A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

下山(GEZAN)/NATSUMEN/漁港/下津光史@下北沢GARDEN 2014.2.11(tue)

2014年02月13日 00時31分08秒 | 素晴らしき変態音楽


下山(GEZAN)2nd Full Album『凸-DECO-』レコ発ツアー 初日

出演:下山(GEZAN) × NATSUMEN × 漁港
弾き語り:下津光史(踊ってばかりの国)

※当初出演予定でした『ギターウルフ』は、メンバー負傷の為急遽出演キャンセルとなりました。
また、それを受け『漁港』の出演が決定致しました。
尚、ギターウルフ出演キャンセルによるチケット料金の払い戻しはございません。(1/31情報更新)

■ギターウルフよりコメント
『いけ!下山がやらねば誰がやる、下山ロック!』by セイジ



フラゲした下山(GEZAN)の2ndフルアルバム『凸-DECO-』を最大音量で一気に聴き通す。ROCKのど真ん中に放たれた一撃に震えが止まらない。まもなく還暦を迎えるロッケンロールに、未だこれほど純粋でこれほど正直な表現が可能だという事実に至上の歓びを感じずにはいられない。サイケとかメタルとかパンクとかオルタナとか、ROCKにいろいろ御託が付いたのはいつ頃からだろうか。よけいなモノは全て剥ぎ落として、R O C Kという四文字だけ描けばいい。4つのアルファベットそれぞれに「マヒト」「イーグル」「カルロス」「シャーク」と刻印しておこう。

漁港

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

漁港というバンドのことは今回初めて知った。「日本の食文化を魚に戻し鯛!」を合言葉に活動する千葉県の魚屋によるフィッシュロック・バンドとのこと。どうでもいい話だが、筆者が学生時代に組んでいたバンドは「鯵tation(アジテーション)」という名で”サイケ・フィシュ・バンド”がキャッチコピーだった。魚の歌ではないが「魚の骨」という曲もあった。そういうわけで何となく親近感を覚える。五分刈り鉢巻きにサングラスの強面の森田釣竿(船長/リーダー・ボーカル・包丁)とロングヘアーに歌舞伎メイクの深海光一(ギター・サンプラー・コーラス・ダンス・後片付け)の二人組。大漁旗をバックに森田が恫喝するように魚をアピール、脇で深海がマックを操作するスタイルはロマンポルシェを髣髴させる。空手バカボンや人生といったナゴム系テクノな香りも。MCで「世界初のフィッシュ・テクノ・バンド」と言ったのに納得。魚礼賛ソングの連発に会場の漁師・海女(男性ファン・女性ファン)は爆笑。ラストのマグロ解体ショーが見事だった。




NATSUMEN


NATSUMENの名前は知っていたが、何故かパンクバンドだと思い込んでいた。ググってみてホーンセクションを擁する大所帯のバンドだと知った次第。現時点のメンバーはAxSxE(g)、山本達久(ds)、山本カブレラマン昌史(b)、稲田ヌボンバ貴貞(ts)、加藤雄一郎(as)、カッキー(tp,fl)、ホイン(g)、野村卓史(key)の8人。知っているのは元BOATのギターのAxSxEと、ジム・オルークと石橋英子とのカフカ鼾でも活躍する名うてのドラマー山本達久の二人だけ。トボけたメロコアのSEで登場したメンバーは全員が黒Tで不敵な面構え。いきなり始まった凄まじい変拍子とフリーキーなホーンセクションに爆発するギターとベースのヘドバンに驚愕。渋さ知らズとZAZEN BOYSと初期ボアダムズの理想的な結合体と言えばいいのか?ボキャブラリー不足は否めない。破壊的な爆裂フレーズが絶え間なく襲い掛かるが、強烈なビートに乗って走り去るので立ち止まる暇はない。冷静に聴けば相当難易度の高いサウンドなのに、若い観客が一心不乱に踊り狂うのを観て、決して失われることがない音楽のパワーを再確認して昇天寸前の快楽を得た。




●下津光史(踊ってばかりの国


スプリットシングルをリリースするなど恊働するバンド踊ってばかりの国の下津は昨年8月の渋谷WWWでの下山企画イベント「Bug Me Tender Vol.8」にもゲスト出演した。フラワーでほのぼのしたサウンドは下山とは異質だが、歌に籠めた想いの深さは同じ。金髪がマヒトと写真のポジとネガのような下津は、会場後方の小ステージでアコギ一本の演奏。オーディエンスが周りを取り囲み選挙演説の趣。ハッキリした声でユーモア混じりに大切な言葉を歌う誠実さはあたかも嵐の前の静けさの如し。次に待つ怒濤のステージを予感させる。




下山(GEZAN)


下津が最後の曲を歌い終え「マヒト、やってやれ!」と叫んだ途端、ステージから赤い稲妻が客席に飛び込む。爆音と共にオーディエンスのあいだを駆け抜けるマヒト。2年半前に初めて観た時に噛み付かれたヒリヒリした衝動が沸き上がる。ひと暴れして一端引っ込み、恒例のSEで再登場。オープニングは下山の新フェイズ突入の為の禊だったのかもしれない。『凸-DECO-』収録曲が凄まじい大音量で響きわたり、全く別の表情を見せる。王道ロックが一転してエクストリームな破壊音響に様変わり。爆音が耳に痛い。それは音量のせいではなく、吐き出される言葉と4人が最大限のテンションで発する「気」のパワーである。甘ったるい感傷など要らない。ロックは死んだとか、クラブが熱いとかカンケーねえ。俺たちがGEZANだ、覚えとけマザーファッカー。マヒトほど完璧にMOTHER FUCKERと発音出来る者は存在しない。この日のライヴを負傷したギターウルフのセイジの為にUST中継しているが、マヒトはUSTなんかで観て欲しくない、生で直接観て欲しい、と語る。その通り、あなたもこんなライヴレポートを読んでいないで、観られるうちにこの壮絶なロックバンドをライヴ会場で体験するべきだ。




★奇才マヒトゥ・ザ・ピーポーの頭の中(ナタリー)⇒コチラ
★下山(GEZAN)が時代を変える!? 2ndアルバム『凸-DECO-』誕生!!!(ototoy)⇒コチラ





生きること
歌うこと
踊ること

下山(GEZAN)2nd FULL ALBUM『凸-DECO-』レコ発ツアー
2014年
2月13日(木) 札幌 COLONY
下山(Gezan)/The coridras/とびだせ!おともだち/MC MANGO

2月14日(金) 札幌 カウンターアクション
下山(Gezan)/マツボックリマンTHEギネス/MC MANGO/Be Ash/蝶ト以蔵

2月20日~3月14日 USツアー

3月23日(日) 長崎 Studio DO!
下山(Gezan)/the twenties/彼女 in the display and more!!!

