A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

Poetry♥Music 2014:歌う詩人の集い~頭脳警察/白石かずこ/遠藤ミチロウ/町田町蔵/松永天馬etc.

2014年01月04日 04時07分12秒 | 素晴らしき変態音楽


寺山修司に捧げられた頭脳警察の最新作『暗転』収録の「詩の朗読という詩」は、PANTAと灰野敬二のデュオナンバー。クレジットには作曲:灰野敬二とあるが、明らかに即興で奏でられるギターとPANTAの力強い詩の朗読が見事に交感し、恐ろしい程立体的で奥行きのある映像音響を創造している。数多い灰野のコラボレーションの中でもピカイチの完成度といえるだろう。同時代的に活動し何度も対バンしているにも拘らず、今回が初共演だという。還暦を過ぎてのコラボが、円熟した両者の表現行為に化学反応をもたらしたことは間違いない。ここでPANTAがメロディの無い朗読で灰野と対峙したことは、タイトルとは裏腹に灰野がメロディの無い声(VOICE)でデレク・ベイリーの非イディオマティックなギターに絡んだ1996年の共演アルバム『SONGS(歌たち)』を彷彿させる。PANTAが読むのは言葉の意味が強烈な存在感を主張する寺山修司の詩だが、それにも拘らず言葉に引き摺られることなく音楽としての抽象化がなされているのは、一重に灰野のギターのパワーによるものだ。1969年頭脳警察がデビューと共にセンセーションを巻き起こした一因は過激な社会性のある歌詞だった。有名な「世界革命戦争宣言」は赤軍派のアジテーションだが、ギターとコンガのビートによりロックナンバーとして成立している。




正月特番の秋元康×近田春夫×久米宏のトークで曲作りに於いて曲先か詞先か、という話が興味深かった。いい機会だから、詩(Poetry)と音楽(Music)の抜き差しならない関係について思いを巡らせてみた。

●ザ・ファッグス


詩の朗読を音楽と組み合わせる試みは遥かな昔から行われてきたのは確かだが、ポエトリーとミュージックを自覚的に結びつけたのは50/60年代のビート詩人であろう。ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグが有名だが、ビート詩人によるバンドといえばファッグスにとどめを刺す。ニューヨークのローワー・イーストサイドを拠点に、エド・サンダース、テューリ・カッパバーグ、ケン・ウィーバーという3人のビート詩人が1965年に結成し、前衛ジャズ・レーベルESPと契約し3枚のアルバムをリリース。テクニック的には未熟ながら、それ故ヴェルヴェッツに通じるような情念のパワーに溢れるサウンドを聴かせる。現在のフリーフォークに通じるサウンドとパンキッシュで投げやりな歌は衝撃的。60年代後半にメジャーのリプリーズと契約、音楽的によりテクニカルなバンドに生まれ変わり、世界中で大きな支持を集めた。




●白石かずこ


1931年カナダ・バンクーバー生まれの女流詩人。10代から詩を書き始め、早稲田大学文学部在学中の1951年、20歳で詩集『卵のふる街』を上梓。モダニズムとシュールレアリスムの影響のある前衛的な作風でセンセーションを巻き起こす。60年代に数々の詩作を発表し時代のカルトクイーンとなる。同時期にビート詩人やジャズの影響を受け、新宿のクラブで詩と音楽をミックスしたライヴ活動を開始。1977年にアメリカでリリースされたアルバム『Dedicated to the Late John Coltrane (ジョン・コルトレーンに捧ぐ)』はサム・リヴァースをはじめとする新進気鋭の前衛ジャズメンをバックに硬質な詩を朗読するカルトな一枚。82歳になる現在もポエトリー&ミュージックのライヴを続行中。ジュンコ対サチコの仁義なき闘いに、カズコが参戦する!




●福島泰樹


1943年生まれの僧侶・歌人。早稲田大学哲学科在学中に早稲田大学短歌会に入会。同時に安保闘争をはじめとした学生運動にも関わる。1969年、第一歌集「バリケード・一九六六年二月」を刊行し、安保闘争世代の熱気を表現し注目される。1976年よりシンガーソングライターの佐藤龍一と共に、歌謡の復権を目指し「短歌絶叫コンサート」を全国で開催。これまでに海外含め1200ステージをこなす。頭脳警察の石塚俊明もバンドに参加、友川カズキや筋肉少女帯とも交流がある。




●叫ぶ詩人の会


1990年に結成され、1994年にメジャーデビューしたロックバンドである。現代詩の朗読(ポエトリーリーディング)とパンクロックを主体とする独特のパフォーマンスで大きな話題を呼んだが、メンバーの覚醒剤不法所持事件をきっかけに、1999年に解散した。主要メンバーはボーカルの「ドリアン助川」(明川哲也)とドラマー「きりばやしひろき」と我童。解散後、メンバーはそれぞれにラジオパーソナリティなどもつとめるほか、著書なども数多く出版している。




●遠藤ミチロウ&町田町蔵
 

それぞれザ・スターリン、INUというパンクバンドでデビューした両者は、言葉を重視した詩作とヴォーカルスタイルで知られる。現在、遠藤はシンガーソングライター、町田は作家と、言葉を武器にして絶賛活躍中。






松永天馬(アーバンギャルド)


前衛都市の頭脳にして煽動家。アーバンギャルドは勿論、人気アイドルの詩作も手がけ、SFマガジンをはじめ様々な媒体で小説や散文詩を書く。ステージでの詩の朗読コーナーも人気。多彩な才能はいちバンドマン、いちミュージシャンに留まらず、モダンカルチャーの裏トレンドセッターとして闇の花を咲かせるに違いない。ニコニコブロマガ掲載の「アーバンギャルド松永天馬・詩ねないぼくら」は、現代社会に於ける詩人・思想家のあるべき姿を示唆している。




詩と音楽
詩人と楽人
死と極楽

●安井かずみ


売れっ子作詞家が歌ったこのアルバムもおススメ。カズコとカズミは同一人物と考えてよろしい。




コメント
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