A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【第一回女子音源を倩(つらつら)と聴く会】エモップ/ゴキ帝/ぜん君/ハミシス/テンテンコ

2018年01月22日 01時47分44秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


気が狂いそうな毎日を過ごす 
人間どもの面には苦悩の影は見えない
どうせこんなものだと諦め切っているのさ 
しかし見てみろ 俺たちの足元が砂に変わって崩れてく
社会という蟻地獄にハマり込んだ俺たちは 
ひたすら生きようともがくが 
どうにもならず沈んでゆく
(Euqismorih/アリ地獄)

高校時代に書いた歌がリピートする悪夢に魘されて遅すぎる昼寝から目覚めた夕方五時半、突然「最新女子音源を倩(つらつら)鯖(さば)く清らかな快晴の錆つく静寂の靖寧」という破調の短歌が頭に浮かんだ。これは俺にとって馴染み深い感覚である。幼少の頃から霊界からの呼び声を受信するラヂヲのように「架空の隠れ家に格闘家が核兵器を匿う革新的な革命を確信する覚醒剤」(5歳時)といった言霊が湯水のように沸き上がり走馬灯のように頭の中を駆け巡る経験には慣れっこになっていた。だからこそ今回の詔の意味するところを即座に察して次の行動を起こすことが出来たことは、俺にとっては白昼夢の幸運に違いなかろう。つまり歌詞の「社会」を「アイドル」に痴漢もとい置換すれば、俺のStatus Quo(現状そのまま)を表すテーマソングとなるのである。十代半ばにして40年後の自分の姿を予言していた童貞時代の自分の慧眼には我ながら恐れ入るのみである。

というわけで『女子音源を倩(つらつら)と聴く会』を発足することとした。会員は現在のところ俺だけだが、この記事を読んだ者は全員自動的に会員となることが規約の第三条二十四項に記載されているので、各自確認の上従うこと。万が一規約に違反したときは草葉の陰から一生呪ってやるからそう思え。

●エモクルスコップ『Pit Put Circle』


“エモくて苦しい”をコンセプトに2017年3月より活動を始めたアイドルグループ『エモクルスコップ』のファースト・フル・アルバム。デビューから11月までライブで披露された7曲に新曲3曲を加えた10曲構成。ネガティブとポジティブが混同した楽曲は耳から脳に侵入する。

初めて観た時、楽曲は正直言ってありがちなガールズロックだが、三人のメンバーのがむしゃらでときにやけっぱちなパフォーマンスが心に刺さった凸凹トリオ。腕を振り回して地団駄踏むパフォーマンスがなくてもサウンドだけでエモ苦しさを詰め込んだ秀逸なデビューアルバム。リリース直後にメンバーがひとり脱退してしまったが、更なる活動に期待したい。

【エモクルスコップ】『だっても』



●劇場版ゴキゲン帝国『インディーズベスト』


日常生活のあるあるを歌った歌詞が人気の劇場版ゴキゲン帝国。“理不尽と戦え。”をコンセプトに、デビューから1年間の活動の全てを込めたファースト・アルバムを完成させた!収録曲は“手を叩く”“オーオー言う”などライブでの楽しみ方がそのまま歌詞になった「GGT-ROCK」、全人類の心の叫びを歌った「人の金で焼肉食べたい」、全ての仕事を辞めたい人に送る曲「I NEET YOU」など、バラエティに富んだ、これぞまさに劇場版ゴキゲン帝国!という楽曲が盛りだくさん。

コスプレ衣装で焼き肉とかラーメンとか食い物を歌うバラエティ系のゴキ帝だが、初の公式アルバムは「ちゃんと」していて驚いた。売れるコミックバンドは演奏が上手いと例えにあるように、ゴキ帝のお笑い要素は綿密に作られた楽曲の完成度の高さに支えられていることがわかる。演じるメンバー(よく見ると、みんなかわいい)の芸達者加減もハンパない。音源版ゴキゲン帝国民に慣れる1枚。

【MV】劇場版ゴキゲン帝国 『人の金で焼肉食べたい』



●ぜんぶ君のせいだ。『新音』


病みかわいいをヴィジュアルコンセプトとするアイドルユニット「ぜんぶ君のせいだ。」2016年1月に1stフルアルバムでデビューし、11月に2ndフルアルバム、年を越え17年5月には9都市10公演のワンマンツアーを行い、各地ソールド続出した。前作から5ヶ月ぶりの作品となる3rdフルアルバムと同発にて、再録アルバムここに完成。現在までに発売しているアルバム2枚を全て再録・再MIXしている全23曲。

