70年代末に日本のパンク/ニューウェイヴの自主制作盤がレコード店に並び始めたが、真っ当なパンクロックよりもアヴァンギャルドなレコードが多かった。『NOISE/天皇』『19/JUKE』『愛欲人民十時劇場』『NORD』『Sympathy Nerves』などを聴いて深みに嵌り、高3〜浪人時代にカセットテープでインダストリアル音響を録音、大学に入って吉祥寺の地下音楽のメッカでバイトを始めた。しかし、非常階段の放尿、ハナタラシの火炎瓶、山崎春美の自殺未遂など過激なライヴを見聞きするうち疎遠になり、80年代後半はサイケやプログレに興味が移った。だから90年代ジャパノイズブームは経験していない。ミュージックコンクレートや電子音楽は好きだったが、「ノイズ」は音楽的テクニック無しで騒音を垂れ流し、犯罪と紙一重のパフォーマンスをする連中と決めつけスルーしていた。
それが一転「21世紀のノイズ中毒者(21st Century Noise Addict)」となってから、海外だけでなく日本のインダストリアル・ノイズ音源も無我夢中で探しはじめた。噂だけで苦手だった非常階段やハナタラシ、電子ノイズのメルツバウやインキャパシタンツやマゾンナ、暴力温泉芸者などの音源を集め、出たばかりのポータブルMP3プレイヤーに入れて24時間聴き狂った。全裸で自慰行為をすると聞いて避けていたゲロゲリゲゲゲもジャパノイズの不可欠な存在として俄然興味が沸いたが、中古レコード屋では5桁の値段。ホワイトハウスやM.B.やTNBには平気でその値段を払うのだが、マスカキ親父にその金額はちょっと抵抗がある。そこでヤフオクで探すことにした。
●The Gerogerigegege – Sen zuri Champion(Vis A Vis Audio Arts – V-001/1987)
(¥5670/2003.8.1/ヤフオク)
先に手に入れた1st LP。ゲロゲリには「千摺り」タイトルが多い。音圧が異常に高い鬼畜ノイズが炸裂するサウンドは、パンクで言えばザ・ブルーハーツの1stに匹敵する、ノイズ初期衝動の生々しいドキュメントである。数曲に入っている千摺りの喘ぎ声がココでは耳障りなノイズとして聴こえるのが興味深い。昭和の色濃いジャケットも秀逸。
The Gerogerigegege – Senzu ri Champion
●The Gerogerigegege – Showa(Vis A Vis Audio Arts – VLP-010/1988)
(¥????/2010.1.15/ヤフオク)
1stの数年後に2nd LPを入手。やはりヤフオクで落札したと記憶しているが、値段も日付も記録が残っていない。それは何故か?アルバムを聴いてみれば理由が分かる。決して期待していた訳ではないが、初めて聴いたとき「なるほど」と思うと同時にあまりの無意味さに大きな徒労感を覚え、記憶から消し去りたかったのである。存在を無にする「ノイズ」を無音ではなくサウンドの形で提示した唯一無二の作品だと言える。意味の有無を問いかける老人のポートレートがアート志向を否定している。別仕様のラモーンズジャケはパロディを装った分、無意味なインパクトに欠けている。
The Gerogerigegege – Showa (Side A)
●The Gerogerigegege – パンクの鬼 (Tokyo Anal Dynamite)(Vis A Vis Audio Arts – VCD3/1990)
CDの入手記録は残っていないが、2011年震災後に中古CDショップで1200円前後で購入した物と考えられる。30秒前後の曲を75曲収録しただけなら無意味ですむが、すべてが究極のパンクロックの名曲であることが、このアルバムを意味の金字塔に位置づけている。どこから聴いてもスルメのように噛み応えがある金太郎飴のようなアルバム。アナログ化を希望する。
The Gerogerigegege Tokyo Anal Dynamite Full Album 1990
今年4月、15年の沈黙を破り17作目のニューアルバム『MOENAI HAI / 燃えない灰』をリリースした。
⇒なめブログ:ゲロゲリゲゲゲ『燃えない灰』
下呂と下痢
千摺り万歳
ノイズ依存
"senzur i"という文字列がつながると、gooブログから投稿拒否されることを発見した。