◆◇「月と衝突」2014新春【4】DAYS◆◇ -3日目-
【月見ル presents 弾き語り連続企画 「月と衝突」】
<出演>灰野敬二 / 青葉市子 / マヒトゥ・ザ・ピーポー(下山)
3日目の衝突は、こちらの3マンライブ。
事件のような、閃光のような、どんな一夜になるのか。
目撃必須です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
2014新年のお祝いとして、年明け早々 ブチ・盛り上げます!!!!!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
昨年からスタートした、
月見ル presents 弾き語り名物企画 「月と衝突」
こちらを なんとッ 年明け早々、2014新春特大号として
【1月6日(月)~9日(木)】に、スペシャル4DAYS連続で 開催いたします!
事件のような?閃光のような?一体 どんな4日間になるのか…?
衝突を 繰り返す満月のさまを、是非!目撃しにいらしてください。
昨年半ばからアコースティック系のライヴを観ることが増えた。勿論それまでもアコギや生楽器の演奏はたくさん観たし、灰野敬二の民族楽器やガットギターに魂が震える経験もした。しかし特別にアコースティックということを意識したことはなかった。というか10代で刷り込まれたアコギ=四畳半フォークのイメージを引き摺り、どちらかというと苦手だったかもしれない。ギャスパー・クラウス『Jo Ha Kyu』で観て震えた友川カズキと、アイドル軍にアウェー対戦する大森靖子との出逢いが転機だった。特に靖子の軽やかな重力からの離脱感は、アイドルの必死とアングラの決死の狭間にも耳を傾けるべき霊魂が存在することを教えてくれた。同時期にキノコホテルのイザベル・ケメ鴨川のソロ、浅井健一のアコースティック・ライヴ、下山(Gezan)とテニスコーツのコラボなどと遭遇し、90年代末に流行ったフォーキーという名称を思い出した。畳み掛けるようにマヒトゥ・ザ・ピーポー、青葉市子、倉地久美夫、ジェイク・バグ、山崎怠雅などのアコギ旋風に巻き込まれ、夏が過ぎる頃には、今最も面白いのはアイドルとフォーキーだと確信した。
アイドル戦国時代は数チームが戦場を聖地(日本)武道館に移すことで、NEXT LEVELに駒を進めることは間違いないが、さてフォーキー蜜月時代は如何に?と思っていたところ、満月ハウス「月見ル君想フ」にて四夜連続イベントが決定。規模は(日本)武道館の50分の1だが、熱量は50倍増という濃厚な裏聖地。ステージ背景の丸い月を誰が撃ち落すのか、見届けるために潜入を試みた。
●マヒトゥ・ザ・ピーポー
O-nestでの下山(Gezan)の東京初ワンマンから丸1年。個人的には様々な想いが交錯した12ヶ月だったが、4人はそんなの関係ねェと進撃の巨人さながらにマイウェイを突き進んだ。超高速スピードに着いて行くのは困難を極め、年齢的に無理と諦めもした。そんなわけでマヒトのソロは初参戦。イマドキ女子が目立つ満席の観客が見守る中で、張りつめた糸の上を爪先立ちするように繊細な歌とギターが流れ出す。芯にあるのは激烈なやさしさだが、バンドやエレキギターなしの無防備な魂が剥き出しになった。ソロCD『沈黙の次に美しい日々』は泣けるのでひとりでは聴かないようにしているが、満月の下で歌うマヒトは下山(Gezan)で暴走する姿と全くブレがない。演奏しながらも客席後方で見守る3人のメンバーと心が交感していることをひしと感じた。
●青葉市子
筆者が昨年8月の下山の企画イベントで初めて観た青葉市子は、マヒトの紹介で灰野敬二のことを知ったという。マヒトと灰野は下山の大阪時代からの知己だから、灰野とマヒトと青葉と(おこがましいが)筆者は、運命の糸の導きでこの場を共有しているといえる。昨夏の渋谷WWWでは予備知識ゼロだったので、飛入り参加だと思った童女がアコギを抱えて歌い出したのに呆気にとられたが、今回は心の準備は出来ていた。前髪ぱっつんのロングヘアーをお下げに編んでベレー帽を被った姿はPHEWかやくしまるえつこ。ギターを爪弾き発声した途端に場の空気が、マヒトの余韻の緊張感から柔らかい安堵感へと変わる。青葉の演奏を観ていると何故かNHKのスタジオにいるような気になる。何度聴いても覚えられないセンシティヴなメロディに酔ううちに気分はNHKホールに変わる。彼女の歌は場末のミュージックホールよりも由緒正しい音楽堂に相応しい。これから舞台で忙しくなるらしいが、劇場(シアター)こそ本領発揮かもしれない。最後に下山/マヒトの「春の膝」を歌う。透明な声で自分の世界に塗り替えたことで、逆に楽曲の魅力が浮き彫りになった。
●灰野敬二
以前此の会場で灰野はテニスコーツと共演した。音量的に限界のあるふたりに灰野は時にヴォリュームゼロのエレキギターで交感し、音楽の強さに音の大小は関係ないことを示した。今回の弾き語り縛りに灰野はエスニック楽器で応えた。蛇腹ボックス2台の人力アンビエント演奏とアイリッシュハープ、ブルガリの弾き語り。蛇腹ボックスを観るのは初めてだが、座り込んで両手で楽器を操る姿は、ドラムマシンやエアシンセ演奏、またはDJプレイとオーヴァーラップする。本来肉体性を必要としない楽器(機械)に生命を吹き込む灰野ならではの魔術である。他の2つは昨年末の長時間ライヴでもフィーチャーされたが、此の部分だけ抜き出すことで、歌の核心を曝け出す誘発剤の効果を発揮した。歌詞は微妙に変形しているが、どれも40年間歌い続けてきたと同時に不失者の新作に収められた最新の歌でもある。2005年のこどもの日に新宿で10人限定で披露された「稀にしか姿を現さない音の楽器(かたち)」と題された希少なライヴを思い出した。
(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)
●灰野敬二+青葉市子+マヒトゥ・ザ・ピーポー
三人のソロのあとに想定外のトリオ・セッション。左右の灰野とマヒトはエレキギター、センターに青葉が座る。音量を絞ったギターと青葉の物音ノイズ、灰野と青葉の歌、ビニール傘と月面のコラボ、耐え切れず悲鳴を上げるギター。漠然とした心象風景を綴るような交わりは、不完全ながらも三者が同じステージに立つ理由を仄めかしていた。
弾き語り
三人寄れば
もんじゅ君
此の記事を書いている間に終わった「月と衝突」4日目にDrop'sの中野ミホが出演したことに今気づいた。昨年末のワンマンを残念ながら見逃しリベンジを誓ったのにまさかの失態。推しバンドのスケジュールはストーカー並みにチェックしなきゃダメだな。