A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のB級サイケ蒐集癖】第11夜[前編]:謎の凡人の非凡なサイケ『ボブ・スミスの光臨/The Visit from Bob Smith』

2018年01月31日 00時45分47秒 | 素晴らしき変態音楽


Bob Smith /‎ The Visit
Kent ‎– KST-551 / 1970

A1 Please 3:08
A2 Don't Tell Lady Tonight 3:10
A3 Constructive Critique 4:40
A4 Ocean Song 4:50
B1 India Slumber 7:55
B2 Source You Blues 6:02
B3 Sunlight Sweet 3:04
C1 The Wishing Song 5:04
C2 Can You Jump Rope 5:45
C3 Latter Days Matter 3:29
D1 Of She, Of Things 3:16
D2 Mobeda Dandelions 3:12
D3 The Path Does Have Forks 5:22
D4 Try, Try, To Understand Yourself 3:14

Musicians
Bob Smith - Vocals, Guitar
Mike Degreve - Guitar
Larry Chapman - Violin
Stan Keiser - Flute
Dan Preston - Mellotron, Keyboards
Skip Schneider - Drums
John Latini - Bass
Darryl Dragon - Keyboards, Vibes

ボブ・スミス、日本でいえば山田太郎のような平凡な名前だが、筆者の55年の人生で山田太郎という人物は国会議員と漫画のキャラクターしか知らないことを考えれば、逆に有り得ない名前かもしれない(アメリカではどうかわからないが)。そんなアンビバレント名前の男が残した謎に満ちたレコードが『ボブ・スミスの光臨/The Visit from Bob Smith』である。

このレコードと出会ったのは34年前の1984年に通っていた大学の生協の中古レコードセールだった。特価500円均一コーナーに紛れていたこの2枚組はさらに安価の200円の値札が付いていた。この特価コーナーはESPのフリージャズやNew Jazz Syndicate 、近藤等則・高木元輝等のE.E.U.(Evolution Ensemble Unity)などが混じっている穴場だったが、例え200円でもまったく知らないレコードを購入するのは貧乏学生にとっては勇気が要った。しかし裏ジャケにドン・プレストンの名前を見つけたことが決め手になった。今から思うと信じられないが、当時マザーズ・オブ・インヴェンションのレコードはほとんど廃盤で手に入らなかったこともあり、筆者の憧れの的だった。マザーズのメンバーのドン・プレストンが入っているなら多分ハズレは無いだろうと踏んだわけだ。

買って帰って聴いたところ、凡庸なブルースロックやカントリーフォークに雑じってファズギターやインド音楽が入った折衷的なアルバムで、アングラサイケやフリークアウトを期待した筆者にとっては肩透かしだったが、宗教めいた封入ポスターが気に入って暫く部屋に飾っていた。後にこのアルバムがコレクター市場で結構高値で取引されていることを知って聴き直してみたが、やはり2,3曲を除いて何処にでもあるB級アメリカン・ロックにしか聴こえなかった。当時モダーンミュージックの生悦住英夫氏がサンフランシスコのシャーラタンズを例に出して「つまらなく聴こえるアメリカン・ロックの中に本物のサイケデリックがある」と語っていたが、『ボブ・スミスの光臨』も同じかもしれない。そう思ったりしたが、結局10年以上聴くことはなかった。

昨日突然頭にこのアルバムが浮かんできて、震災で歪んで取り出しにくいレコード棚の奥から引っ張り出して聴いてみた。昨年買い替えた英国製のレコードプレイヤーから漂うように流れ出す深いリバーブに包まれたボブ・スミスの歌声が天国からの通信に聴こえてきた。やっと本物のサイケデリアが筆者の心に降臨したようだ。ネットで調べてみたらボブ・スミスのその後の消息を伝える記事を発見した。話が長くなりそうなので、次回ボブ・スミスの隠された真実を明らかにするとしよう。

Bob Smith - The Wishing Song 1970



.....To Be Continued....

ボブ・スミス
ドカベン喰らって
サイケする



コメント
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