「病み」「病気」は現代人のキーワードであり、病みをテーマにした女子は少なくない。特に地下アイドルはほぼ全員病み経験者といって間違いない。病みを武器に世界と闘う5人組「ぜん君」こと「ぜんぶ君のせいだ。」は、ヘヴィメタ+テクノ+ディスコ+デスボイスの組み合わせも競争相手が多いが、すべて病んだ病みソングを22曲も持つ徹底振りは<アイドル界の病みの市>と言えるだろう。病みつきになる二枚組。

ぜんぶ君のせいだ。"せきららららいおっと"Official MusicVideo



●HAMIDASYSTEM『1st anniversary one man live Version Up 2017.12.16 SAT』


2017年12月16日、1周年記念ワンマンライブ「Version up」at Shibuya Milkyway にて収録されたライブ音源ですHAMIDASYSTEMの1年間の集大成となるライブを生音でお楽しみ頂けます。ミニアルバムメドレーから『抜けない根無し草』初披露音源まで!全9曲入り!

「はみ出すことを恐れない」をテーマにしたハミシスは「メロディック・エレクトロニカ」を名乗ると同時に新メンバーKOYAMA FLAMEが加入し4人組になった。4人組の正式音源はシングル1枚のみだが、新曲は2018年1〜3月連続で1曲ずつototoyで無料配信されている。それが待てない逸るヲタク向けにワンマンライブのライブ音源がリリースされた。微に入り細に入り綿密に細作されたオケはスタジオ録音で聴かなければ100%味わえないが、生歌のゆらぎやダンスの波動はライブならではの臨場感があり、ヴィジュアル抜きでも氷河世代(アイスエイジ)の貧血感が伝わって来る。ライヴDVDを出すのなら、カメラワークに徹底的に凝ったアート作品を望みたい。

HAMIDASYSTEM - 蝉の声 (Official Music Video)



●Malcolm Mask McLaren『Existence』


7月より新メンバー2人が加入しさらに勢いづく4人組アイドルMalcolm Mask McLarenの半年ぶりのシングル。EASYCOREに本格的に取り組んだ1作。表題曲「Existence」は作曲、編曲にギタリスト小川耕平(NAMBA69)を迎え、カップリングの「Reach you my thoughts」は四国・愛媛県のイージーコアバンドZACK STANCHより楽曲提供をうけている。より本格的なバンドサウンドを追い求めた渾身の1作。

メロディック・ハードコア(メロコア)を継承するパンキッシュアイドルMMMは、4人組になってマスクを外し、別グループに生まれ変わった。楽曲はメロコアからより複雑なイージーコアに変貌し、ダンスの切れとテンションが只管ポジティヴになった。三人組時代の凸凹っぷりが失われたのは残念だが、より幅広い層にリーチする可能性がアップしたのも確か。ロック魂を見せつけるシングル盤。

Malcolm Mask McLaren /「Existence」MV



●テンテンコ『きけんなあなた』


前作『工業製品』でBiS時代、アイドル時代のイメージを完全払拭したテンテンコ。本作はより自身の世界観をよりストレートに届けるため、インディーズ時代に話題を呼んだ“Good bye,Good girl.”のプロデューサーKosuke.Tと再タッグを組み楽曲を制作。京都で話題のエレクトロデュオ“Emerald Four”と2曲制作、7インチ完売シーンの期待値が高いカバーシリーズの自作として榊原郁恵の「ROBOT」をカバー、アレンジは「WA ショイ」と同じくTSUBAME&UKR、さらには、ゆらゆら帝国の坂本慎太郎が参加している。

今や地下ノイズシーンの新星としてジャパノイズの重鎮たちから一目置かれる存在になった元BiSのテンテンコは、それでもやはりアイドル沼の住人であることを宣言する1枚。外部スタッフとタッグを組んでも、80年代アイドル歌謡をカヴァーしても、ゆら帝メンバーとコラボしても、パフォーマンスの中心にあるのは歌であり声である。キュートな歌声は、工藤礼子と榊原郁恵とのミッシングリンクと言えるだろう。つまりNOISEと夏のお嬢さんが手をつなぐ冬の夢は夜開くのである。

テンテンコ / なんとなくあぶない


冬の夜
星を見上げて
推しの名は。

KOYAMA FLAME(HAMIDASYSTEM)左から2番目
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする