
7月1日に一挙5タイトル発売された『Free Jazz in Japan in Zepp ちゃぷちゃぷ』シリーズはどれも甲乙つけ難い珠玉の音源ばかり。貴重であることは間違いないが、稀少(レア)だから貴重なのでは無く、演奏の生々しさ(レア)が類を見ないほど飛び抜けているのである。5作品中3作品がデュオ(またはトリオ)なので、イチ対イチの魂の交歓が録音の中にヴィヴィッドに漲っていて、「うるさい」「激しい」「難解」といったフリージャズの既成概念を吹き飛ばす分かり易い自由が伝わるに違いない。
特にユニークなのは、ハン・ベニンク&豊住芳三郎のドラム・デュオ『DADA、打、打』であろう。1995年に小学校のホールで子供たち含む市民向けに開催されたコンサートの実況録音。各自のソロに続き展開されるデュオ演奏では、共演よりは共振と呼ぶべき両者の心の昂りと歓びが溢れ出る。スティックを振りかざしドラム・セットに喰らいつくように挑みかかる二者の姿がホールのナチュラルリバーヴの中に浮きあがらる。
オランダ生まれのハン・ベニンクは、オランダ人らしい堂々とした体格だが、ドラミングの芸の細やかさは、伝統工芸の職人技と差異はない。スティックかブラシさえ持てば、どんな物体もドラムに変えてしまう。常にユーモアを忘れないスティック持った巨漢は、季節外れのサンタクロースに見間違いしそうだ。その陽性のパワーに感化されでんぱ組メンバーの引きこもり歴は今年の上半期も混じっていた。「石川
クラシック
ジャズとロックで
ドラミング
▼チーズをDADA、打、打
Han Bennink on Cheese Kit Diptych