3月25日(火) 高知 CHAOTIC NOISE
下山(Gezan)/GODFREE HO/SPEED!! NOISE!! HELL!!/前駆ナ

3月27日(木) 鹿児島 SR HALL
下山(Gezan) and more!!!

3月28日(金) 福岡 SPIRAL FACTORY
下山(Gezan)/片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ/モハメド and more!!!

東阪名ワンマンライヴ
3月30日(日)心斎橋 CONPASS
下山(Gezan)

2014年4月3日(木)名古屋 アポロベイス(旧アポロシアター)
下山(Gezan)

2014年4月5日(土)新代田FEVER
下山(Gezan)
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【正体解明】謎の高松のアイドルグループ「でん○組.inc」とは?

2014年02月12日 00時34分41秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


でんぱヲタのあいだで密かに話題になっている謎のアイドルユニットがいる。香川県のライヴハウス「高松モンスター」に出没するという。
香川といえば「あまちゃん全国ご当地アイドル」に選出された「きみともキャンディ」が有名。学園ドラマ仕立てのPVと洗練された楽曲が魅力の正統派。



純朴なローカル女子というイメージが強い香川のアイドルシーン突如出現したにアキバ系ヲタガール、その名は。。。。
                        
                        
                        
                        
                        
                        
                        
                        
                        
でんき組.inc(@inc_denki)


でんき組.incです!香川のアイドルグループです(*´ω`*)今はでんぱ組.incさんのコピーをさせていただいています!香川のライブハウスで活動中!ぜひお越しください☆ミ
(ツイッタープロフコメント 以下同)

[2015/1/21追加]
最新情報アップデートしました!
【続報】高松発異色アイドルユニット「でんき組.inc」が進化中!


メンバー 
[6/30追記]
はーちゃんは5月頃脱退し、現在でんき組.incは3人組で活動中。詳しくは公式サイト
[2/12訂正:ヨウメイさまから、ゆりちゅとみすてぃー(たかちゃん)の写真が逆とのご指摘をいただいたので訂正しました。]
はーちゃん(あかいろ)(@hrkkkm)


⚡︎で ん き 組 . i n c ⚡︎ あ か い ろ セ ン タ ー⚡︎ ⚡︎セ ブ ン ブ の 挽 き た て カ フ ェ ラ テと⚡︎ ⚡︎ お 寿 司 と ち ょ こ と あ い と へ い わ ⚡︎

ゆりちゅ(しろいろ)(@s24y2)

魔法少女系≛ロリショタ≛仮面ライダー電王 でんき組.inc しろいろりーだー ゆりちゅっ! 公式はこちら ⇢ 〔 @inc_denki 〕めいどかふぇ茶々娘☆卒業生

りいにゃん(イエロー)(@denki_rn5)


でんき組.inc≪@inc_denki≫ 黄色✳︎りいにゃん チョコレートが世界を救う .·˖*✩⡱甘党×辛党 世の中の全ての”カワイイ”が大好物 ⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄ポムポムぷりん&バットばつ丸くん

[3/3 8:20改訂:たかちゃんは、みすてぃーに改名しました]
みすてぃー(むらさき)(@denki_msT)


/) /) ☪✎ ☪ ✁ ✎ ☪ ✁ ✃ ✡ ✃ ✡ ✎ ☪ ✁ ✃ ✡ ✎ ・.・)Ms.t(ミスティー)仮面ツケテマス.オドリマス.モリアゲマス.火薬ウチマス!!!!!! ヘイ☆ボス!!

でんき組.incは2011年にオープンしたキャパ500人のライヴハウス「高松モンスター」の秘蔵っ子として2013年12月21日「無差別衝動 番外編」でデビュー。持ち歌「でんぱれーどJAPAN」「W.W.D.」「キラキラチューン」他。2014年は1月12日に始動し「無差別衝動」「IDOL SUMMIT」「アニソンモンスター」等のイベントに出演。3月7日にでんき組.inc定期公演(ワンマン)開催。
メンバーはバンド好きのようなので、もしかしたらけいおん女子からの転向組かもしれない。





残念ながら動画はまだ無い。BiS(新生アイドル研究会)の女オタで結成したBiSちゃん公認の妹的存在コピーユニット"ナグリアイ"がオリジナル曲でデビューしたことを考えれば、でんき組にもチャンスはある。



高松モンスターはmiwa、BONNIE PINKなどのJ-POPや東京スカパラダイスオーケストラやザ・クロマニヨンズなどロックバンドが出演する香川県随一のライヴハウスであり、2月22日にはなんと本家・でんぱ組.incが出演する。果たしてご対面となるかどうか判らないが、まだ見ぬでんき組のパフォーマンスに興味津々。四国在住の方はチェックしてみては?

