A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二/東野祥子/山川冬樹etc.~DANCE TRUCK PROJECT@横浜 新港ふ頭入口前 特設会場 2012.9.9 (sun)

2012年09月11日 00時33分06秒 | アート!アート!アート!


"トラックの後部を使用するモバイルの「ダンス・トラック・プロジェクト」。
港湾都市・横浜の水際に、ダンスを軸に、美術や映像、照明のインスタレーション、LIVE演奏/DJなど、3日間出現する特設の異空間。独自の身体感でダンス/音楽/映像/美術を創りだすアーティストたちが、トラックの極小スペースの特異な上演状況や都市の景観からインスパイアされたパフォーマンスを展開します。
ポートランドの総合芸術祭「TBAフェスティバル2011」で同プロジェクトに参加した東野祥子とOffsite Dance ProjectとのCo.キュレーションにより、2009年に米国ジョージア州アトランタ市のNPOと連携し、日本で初開催します。"(DANCE TRUCK PROJECT HPより)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

横浜は毎年恒例のジャズ・プロムナードや横浜トリエンナーレなど文化事業が盛んに行われている街だが、今年の7月12日~10月6日の約3ヶ月に亘って「ダンス・ダンス・ダンス at ヨコハマ2012」と銘打った大規模なファスティバルを開催中である。100を超えるイベントが市内各地で開催され横浜をダンスの街に変える。バレエ/コンテンポラリー/ストリート/ワールド/チア/ソシアル/ワークショップなど様々なジャンルのダンスが展開される。

その一環でダンス・カンパニーBaby-Qを主宰する東野祥子嬢を中心として開催されたのが「トラック・ダンス・プロジェクト」。説明にある通りトラックの中でアーティストがパフォーマンスするという企画だが、実際に会場に行くまでどういうものか想像がつかなかった。

10年位前は赤レンガ倉庫のジャズ・クラブ「モーション・ブルー」によく通ったものだが、みなとみらい線が出来て以来この界隈に来ることは滅多に無くなった。馬車道を海の方へ歩いて10分、暗くて足元もおぼつかぬ空き地に不思議なオブジェが浮かび上がる。係員が懐中電灯で地面を照らして観客を誘導している。説明にあるように正に水際に突如出現した異空間。


好天にも恵まれ50人以上の若者で賑わっている。舞踏/ダンス公演では"観客全員知り合い"的な雰囲気があり多少のアウェイ感を感じることがあるが、東野嬢主宰のイベントはとても開放的で初めてでも寛げて居心地がいい。しかも野外で海辺の風が頬に当たり最高の気分。地面が石だらけだったので簡易チェアを持参して正解だった。出演者は所謂舞踏家ではなく、灰野さんを始め幅広い活動をしている個性派パフォーマーばかりだ。

一番手が灰野さん。事前にスタッフのツイートでパーカッション&ダンス・ソロだと判っていたのでシビアな音との対峙ではなく、リラックスして灰野さんの動きを楽しむ気持ちで観れた。真っ暗な中にぽっかり空いた四角い空間でパフォーマンスする姿はまるで映画を観ているようだが、実際にその場で生で演じているのが不思議で幻想的。タンバリン、シンバル、ウォーターフォン、鉄琴など様々なパーカッションを叩き舞う20分間。数年前横浜トリエンナーレのイベントで美術館でパーカッション&ダンス・ソロを観たことを思い出した。



2番目は東野祥子嬢の「the VOID」と題された演目。何度観てもキビキビした動きとしなやかなバネに感心するがこの日も四角い舞台一杯に使っての弾け飛ぶようなダンスが素晴らしかった。月並みな表現だが正に"元気をもらえる"ダンスである。



インターミッションとしてoff-Nibrollによる映像インスタレーションがあり、その間にビンゴ・カードが観客に配られる。プレゼント大会でもやるのかと思ったら、続いて登場した鉄割アルバトロスケットのパフォーマンスの小道具だった。3人のメンバーによるシュールなショートコント6連発。ギャグがかなりスベッていたので売れないお笑い芸人かと思ったら、意外に真面目なパフォーマンス集団のようだ。



4番目は白井剛/Dillによる「ツキワクモノス」。Dill氏がキーボードとギターを演奏し白井氏がパフォーマンス。コンセプトがあるようなないような微妙な展開。即興アンビエント・ダンスとでも呼ぼうか。音響・照明効果を活かした演出が良かった。



最後は山川冬樹氏。灰野さんと共演したり日本の前衛音楽シーンを描いた映画「WE DON'T CARE ABOUT MUSIC ANYWAY」に出演したりと現代アート界の注目株である。上半身裸で胸にライト灯を付けセッティングを完了すると音を鳴らしたまま会場の外へ駆けて行ってしまった。観客が戸惑う中、何食わぬ顔で戻ってきてステージへ。ホーメイを歌いながらのギターを2台使ったパフォーマンスは観て良し聴いて良しの素晴らしいものだった。



灰野さん目当だったが、これほど開放感があってバラエティに富んだイベントなら誰が出演しても面白いに違いない。横浜という異国情緒たっぷりの街に相応しいイベントだった。

ダンスとは
踊るだけでは
ありません

唯一の心残りは屋台のカレーが品切れで食べられなかったことである。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする