A Challenge To Fate

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【私のドクターズ・オブ・マッドネス溺愛史】第2回:『虚構の美学』『修正論:狂気の医師団1975-1978』

2016年08月31日 01時55分46秒 | 素晴らしき変態音楽


80年代半ばにロックの情報を入手する手立ては雑誌とラジオと口コミしかなかった。日本盤が2枚出たとはいえ、殆ど話題にならないまま解散したドクターズ・オブ・マッドネスの情報がメディアに載ることはなかった。「NME」「SOUNDS」「Melody Maker」といったイギリスの音楽新聞を購読することなど貧乏学生には夢のまた夢だった。だからその当時、ドクターズが何枚レコードをリリースしたかすら筆者が知っていたとは思えない。だから『ドクターズ・オブ・マッドネスII』という邦題でリリースされた2ndアルバム『Figments Of Emancipation(虚構の美学)』を入手できたのは、中古レコードハンティング中に遭遇した幸運だったと言っていい。

●ドクターズ・オブ・マッドネス『虚構の美学』
Doctors Of Madness / Figments Of Emancipation (Polydor Japan 1976)
(1984.10.5/¥1400/新宿Disk Union)


レコード漁りは常に一人で行っていたが、この日は珍しく友人と二人で新宿にレコードハンティングに出かけた。最初に行った西新宿KINNIEでツァムラ・マンマズ・マンナのスウェーデン盤2枚組LPを6000円出して購入した筆者の財布はあっという間に軽くなり、出来たばかりの東京ディズニーランドで稼いだバイト代で高価なヨーロッパ盤を何枚も買う友人を羨ましく眺めるだけだった。西新宿を何軒か見終って友人も満足したが、せっかく新宿に来たのだからと、ついでに寄った東口のディスクユニオンでこの青いジャケットと出会ったのである。見慣れた『精神錯乱』のジャケットと同じタッチのイラストに電撃ショックを受け、電車代とお茶代を除いた全財産1400円で購入したのである。今度はちゃんと解説書が付いていて、やっとドクターズの経歴が明らかになると内心興奮しながら帰宅して、ザムラそっちのけでプレイヤーにセットしたレコード盤から流れ出したドクターズ・サウンドにゾクゾクしながら解説を読み耽った。

多くのファンが最高傑作に挙げる『虚構の美学』はジャケット通りのパラノイアックな世界観が全開した完成度の高さが魅力だが、筆者にとっては1st『精神錯乱』が最も好きなアルバムである。バイオも歌詞も判らないまま音だけで想像を膨らませた聴取体験は「自殺の町(Suicide City)」への入口だったのかもしれない。『精神錯乱』の裏ジャケットに書いてある「This Record to be played with the gas full on.(このアルバムはガスを充満させて聴くこと)」というクレジットが、「このアルバムを聴きながらガス自殺しろ」という意味だと知ったとき、ドクターズと出会って絶望から救われたのは自分だけじゃないと確信した。

doctors of madness - suicide city



●ドクターズ・オブ・マッドネス『修正論:狂気の医師団1975-1978』
Doctors Of Madness – Revisionism / The Doctors of Madness: 1975-1978 (Polydor Special Price 2478 146)
(1985.6.18/新宿EDISON UK)


『虚構の美学』を購入した1ヶ月後に80年のリチャード・ストレンジ(キッド・ストレンジ)のソロ・アルバムを手に入れて、ドクターズが既に解散したことを知ったのだと思う。しかし実際に何枚のアルバムをリリースしたのか確信が持てないでいたところ、プログレ専門店だった新宿EDISON UKの2階の格安盤コーナーで出会ったのがドクターズのベスト盤。裏の解説を読んで、彼らが3枚のアルバムを残して解散した事実を理解したのである。KIDの文字型ギターを構えるキッド・ストレンジの勇姿はアメリカの変態バンド、チューブスを彷彿させるパラノイアぶりである。収録曲は全曲3枚のアルバムからの選曲で、未発表曲やレア・ヴァージョンはないが、長尺ナンバー「メインライン」がA面1曲目とB面ラストに分割エディットされているのが新鮮。曲目が2003年の来日ライヴのセトリとかなり重なっているので、おそらく活動当時のライヴ・フェイヴァリットを集めたものと思われる。3枚のアルバムはそれぞれ個性が異なり、1stと2ndはメドレーで組曲風の構成になっているが、こうしてバラして並べてみると、ドクターズ・カラーに彩られた世界観があぶり出しのように浮かび上がる。これは単なるベスト盤ではなく、パンク革命の影に葬られようとしていたドクターズ・オブ・マッドネスの名誉回復を目的とした修正論に他ならない。なお、『修正論:狂気の医師団1975-1978』という邦題は筆者の妄想である。

Doctors of Madness - Mainlines


ドクターズ
まだまだ続く
回顧録



【ドクターズ・オブ・マッドネス来日公演まであと4日】



“ゴッドファーザー オブ パンク” from London!!
Doctors of Madness Japan Tour 2016

日程
9/3(土)新代田FEVER (イベント出演)
9/5(月)渋谷ラストワルツ
9/7(水)京都西院ウーララ
9/8(木)京都西院ウーララ
9/11(日)新宿JAM

チケット予約、お問い合わせ
sisterpaul@jcom.home.ne.jp
https://www.facebook.com/sisterpaul
https://twitter.com/MACKii1234



★9/3(土) 新代田FEVER "ROCK市ROCK座"
フリマ15:00~、ライブ16:00~
前売り3,000円 当日3,300円
※イベント出演。プロモーションでショートライブを行います。

★9/5(月) 渋谷ラストワルツ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Cuddly ToyZ
キンキーサロン
DJ: Tsuneglam Sam & Keiji Ronson

★9/7(水) 京都西院ウーララ
18:15オープン/18:45スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
カチコチ虫
HONEY MAKER
リキッドスクリーン
DJ: マーチン(夜想)

★9/8(木) 京都西院ウーララ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Hamah Moh
Baby Dolls
DJ: メリケン

★9/11(日) 新宿JAM
18:00オープン/18:30スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Flashlights
Anisakis
BabyBlue
DJ

コメント
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