でんぱから
四国で生まれた
でんきなり

▼アメリカ・オースティンのロボットバンド「ArcAttack!」。高圧電流に文字通り感電するビリビリ演奏。





コメント (6)
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ハナエ@原宿ASTRO HALL 2014.2.9(sun)+【特別付録】ハナエちゃん写真館

2014年02月11日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ハナエ
1stワンマンライブ
~ハナエの十戒~



結局『十戒クイズ』の答えが何だったのか一向に明らかにされないままサン・ラー生誕100周年・頭脳警察結成45周年にあたる2014年に突入し、ハナエ初のワンマン公演を迎えた。『答えのない質問(The Unanswered Question)』とは20世紀を代表する指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインが1973年にハーバード大学で「音楽的音韻論」「音楽的統語論」「音楽的意味論」「曖昧さの喜びと危険」「20世紀の危機」「大地の詩」の6つのテーマで行った連続講義のタイトルである。ボストン交響楽団やウィーン・フィルを率いての実演も含め、研究者・教師としても秀でたバーンスタインが、単にアカデミックな議論ではなく、演奏家だからこそ出来る血や肉の通った音楽論を展開する名レクチャーとして伝説になっている。DVDは廃盤でプレミア価格で取引されるこの講義をハナエが知っているかどうかはわからないが、芸術表現に真摯に身を捧げた者にしか成し得ない問い掛けは、当時55歳のクラシックの大家にとっても、間もなく20歳になるオシャレ系少女にとっても、大きなチャレンジであり、大きなチャンスであることに違いはない。





そんな晴れの日が、よりによって20年ぶりの大豪雪の翌日にあたるとは、生まれてもいない20年前からの宿命を背負った雨女再光臨と言うしかない。日差しにストリートの雪が溶けかけた原宿KAWAii!!タウンのど真ん中、アストロ球団とは無関係の同名ライヴハウスは赤い風船や花花で飾られ、20年前なら乙女チックと呼ばれたであろうオーラを放っている。クレープの甘い香りがしそうなホールは400人を超えるファンで満員。この街に相応しくイマドキ女子が多く、アイドル好きそうな男性ファンと比率は半々。赤いやピンクで着飾った前髪ぱっつん娘たちはアーバンギャルを思わせる。



ハナエ自身のアナスンスによる萌える前説に続き、客電が消えスクリーンにシルエットが浮き上がる。一斉に掲げられる赤いサイリウムが真っ赤なゼリーや血玉フラッグ以上の光度で空気をレッドに塗り替える。上気した笑顔でクールに歌い踊るハナエに観客全員が魅了される。ヲタ芸やケチャやモッシュはないが、観る者全員が浮かべる微笑と手拍子が、紛うことなく世界で一番幸せな時間を共有していることを証明していた。



「周りから悩みがなさそうに思われる」というコケティッシュな声にはある意味キケンな中毒性がある。レア曲といえるカヴァー「神様お願い」と王道J-POP路線の初期ナンバー「BLACK BERRY」をあの声で歌われて、不覚にも心のカギを開けてしまったのは筆者だけではあるまい。推しメン(えいたそ)のように胸いっぱいの♥を捧げたわけではないが、ハナエはもっと心に近いところに棲みついてしまったのかもしれない。今は小動物を愛でるような気持ちだが、いつか異性として意識することになるのだろうか。バンドスタイルで挑むという5月1日渋谷WWWでの次回ワンマン公演が、バンド女子萌え絶賛再燃中の愛好家にとっての試金石になるかもしれない。






Set List
01. 神様はじめました
02. Boyz & Girlz
03. 恋は神聖ローマ
04. oui_oui
05. 渚のシンドバッド
06. 神様お願い
07. BLACK BERRY
08. 疾走感
09. JUVENILE!!!!
10. キストピックス
11. 変幻ジーザス
-アンコール-
12. バースデイソング(キーボード弾き語り)
13. かのような



★ライヴレポート:ハナエ、初ワンマンで400人と“最高にラブな瞬間”共有⇒コチラ
★きゃりー、「絶対ブレイクする」次世代ガールを紹介⇒コチラ

ハナエには
羽がなくても
飛べるのさ

【特別付録】ギザかわゆす!! ハナエちゃん写真館
            


 
▼でんぱ組・りさちー(相沢梨紗)と赤仲間!
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エレクトリック・プルーンズ/キノコホテル@新代田FEVER 2014.2.8(sat)

2014年02月10日 00時24分13秒 | 素晴らしき変態音楽


英国音楽/VINYL JAPAN 27th anniversary GIGS

USA Top Psychedelic/Garage Band 
THE ELECTRIC PRUNES
w/KINOCO HOTEL



1981年2月大学受験で訪れた京都で、試験帰りに十字屋でTHE SEEDSの『FUTURE』というLPを買った。帰りの新幹線では全くダメだった試験のことはすっかり忘れて、レコードジャケットに魅入って聴くのが楽しみでワクワクしていたことを覚えている。結局春が遠かった京都の土産が60年代ガレージバンドだったのは何故か。その1年程前に吉祥寺の中古レコード屋でパティ・スミスのギタリストが編集したパンクコンピとコメントされたレコードを見つけ試聴した。ビリビリした電子音に導かれ流れ出したマイナー調の歌に即座に感電し「コレだ!」と啓示を受けた。それ以来『NUGGETS』と題されたこの2枚組LPに収録された60年代ガレージバンドのレコードを探す旅路が始まった。THE SEEDSは中でも特に気に入ったバンドだったので、京都で見つけて大喜びした訳だ。



そんな巡礼の旅のきっかけになったのが筆者を一瞬で虜にした『NEGGETS』のオープニングナンバー「I Had Too Much To Dream Last Night(邦題:今夜は眠れない)」のエレクトリック・プルーンズだった。当時ワーナーパイオニアの「青春秘蔵盤」シリーズで再発された1st LP『The Electric Prunes(邦題:今夜は眠れない)』を聴いて、期待通りのファズ度高めの泣きのメロディーに心酔した。彼らは「活動中にメンバーが総入れ替えになった不幸なバンド」とニッチに紹介されることが多い。ロサンゼルスのローカルタウンのガレージバンドが、時流に乗って全米ヒットを連発。儲けを狙う大人の思惑で方向転換を図った為にオリジナル・メンバーはお払い箱になった。3rdアルバム以降は全く別のメンバーで制作されたにも拘らず知名度のある「エレクトリック・プルーンズ」を名乗ったというストーリーは、今世間を騒がせているゴーストライター問題に似ているかもしれない。



90年代のCD再発ブームで60年代ガレージ/サイケが再評価され、プルーンズと「今夜は眠れない」は代表格として人気を博した。1997年に未発表音源『STOCKHOLM '67』がリリースされ、バンド本来のワイルドかつ実験的なサウンドが明らかになりセンセーションを巻き起こす。その影響でオリジナル・メンバーのジェームス・ロウ(vo,hca)、ケン・ウィリアムス(g)、マーク・テュリン(b)を中心に30年間活動していなかったエレクトリック・プルーンズが再結成。アメリカ、ヨーロッパをツアーし、CD/DVDをリリース。2011年にマーク・テュリンが逝去するが、メンバーを代え活動を続け、今回が初来日となる。



あいにく20年に一度の豪雪に見舞われたが、それをものともせずFEVERに集まった熱心なファンは30人程度。動員は厳しいが、状況が状況なので逆にアガる。



キノコホテル


前夜に参加したでんぱ組.incえいたそのカラオケパーティーは、目の前でえいたそが歌って踊ってドリンク・オーダーまでしてくれるというネ申イベントで、興奮の余り「今夜は眠れない」状態だったが、この日も最前列の至近距離でマリアンヌ支配人の御姿を舐めるように堪能するというネ申ライヴとなった。ワンマンや普通のイベントでは絶対叶わない夢なのでまさに雪に感謝感激雨霰である。「こんな日に会うのも何かの縁」と支配人が語る通りの運命の赤い糸ならぬ真っ赤なゼリーの導きに違いない。全く手抜きなしの真剣勝負、5月リリースのニューアルバムの新曲中心に魅惑的な演奏を40分繰り広げた。撮影が入っていたのでプロモーションビデオ用の素材撮りを兼ねていたのかもしれない。



エレクトリック・プルーンズ


当日昼間ツイッターで話題になったのが、プルーンズが持参したエフェクターの写真。総数52個、重量20kgというギネス級。ハッタリにしてもこんなセッティングはクレイジー過ぎる。実際60年代のプルーンズ・サウンドの要はエフェクターによる多彩な音色だった。日本のGSでいえばモップスやビーバーズ、フェニックスの先輩にあたる。

 

ステージに登場したメンバーの絵に描いたような不良外人ぶりが嬉しい。60年代の熱気そのままとは言わないが、正真正銘本人によるプルーンズのオリジナル・ソングには喩えようの無い説得力がある。「今夜は眠れない」はオリジナルには無いスローな中間部が加えられているが、それが何の違和感も無いばかりか、この曲が現在も生命を持って生き続けていることを証明する。エフェクターの持ち主のスティーヴは何度もスイッチを踏み替えて様々な音色を披露する。引き摺るようなサステインのファズ・ギターが最高。この日は演奏しなかったが、52個のエフェクターを全て駆使する曲もあるとのこと。もう一人のギタリストの泣きのフレーズも素晴らしい。テクニックは40年前より遥かに向上しているが、それをひけらかすことなく、ガレージロックの基本を押さえているのがツボ。60年代のバンドの復活というより、90年代に出現したガレージリバイバルバンドと捉えるべき生々しさに溢れていた。



物販で購入した2006年のCD『FEEDBACK』に収録されている新曲が、紛うことなくプルーンズ印のガレージロックで心が躍る。歳を取ってもガレージ精神は消えることはない。



▼二日目(2月9日)高円寺HIGHでサポートバンドのシャロウズと


電気スモモ
食べたら感電
馬鹿(*)になる
*「スモモ」を意味するPruneには「マヌケ・バカ」の意味もある。

成瀬瑛美バースデーイベント「えいたそ☆カラオケパーティー」@都内某所 2014.2.7(fri)




各回35名限定

1部(17:30-)
1.キラキラチューン
2.Super Noisy Nova
3.空色デイズ
4.ヒ・ロ・イ・ン
5.IDOL
6.少年(1番のみ)
7.FutureDiver

2部(19:30-)
1.でんでんぱっしょん
2.Step
3.光のキャンベル
4.帰り道
5.セーラースターソング
6.ラブリーベイベー
7.わぴこ元気予報!
8.ゆずれない願い
9.Funny Bunny
10.ピコッピクッピカッて恋してよ
11.IDOL
12.ORANGE RIUM

3部(21:30-)
1.でんぱれーどJAPAN
2.Alright!ハートキャッチプリキュア!
3.スイミン
4.Give a Reason
5.God knows...
6.侵略ノススメ☆
7.乙女のポリシー
8.W.W.D
9.ライオン(漫画家 種村有菜先生とデュエット)

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MAINLINER/姫野さやかSESSION@東高円寺U.F.O. CLUB 2014.2.6(thu)

2014年02月08日 00時26分48秒 | 素晴らしき変態音楽


【MAINLINER 魔界転生凱旋公演】

・MAINLINER=河端一(Acid Mothers Temple), Taigen Kawabe(BO NINGEN), 志村浩二(Acid Mothers Temple)
・中原昌也(Hair Stylistics)+道下慎介(LSD MARCH)+亀川千代+姫野さやか(NISENNENMONDAI)


BoningenのTaigenを迎え、12年ぶりに魔界転生復活した新生Mainliner、12年ぶりの新譜「Revelation Space」を引っ提げ、昨秋行われたイギリス&アイルランド・ツアーも好評を博せば、遂に日本国内公演決定!Mainliner名義での国内ライヴは、2001年9月の東京公演以来、何と約13年半ぶり!今回の国内公演は、この東京1公演のみ!お見逃しなく!



BO NINGENのメンバーはそれぞれ別のプロジェクト/分野でも活動している。ギターのKohhei Matsudaが昨年夏の来日時にアート展を開催したのは記憶に新しい。ベースのTigen Kawabeの課外活動も著しい。ベース・ミュージック・ユニット「Devilman」に参加し2013年初頭CDをリリース。続いて伝えられたのが、Acid Mothers Temple(以下AMT)の河端一(g)と志村浩二(ds)とのトリオ「MAINLINER」だった。AMTはヨーロッパで人気が高いしへヴィサイケの大先輩なので、大いに納得。早速本国へオーダーし届いた限定ポスター付ホワイトカラーLP『Revelation Space』には怒涛のファズサイケが溢れており、折しもAMTが気になっていたところでもあり、暫く耽溺した。



