A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【洋楽エロカワ天国】キープ・シェリー・イン・アセンズ/ホリーチャイルド/キッド・ウェイヴ他

2015年06月17日 01時03分27秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


21世紀にはすっかり和物好きに転身していたが、思春期を迎えた時から90年代半ばまで、筆者の異常な愛情の対象は尽く洋モノだった。週プレより月プレ、ベッピンよりバチェラー。とりわけブロンドボブ女子に弱かった。夢見る年頃(平均的男子より10以上遅かった)を過ぎた頃から手の届かない紅毛碧眼よりも隣の黒髪安産型の和女子に推し変し、歌い手さんもいつでも会いに行ける大和撫子ばかりに惚れ込んだ。同時に音楽的嗜好も、洋楽よりも、和ロック和ジャズ和アイドルに移ったので、洋女子とは出会う機会すら稀だった。しかしこの数日何故か洋楽に興味を惹かれライヴ・イン・ロンドンや北欧ものをググっていたら、新世代洋モノ女子のエロさと可愛さにトキメキばかり感じてしまった。モヤモヤした煩悩を梅雨入り前に断ち切るために、邦楽至上主義者のための海外新世代女子入門をお届けする。

●Keep Shelly In Athens


このアー写は反則。海外で御法度のロリータ趣味で逮捕されるかも。ギリシャ出身の男女ソリームポップデュオ、キープ・シェリー・イン・アセンズ。浮遊感のあるヴォーカルはオトナの魅了あり。ロリータ嗜好を出さなくてもよい。



●Holychild


ロサンゼルス出身の男女シューゲデュオ。女子ヴォーカルのリズ・ニスティコのオトナっぽいエロさの発露は、女子校時代の鬱憤を晴らす愛の行為。






●Kid Wave


スウェーデン、オーストラリア、そしてイギリス出身のLea Emmery (Vo./Gt.)、Mattias Bhatt (Gt.)、Harry Deacon (Ba.)、Serra Petale (Dr.)によって2013年に結成された。UKインディーレーベルHeavenly と契約。



●Flo Morrisey


UKから登場した女子シンガー。小柄な身体からしなやかな声が溢れでる。




●Phoebe Ryan


グリーンの髪が神秘的なイメージに良く合う。新世代エレクトロの代表格。



●Ryn Weaver


アメリカの奥の深さを体現する。ゴシック風味洋館住まい。



●Varite


儚さと確かさと。かすれた姿に濃厚な情念が漂う。




ヴィーナスと
香りの咆哮
おつかれサマー

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ムーミンの故郷フィンランド発第三弾:ダークウェイヴの新鋭『ヤーコ・エイノ・カレヴィ』の奇妙な世界

2015年06月16日 00時32分11秒 | 素晴らしき変態音楽



北欧フィンランドの最新音楽シーンを漁っていたら、何ともシュールなPVに行き当たった。映画『ベニスに死す』のタッジオを思わせる色白な美少年がうつろな目で彷徨うなか、チープでダウナーなエレポップが流れる。インダストリアルからエレポップへ転身したクリス&コージーや、モンテ・カザザ、ギルバート&ルイス、トーマス・リアーなどを彷彿させるダークウェイヴィーなサウンドをクリエイトする面長のフェミニンな青年が、ムーミンの故郷から現れた新鋭アーティスト、ヤーコ・エイノ・カレヴィ。



作詞作曲、演奏、プロデュースまですべて自分で行うマルチな才能を持ち、ヘルシンキでは路面電車の運転手という顔も持つ注目の新鋭アーティスト、ヤーコ・エイノ・カレヴィ。2014年11月には北欧Music Nightにて初来日を果たすなど、ここ日本でも既に北欧音楽ファンのみならず熱い注目を集めている。アークティック・モンキーズやフランツ・ フェルディナンドを擁する英名門レーベル<Domino>の傘下レーベル<Weird World=奇妙な世界>にとって、初の北欧アーティストとして話題を集める彼。ディアハンターやザ・ウォー・ オン・ドラッグスなどを手掛けるニコラス・ヴァーネスがミックスを担当した今作は、ヤーコらしいインディ・ロックやポップ、ダブ、ダンス・ミュージックまで様々な影響を融合し、彼の圧倒的な個性で昇華させた唯一無二のポップ・ワールドが全開となっている。



