最前列を目指す我々は先頭を確保すべくTOKUZOへ向かうが既に5人位並んでいた。ひとりは東京の灰野さんのライヴ友達の女性で大阪・名古屋3日連続で観に来たという。

椅子が並んでいてリラックスした気分で観られる。地元のミュージシャン/アーティスト関係のお客さんもいるようで個性的な人が多いが、東京よりも和気あいあいとした雰囲気で、灰野さんのライヴの定番のヴァイオリンのSEやお香の香りも厳粛な雰囲気にはならないのが面白い。丁度この日まで映画「ドキュメント灰野敬二」が公開されていたのでお客さんの殆どが観ている筈。映画の中の不失者のスタジオ・シーンを観れば、実際のライヴ演奏がどのように生まれたのかが判り興味深い。

10分遅れで3人がステージに現れる。新作CDのレコーディング・メンバーはナスノミツル氏(b)&高橋幾郎氏(ds)だが、ライヴは若手の亀川千代氏(b)&Ryosuke Kiyasu氏(ds)の長髪トリオ。まずはドラムの断続する打撃音に徐々にベースが加わる展開でスタート。10分くらいそれが続いた後、灰野さんがクリアトーンのギターをつま弾きながら歌う。 曲の途中で「Eの1」というような言葉や大きなジェスチャーで演奏の指示を出す。厳格に抑制されたストイックな演奏が続く。会場のエアコンが結構寒いが演奏も氷のようなクールネスを発散。灰野さんはギターよりも歌=言葉に重きを置いたパフォーマンス。言葉の一語一句がナイフのように空間を引き裂く。亀川氏とKiyasu氏のインタープレイは丁々発止とした居合い抜きのようだ。1時間近くピンとした緊張感に溢れた演奏が続き、徐々にヘヴィ・ロックに転換。ロック本来の原初性とエネルギーを放出する「暗号」の30分に亘る重たくうねる演奏はこの新生トリオの真骨頂、この日のハイライトだった。珍しく灰野さんはサブ・ギターを用意している。ニューモデルの赤いギブソンSG。途中で持ち替えて演奏。最近は愛用の茶色のSG以外のギターを弾く姿を観てなかったので何だか新鮮だ。「あっち」「おまえ」といった代表ナンバーを挟みつつ新作の「まぶしい いたずらな祈り」も披露。前回のFREEDOMMUNE 0<ZERO>からさらにどっぷりと深化した演奏を展開した。コメントにも書いたが文字通り"唯一無二"の灰野ワールドを体験できた150分だった。観客は唖然とした様子でアンコールの拍手も起らなかった。後で聞いたら実はアンコール曲を用意してあったそうだが。



今回のツアーは機材一式をヴァンに積んで持ち込みライヴだったとのこと。サブ・ギターも東京から持ってきたという。ローディーとレコード会社の人が同行したが、灰野さんはさすがに3連チャンで声がキツかったと言っていた。

ライヴの後そのまま飲み屋に変わるのがTOKUZOならでは。お客さんがグループ同士で談笑を始める。深夜バスで東京へ帰るので灰野さんと臼井氏に挨拶して名古屋駅へ向かった。先日の福島遠征の教訓で深夜バスの必需品、空気枕を持って来たので狭い座席でも快適に眠れた。

得三の
不失者ライヴ
昭和風

9/27の渋谷WWW公演にはやくしまるえつこ嬢がスペシャル・ゲストとして朗読ライヴで参加が決定した。
10月上旬から不失者としてヨーロッパ・ツアーへ出発する。


コメント (4)
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