その時はMAINLINERに前史があることには気付かなかったが、来日公演の報で、PSFからCDが出ているサイケバンドであることを知った次第。90年代半ばに河端一(g)、南条麻人(b)、志村浩二(ds)というムジカ・トランソニック・HIGH RISE繋がりのメンバーにより結成されたMAINLINERは、1996年にアメリカのレーベルからCD『Mellow Out』をリリース(ドラムは小泉はじめ)。当時は話題にならなかったが、解散後の2001年にジュリアン・コープが大きく取り上げ、英国・欧州で「90年代サイケのバイブル」と評されラリーズに匹敵する伝説的評価を得たという。この日のUFO CLUBは再結成したサイケ・レジェンドの約13年半ぶりの国内ライヴという大変貴重な夜となった。



●中原昌也(electronics)+道下慎介(g)+亀川千代(b)+姫野さやか(ds)

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

サポート・アクトが興味深い。三上寛の「Y A M A M O T O」のメンバーでもある道下&亀川に中原が加わるのは違和感はない。だが、サボテンを思わせる変拍子インストバンドという印象のにせんねんもんだいの姫野のドラムが参加するとどんな音のマジックが生まれるだろうのか?



デジタル化した筈の中原は骨董品のミニモーグをドーンと置いてアナログ・シンセならではのモジレーション矩形波を鳴らす。亀川と道下も徐々に加わるが、姫野は俯いたまま動かない。そのうちハイハットを刻み思い出しようにスネアを打つ。身体でリズムを取っているが、他の3人とは同期していない。演奏が佳境に入っても自分だけの独自のビート理論に従うように散発的な打撃音を鳴らし続ける。短いブレイクを挟み、中原の合図で一斉射撃に突入。その時初めて全力発揮のパワードラミングを魅せるが、ハイハットとスネアとフロアタムだけのミニマルなセッティングの為か、クールな表情の為か、いわゆるロック的なダイナミズムが感じられない。昨年のFREEDOMMUNE 0 <ZERO>のネット配信でにせんねんもんだいを観た時、思った以上にテクノ/アンビエント色が強いと感じた理由は、このポストロック的センスにあるのだろう。血と汗と涙だけがロックじゃないことを詳らかにした。ここでもやはりドラムが演奏の核心を担っていた。個人的にはこのクヮルテット演奏を「姫野さやかSESSION」と名付けたい。




●MAINLINER


サポートアクトとは正反対に「これぞロック」と呼ぶしかない熱く激情迸る演奏を聴かせたのがMAINLINERだった。とにかくリフ一発で20分近い長尺演奏。クサいほどお約束のブレイクとそれに伴うテンポチェンジだけが唯一の展開らしい展開。ひたすら力技で押しまくる暴走スタイルはハーシュノイズと寸分違わない。



非常階段がハードロックのフィードバックやプログレのインプロ部分を拡大して集団即興ノイズに辿り着いたように、ブラック・サバスのリフとリッチー・ブラックモアの速弾きとジミ・ヘンドリックスのギタークラッシュを培養・増殖したのがMAINLINERだと言っても間違いではあるまい。猛然とギターソロを弾き捲る河端と、ロングヘアーを振り乱して乱舞するTaigenが視覚面を含めたロックのダイナミズムを曝けだし、ペダルとスネアを破壊してもなお叩き続ける志村のタフネスが発現する血と汗と涙に観客は拳を上げて応える。目くるめくスリルと喧騒は、月並みな言葉であるが、マキシマム・ロック・エクスタシーそのものであった。ほぼ2時間弾き・歌い・叩きっぱなしの3人も体力には恐れ入る。




二組の
轟音ライヴ
意趣返し

Taigen Kawabeはリミックスワークにも長けており、日本のオルタナバンドDownyのRemixコンペティションで大賞を受賞。昨年のでんぱ組.inc「ノットボッチ…夏(BO NINGEN Remix)」に続いて、3月リリースのDowny『無題Remix Album』で音源化される。

BO NINGEN HEADLINE LIVES 2014
Special Guest:THE NOVEMBERS
2014年
2月8日(土) 代官山UNIT
2月13日(木) 心斎橋PANGEA
2月14日(金) 名古屋CLUB UPSET

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【急報】マイナー音楽の首領・白石民夫が新ユニット「大凶風呂敷」でジャパン・ツアー決定!

2014年02月07日 00時25分17秒 | 素晴らしき変態音楽


1980年にインディーレーベルの草分け「ピナコテカレコード」の第1弾としてリリースされたオムニバスLP『愛欲人民十時劇場』は、吉祥寺マイナーという小さなライヴハウスで夜の10時から開催されていた同名イベントでのライヴ演奏を収録していた。ごく少数の観客の前で演じられた極北の表現行為のドキュメンタリーとして、その名の通り少数派の活動の場であったマイナーに蠢く有象無象の地下表現者を戸外へ開放するきっかけとして十分なインパクトがあった。アルバムの冒頭を飾るのはチャカポコしたリズムボックスとピーピーいうサックスの悲鳴。どんな過激かつ醜悪な演奏が始まるのか、と身構えるリスナーを煙に巻くすっトボけた狂言回しを演じるのが、白石民夫という31歳の真面目そうな青年だった。

  

当時すでに東京地下音楽界の有名人だった白石は、灰野敬二の不失者の最初のメンバーであり、山崎春美と共にタコの中核メンバーであり、「うごめく、気配、きず」「剰余価値分解工場」「愛欲人民十時劇場」などのイベントの中心人物であり、そして何よりも女の悲鳴かネコ殺しの断末魔を思わせる激烈なサックスのフリークトーンで知られていた。耳に突き刺さる高周波音は、灰野敬二の叫びとフィードバック、山崎春美の痙攣、竹田賢一の大正琴と並び70年代末地下音楽の象徴だった。

  

80年代最初の数年を過ぎると、ポストパンクの勃興と入れ替わるようにマイナー系地下音楽は存在感が希薄になり沈静化することとなる。再び地表に姿を現すのはテクノとニューウェイヴとビートパンクの狂騒の80年代が終わり、20世紀の終わりのディケイドである90年代に入ってからのことになるが、その時には最重要人物のひとりである白石はニューヨークに居を移し、日本のシーンとの交流は少なくなっていた。それ以降の活動については本人から提供されたプロフィールに詳しいが、住み慣れた日本を離れて異郷に住みながら、愛用のサックスの究極の悲鳴で世界各国の表現者と交感してきた白石こそ、芸術的コスモポリタニズムの真の実践者と言えよう。時折帰国しては、かつての同胞とのセッションや屋外でのゲリラ演奏を続けてきた白石が、2014年初春、新ユニットで来日公演を行う。

