「マスク萌え」という言葉がある。この場合のマスクとは「タイガーマスク」や「ガスマスク」や「ジェイソンマスク」ではなく、花粉症や風邪対策の医療用マスクである。白いガーゼが基本だが、素材や色にはヴァラエティがある。どれにせよ、顔の半分を覆う柔らかい布地に憧れる。筆者もご多分に漏れず「マスク萌え」の気があり、7年前に臆面も無くマスク礼賛記事を書いていた。
⇒マスクは素敵を演出する(2009年02月21日記)
その頃はせいぜい歯医者の治療中に薄目を開けてナースをチラ見するしかマスク欲を満たす方法はなかったが、まさか7年後にアイドルヲタとして堂々とマスク女子への想いを捧げられる現場に身を置けるとは思ってもみなかった。
その名も「マルコム マスク マクラーレン/Malcolm Mask McLaren(以下MMM)」という三人組アイドルユニット。ネクロ魔の対バンで初めて見た時は「マスク女子」ということよりも80年代バンドブームの流れを汲むビートパンクを切れのあるダンスで歌う姿に新鮮な感動を覚えた。パンク系/爆音系アイドルは数多いが、大抵振り付けはフリースタイルに近く、MMMほどダンスのセンスを発揮するグループはいない。また、これはネクロ魔も同じだが、デスヴォイスのシャウトがまったくないことも気に入った。カワイイ女の子が形相を変えて絶叫すると萎えてしまう臆病者には、飾らず無理せず自分らしく歌う娘が相応しい。
⇒ネクロ魔/MMM(Malcolm Mask McLaren)@新宿club SCIENCE 2016.7.28 (thu)
TIF2016で観た15分のステージは、灼熱の中激しいモッシュが起こり、ライヴが中断する事態に。メンバーはマスクのせいで表情が分からないので、傍目には平然と成り行きを見守っているようにみえた。
⇒2016.8.7 sun【或る魔ヲタの一日】ネクロ魔/MMM/絶叫/首振りDolls/メンテナンスetc.
神々しいその立ち姿に真夏の女神を見た気がして、mone、ai、naoから成るMMMのことをもっと知りたくなり、毎週水曜日に新宿レッドノーズで開催されている定期公演「メロディック・ハードコア」に8/17、24の2週連続参戦。約40分のライヴは入場SEのセックス・ピストルズ「アナーキー・イン・ザUK」でスタート。まさかパンクの神曲で手拍子をするとは15歳の頃は考えられなかった。しかしそれも笑顔で許せてしまうのは、三人の力一杯のダンスと秀逸なパンクナンバーの魅力故。誰が音楽制作をしているのかは知らないが、ツボを心得た作曲センスはただ者じゃない。第2部はユルユルのトークコーナー。三人のキャラのすれ違いが不思議なコラボを醸し出し、汗だくのライヴのあとのチルアウトを和ませる。
Malcolm Mask McLaren 「アイドル甲子園」 (2016-04-17)
⇒公式サイト
「マスク萌え」という理由だけでMMMを推す訳ではない。「まだまだ未熟。もっともっと上手くなりたい」と語る三人が顔を半分隠して、呼吸困難に陥りながら全力で踊り歌い上げる姿に漲る『女子の本気』に心を撃ち抜かれるのである。歌のフレーズの中に強固な魂。それこそまさに「メロディック・ハードコア」精神。三人の強烈過ぎるハードコアパワーをマスクで制御しているのかもしれない。
でんぱヲタも魔ヲタも耕作員もゆふぃすとも
見ればきっと
気に入るさ
Malcolm Mask McLaren/myself(MV)
Malcolm Mask McLaren 2nd ワンマンライブ
「Melodic Hardcore 1st Anniversary ONE MAN」
【開催日程】2016年9月22日(木・祝) 開場 11:30 開演12:00
【会場】渋谷 club asia
【チケット料金】 前売り¥2,500
※3歳以上チケット必要
※入場時、別途ドリンク代必要
※再入場不可
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