  

アラン・リクトやマイケル・ヘンリッツ、ショーン・ミーハン、No Neck Blues BandのMicoなど様々なミュージシャンと共演してきた白石は、2012年に若き才女Cammisa Buerhaus(カミッサ・ビュアハウス)と出会って天啓を受け、デュオとして活動してきた。フェミニストであり、彫刻家であり、女優であり、サウンドアーティストであるカミッサの想像力豊かな電子音響と35年前から岩のように不変の白石の居合抜きのサックスがスリルとサイレンスを行き来する世界は「大凶風呂敷」という謎めいたユニット名と共に、首尾一貫して地下音楽の極道を貫く白石民夫という稀有な魂の眩い閃きを我々の眼前に明らかにするに違いない。全5公演いずれも見逃せないユニークな共演イベントに加え、気の向くままにゲリラ演奏も行うかもしれないと言う。

大凶風呂敷(白石民夫+Cammisa Buerhaus) JAPAN TOUR 2014


2月27日(木) 京都UrBANGUILD
「Living Arts vol.19」
出演:大凶風呂敷/Kみかるmico/Delphine Depres/ieva (4speaker performance)+中川裕貴:(cello)+ryotaro (acc, synth)/豊田奈千甫

2月28日(金) 大阪フィドル倶楽部
「SHIRAISHI Tamio Live」
出演:大凶風呂敷(白石民夫 カミッサビュアハウス)+ミカ/KみかるMico/長野雅貴/向井千恵/ウォンジクス

3月3日(月) 渋谷Last Waltz
「剰余価値分解工場2014」
出演:白石民夫/Cammisa Buerhaus/後飯塚僚/山崎春美/工藤礼子/工藤冬里/鈴木健雄/高橋幾郎/竹田賢一
問い合わせ:新宿 裏窓




3月5日(水) 大久保Earthdom
「Passion & Intension Vol.12」
出演:大凶風呂敷 guest: 木村由(dance)/魔術の庭/解体飼育団 (長谷川洋[electronics: a.k.a.ASTRO] 佐々木悟[as] 内田静男[b])
問い合わせ:MUSIK ATLACH




3月6日(木) 六本木Super Deluxe
「高周波地区」
JUNKO (非常階段) ソロ/大凶風呂敷/Sachiko M/黒パイプ




サックスの
震えに似てる
ニューヨーク

【PROFILE】
白石 民夫 


1990年より、NY、SF、で時折、演奏を行う。この頃は主に、ABC No RioにおいてA Mica Bunker のfreejazz系の人、それと、やはりABC No RioでHuagi PungoなどのPunk Rockバンドと共演。Crash Worshipの演奏に数回参加。
1994年よりNYに移住。Alan Licht、No Neck Blues Band、Fritz Welchなどと共演。Mico(from NNBK)とともにヨーロッパツアーを時折行う。Sean Meehanとは20年近く、年一回ではあるが、屋外での夏のたそがれ時のパフォーマンスを現在に至るまで継続している。
2007年にはSean Meehan、高橋幾郎とともに、Scotlandでの屋外コンサートツアー(主催Arika)に参加。2008年より地下鉄構内での深夜から未明にかけての演奏開始。現在も定期的に継続中。2012年よりCammisa Buerhausとの活動開始、井上みちる(舞踏)、吉増剛造(詩人)などとの共演を行う。他に、最近の共演者は、Steve Baczkowski、Jooklo Duo(from Italy)など。モダンダンスとの共演もときおり行っている。

Cammisa Buerhaus(カミッサ・ビュ アハウス)


マンハッタンのダウンタウン在住。サウンドアーティスト。彫刻家と しての訓練を受け、自身が作成した自作のオルガンなど手製の楽器を演奏するだけでなく、ソ連製のシンセサイザーでも演奏を行っている。
ソロプロジェクト、「Eliza and Parry 」は「複写された発熱夢」の音楽である。「Plant Migration」と 自分自身のレーベル「Wild Flesh Productions」を通じて2014年に二つの新しい「Eliza and Parry」のカセットをリリースする予定。
音楽だけではなく、マンハッタンのギャラリー「Cage」のアーティスト·イン·レジデンスでもあり、サウンドのイベントを主催し、フェミニストの視点からサウンドアートの歴史を研究している。
さらに、Cecilia CorriganMacGregor Cardとのコラボレーションである進行中のプロジェクト「Full Disclosure」においてミュージシャンであり、女優でもある。

【CAUTION!】3月6日木曜日、六本木にて「ジュンコvs.サチコ」ガチンコ対決実現!!!!!!!!!
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灰野敬二/Umez/わかってほしい@恵比寿BATICA 2014.2.3(mon)

2014年02月06日 00時34分57秒 | 灰野敬二さんのこと


BATICA TROICA

<ACT> 灰野敬二/Umez/LOST IN TLANSRATIONS/キッチュ一人楽団/わかってほしい
<DJ> dj harurutokun(HALBACH)



恵比寿BATICAは最近DJ灰野敬二のイベントが続いたので、クラブ・ミュージック中心という印象が強いが、2011年のオープン直後に観に行ったのはTADZIOやCOMBOPIANOのライヴだった。元々のコンセプトが「ライブハウスとクラブの両方の良さを引き出せるお店」なので、クラブ仕様の音響設備で爆音ライヴも可能ないいスペースである。今回はBATICA主催のライヴイベント。灰野以外は未知のバンドだが、高円寺や新大久保や秋葉原とは違ったEBISUならではのユニークな世界が展開されるに違いない。

わかってほしい


月曜日なので仕事が立て込み途中からの参戦。ミラーボールが回る暗い照明の中で3番手のバンドがセッティング中だった。「わかってほしい」というバンド名は謎めいているが、マントのようにふわっとした衣装とヴィンテージ楽器から察するに、60'S風サイケバンドとお見受けする。そのサウンドは確かにサイケデリックだが、童顔ギターの突き抜けたヴォーカル、女子ドラムと女子ベースの微妙にモタッたリズム感、時間軸を歪めるファズが、お洒落タウンEBISUに似合わぬ墓場の鬼太郎ワールドを展開する。次回のライヴが東京アンダーグラウンドの総本山UFO CLUBと聞いて納得。公式サイトの自己紹介は「現在都内にてモゾモゾ活動中の愉快なロックバンド」。腰砕けの美学を体現する妖怪バンドとの出会いに感謝。双児に違いないと思ったベースとドラムに血縁関係はないとのこと。CD『なんだこれ、生き物みたいだ』発売中。

 


Umez


BO NINGENのTaigen Kawabeとロンドン時代からの盟友である元Screaming Tea PartyのニーヤンとNO CARSのSachiko Fukudaの2人がロンドンで結成したバンドがUmez(ウメズ)。昨年12月にBO NINGEN関連イベントで名前を見て、ようつべをチェックし、エレクトロパンク/ニューゲイザー風のサウンドが気になっていた。ガスマスクのニーヤンと長身のSachiko Fukudaの立ち姿はかなり印象的。ドラムマシンのミニマルビートが歪んだギターと幻想的なヴォーカルと相俟って、ドリーミーな酩酊感を醸し出す。特に最後に演奏された10分を超える長尺ナンバーの浮遊するサウンドにはロンドン仕込みのドラッギーなトリップ感が漲っていた。




●灰野敬二


最近はワンマンや共演イベントが多い灰野敬二久々の対バン・イベント出演。時間の限られた中で展開される凝縮された演奏がワンマンとはひと味違ったスリルに満ちている。テーブル2卓と大量の機材がステージ上に運ばれ、じっくり時間をかけてセッティング。22時予定が30分近く遅れてスタート。照明を極限まで落とした暗闇に黒い影が浮かび上がる。爆撃のようなシンセサイザーの電子音が一斉放射され音圧に押しつぶされる。イベントの主旨が何だろうが、対バンが誰だろうが一切妥協の無い灰野ワールドを作り上げる。地鳴りのようなドラムマシンの連打、脈打つ重低音、引き裂くエアシンセの悲鳴。腕を振り上げて操る姿は邪教の祈祷師のよう。嵐吹きすさぶ激音から一転してハーディガーディの呪術演奏に。時間が引き延ばされるようなドローンに乗せて歌われたのは灰野には珍しく英語の詩だった。60分の情念の放出に耽溺した。




恵比寿には
邪神が住むと
人は言う

90年代に恵比寿MILKが灯したEBISUアンダーグラウンドの炎がBATICAに引き継がれている。
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マヒトゥ・ザ・ピーポー@下北沢Lady Jane 2014.2.2(sun)

2014年02月04日 00時45分49秒 | 素晴らしき変態音楽

(写真の撮影・掲載については、出演者の許可を得ています。以下同)



下山(Gezan)マヒトゥ・ザ・ピーポーのワンマン・ライヴ。会場は生前の松田雄作が通った格式高いジャズバー下北沢Lady Jane。灰野敬二や坂田明などジャズ・即興系アーティストのセッションで何度も通っているが、シンガーソングライターのワンマンは初めて。20人も入れば満員の小さな店だが、いつも比較的出足が遅いので高をくくって開場時間ちょうどに行くと、イマドキ女子の長い列。すっかり忘れていたが、若手ロックバンドのセンターを務めるナイスガイのソロ公演だから、女性ファンが多いのは当たり前。ルックス目当てという訳ではなく、先鋭的なカルチャーに真っ先に反応するのがいつもガールなのは世界の常識である。

若干アウェー感を抱きつつ席に着く。この店では経験したことのない盛況ぶりで、ベテラン店長も勝手が違って戸惑いを見せる。アップライト・ピアノの前に設置された譜面台を囲むように座る女子ファンはお喋りに興じることもなく、穏やかに主人公の登場を待つ。音楽ライヴと云うより、詩の朗読会のような静謐な雰囲気。客席の後ろからマヒトがふっと現れ、椅子に腰かけ、おもむろにギターを爪弾き歌い始める。飛んできた鳥が庭の木にとまってさえずり出したような、ごく自然な存在感。彼はしゃべるのと同じように歌う。ラフな赤ジャージ姿が、友人の部屋で寛ぐようなリラックスしたムードを醸し出す。



飾り気のないアルペジオ、時にしゃくり上げる甘えるような歌声。「夏」「海」「月」「朝」「流れ星」「陽炎」といった陽性の言葉の中に、「死」「血」「悪魔」「黒」「男性器」という毒気を含んだ名詞が棘のように突き刺さる。2014年初ライヴの月見ル君想フのイベントで「新曲を作るといつも夏の歌になってしまう」と語っていたが、手が届く前に過ぎ去ってしまうエンドレス・サマーへの憧憬とも惜別ともつかないしょんぼりした気持ちが、彼のうたの底にあるのではなかろうか。

オシリペンペンズのメンバーチェンジに触れ、「ずっとそのままでいいと思っていたことがいとも簡単に壊れてしまう。結局音楽はいつも負けなのかな」と嘆くが、マヒトはそんな時間とどっちが早いか勝負をしているのだ。「目に見えることだけは信じていい」という言葉には、覚悟を決めた男の信念が漲っている。控えめ過ぎる拍手のアンコールで歌った下山の新曲「瘡蓋と爆撃機」の歌詞にあるように「この4人なら行けるよと信じて死にたい夜をこえてきた」。人間がいつか枯れて黄昏(たそがれ)る運命だとしても、それはスピードとの勝負に決着がつくまでは訪れることはないに違いない。




沈黙の
次に美しい
歌の数々


下山(Gezan) 2nd Album 
『凸-DECO-』 2月5日発売





テニスコーツと下山 コラボレーションアルバム 
『ライブ in ザバン』 発売中(ライブ会場、及び一部レコード店での販売)





マヒトゥ・ザ・ピーポー 2ndソロAlbum 
『POPCOCOON』 3月5日発売


【 レコ発ツアー情報 】
2月9日(日)京都 METRO 「HOMESICK 17」
2月11日(火・祝)東京 下北沢GARDEN 下山(GEZAN) / NATSUMEN / 漁港
2月13日(木)北海道 COLONY
2月20日(木)~3月14日(金) USツアー & 「SXSW 2014」(全20カ所予定)
3月23日(日)長崎 Studio Do!
3月28日(木)福岡 SPIRAL FACTORY
3月30日(日)大阪 CONPASS(ワンマン)
4月3日(木)愛知 APOLLO BASE(ワンマン)
4月5日(土)東京 新代田FEVER(ワンマン)
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藤掛正隆×早川岳晴×梅津和時×ヒゴヒロシ@荻窪ルースター・ノースサイド 2014.1.31(fri)

2014年02月02日 01時08分19秒 | 素晴らしき変態音楽


藤掛正隆&早川岳晴presents 崖っぷちセッションvol.42

早川岳晴(b), 藤掛正隆(ds)
ゲスト:梅津和時(sax,cl.) ヒゴヒロシ(b)

追悼するほどよく知っている訳ではないが、高校2年のとき『東京ニューウェイヴ'79』というレコードを聴いてSEXの曲「TVイージー」に痺れて、生まれて初めて行ったライヴハウスで観たのが川田良(&伊藤耕)のSYZEだった。1979年7月13日吉祥寺マイナー、対バンはFriction。SYZEの方が断然カッコ良かった。マジソンスクエアガーデンのスポーツバッグに忍ばせたラジカセで録音したライヴ・カセットは、恐らく生涯で最も回数多く聴いた音源だと思う。その年の文化祭バンドで「TVイージー」をカヴァーした。SYZEは2回程観たっきりで、川田のその後のバンドを追うことはなかった。しかし自分のロック衝動の最初期にSYZEと川田良があることは間違いない。

  

その頃SYZEと同じくらい好きだったのがミラーズだった。同年リリースされたゴジラレコードのシングル「Out Of Order」のガムシャラに暴走するサウンドに惹かれ、池袋Studio2000でボイーズ・ボーイズとの対バンで観たミラーズは、3コード・パンクとは異色のアヴァンギャルドなギターと、機関銃のような勢いで吐き出される言葉が圧倒的だった。SYZEにはロックのカッコ良さを感じたが、ミラーズはロックの危なさ(ヤヴァさ)が溢れていて、感動よりも脅威を覚えた。心に焼き付いているのは前のめりにドラムを叩き歌うヒゴヒロシの一心不乱な表情。今でも「トライしてみな今、 パンクするまで」という歌を聴くと、当時常に感じていた「何かしなきゃ」というヒリヒリした焦燥感を思い出す。

 

昨年夏に灰野敬二との共演で観た「崖っぷちセッション」の42回目にあたる今回は、クリスマスにヒカシューのゲストで観た梅津和時があまりにも素晴らしかったことと、年末に観た灰野の新バンドHardy Soulで藤掛正隆のドラムに改めて感銘を受けたこともあり、これはナイスな組み合わせと早々に予約を入れ最前列を押さえていた。だから全くの偶然だが、川田良の訃報の翌日にヒゴヒロシのライヴを観るとは運命的なものを感じる。梅津と早川岳晴は1979年にデビューした生活向上委員会のメンバーだった事実も考え合わせると、期せずして川田良の追悼ライヴ的ニュアンスを感じたと言ったらこじつけに過ぎるだろうか。もちろん、そんな感傷は筆者の勝手な思い込みであって、出演者の胸には新たなセッションの歓びと期待しかなかったことは間違いない。


(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

ヒゴは崖っぷちセッション初出演、梅津との共演は約10年ぶりだという。ステージに上がった4人を観て初めてツイン・ベースであることに気づいた。早川&藤掛両名義の主催イベントだが、MC(Master Of Ceremony=司会進行)は藤掛。演奏に於いてもリードするのは藤掛のドラムである。冒頭のトライバルなビートに2本のベースが絡み、サックスがフリーキーなソロをとる演奏に、オーネット・コールマンの『ダンシング・イン・ユア・ヘッド』が頭に浮かんだ。オーネットのツイン・ギターに代わって2本のベースが自由気ままなプレイを展開。ヒゴが低音メインで骨太にボトムを固め、早川がハイポジションで裏メロを奏でるスタイルが基本。ドラムのビートの変化に応じて場面がチェンジする。藤掛はカオシレーターで電子ノイズを鳴らし、早川はサンプラーでフレーズをループさせる。さらに梅津がソプラノはもちろん、アルトでもサーキュラー・ブリージング(循環呼吸)奏法で息継ぎなしに延々とフレーズを吹き続ける。エヴァン・パーカー以外でこの奏法を観ることは滅多に無い上にアルト・サックスでやるとは驚異的。それらが絡み合いジャズとロックとノイズとミニマリズムとエスノのカオスが現出した。

 

2ndセットは梅津とヒゴのデュオ、早川とヒゴのデュオを含みより遊び心のあるセッション。4人とも完全にリラックスして心から演奏を楽しむ様子に、スタイルは異なれど30年以上演奏の現場に身を置くベテラン音楽家の懐の深さを実感した。最後のパートで4人の気持ちが最高潮に達し、ひたすら燃え上がるような饗宴の果てに、演奏家にとっては致命的ともいえる事故が発生したが、焦りを見せることなく演奏を完遂した意思の強さに、真のミュージシャン・スピリットが輝いていた。

 

2時間に亘るカオス的セッション全体を貫いたのは藤掛のタイトなドラム・ビートだった。先日観たデリック・ホッジ本田珠也SESSIONでも感じたが、音楽に於ける真のセンターはドラムなのかもしれない。




出会いがあり
心が通い合い
音楽が生まれる
それをセッションと呼ぶ

【New Release!】
5年ぶりのセカンドアルバム!
灰野敬二+藤掛正隆デュオ『HARDを何十乗させたら光の粒が降り注ぐのか?』



レーベル:Full Design Records
品番:FDR-1026 
発売日:2014年2月11日  
価格:2,520円税込み 



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