■日本盤リリース情報
アーティスト名: Jaakko Eino Kalevi(ヤーコ・エイノ・カレヴィ)
タイトル: Jaakko Eino Kalevi(ヤーコ・エイノ・カレヴィ)
レーベル: Weird World / Hostess
流通品番:HSE-19223
発売日: 2015年7月1日(水)
価格:2,095円 + 税
※日本盤はボーナストラック・ダウンロードステッカー封入(フォーマッ ト:mp3)、歌詞対訳、ライナーノーツ付 予定



<トラックリスト>
1. J.E.K.
2. Double Talk
3. Deeper Shadows
4. Say
5. Mind Like Muscle
6. Night At The Field
7. Don’t Ask Me Why
8. Room
9. Hush Down
10. Ikuinen Purkautumaton Jännite



■ショート・バイオ
作詞作曲、演奏、プロデュースまですべて自分で行うマルチな才能を持つ、フィンランドはヘルシンキ出身ベルリン在住のシンガー・ソングライター。 元トラム(路面電車)の運転手という顔も持つ。母国でのリリースが注目を浴び、2014年に、アークティック・モンキーズ、フランツ・フェルディ ナンドでお馴染みの英老舗レーベル<Domino>傘下<Weird World>と世界契約、「DreamzoneEP」を発表。2014年11月開催の北欧MUSIC NIGHTで初来日を果たす。<Domino>と契約した初めての北欧アーティストとして熱い注目を集めている。


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【ライヴ・イン・ロンドン特集】コーエン/クリムゾン/プリースト/パープル/SMB/でんぱ組

2015年06月15日 01時22分03秒 | 音楽ちょっといい話


●レナード・コーエン


まさに奇跡の記録といいたい。密度の濃いアンサンブルと、それぞれの高いオリジナリティー溢れるソロパート。人生の終局を迎えて祈るようなレーナードの歌声。左右から彼を支えて絡まる詠唱。深く知ることなく、わずかにハレルヤに導かれて出会ったこの記録。其処彼処の誰をも捕まえてこの記録に目を通し耳を澄ませてもらいたくなる。ありがとう。

●ドクター・フィールグッド


ニック・ロウ作の1曲目からプレスリーナンバーでしめる完璧なロックンロール・ショー。ウィルコ時代が最強なのは百も承知で聴く人間なら、ボーナス曲、リマスターで音のソリッドさも上がっていて文句なく楽しめる。ただし日本盤の帯にある「三代目ギタリスト、スティーブ・・」というマヌケな文句(本当は5代目)と片面一枚のペラペラの解説のみ(歌詞もなし)で、輸入盤の倍の値段がしてるのはいただけない。これじゃまたCDが買いにくくなるよ、MSIさん。

●ディオ


ディオ1993年、ロンドン/ハマースミス・アポロでの幻のライヴが遂に初公開! ロニー・ジェイムズ・ディオにヴィニー・アピス(ドラム)、元ドッケンのジェフ・ピルソン(ベース)、そしてトレイシー・G(ギター)を迎えたラインナップでの貴重なパフォーマンスが、いま蘇る!

●ジューダス・プリースト


Rob Halfordのライヴでの散々たる体たらく観る~聴くにつけ、Tim OwenからRobに乗り換えたのは「昔の名前で出ています」といった、Kissのメイクに匹敵するイメージだけ以外の何物でもない事が判る。バンド解散の危機を救ったTim Owenを賛美する意味でも、Rob Halfordにはもう少し頑張って貰わないと困る。Robの穴を100%埋めたTim "Ripper" Owenはこのライヴで極まれリ!!!!

●キング・クリムゾン


1996年7月1日、ダブルトリオ期クリムゾンのスラックアタックツアーロンドン公演を2枚組で完全収録しております。完全収録ですが、前座のロバートフリップのソロ、約25分まで完全収録されています(笑)この日のライブは既に海賊盤で出回っていますが、やはりオフィシャル盤だと音がいいですね。内容的には中々いいと思います。旧曲は80年代ディシプリンクリムゾンの楽曲、70年代クリムゾンから2曲(太陽と戦慄2とレッド)、21世紀のスキッゾイドマンをやっていますが、ダブルトリオクリムゾンだとインプロパートが少なくなっています。しかしインプロ曲も1曲収録されています。この値段で2枚組は安いと思います。内容も中々お勧め出来ますので、買っても損はありません。

●サディスティック・ミカ・バンド


SMB幻の英国公演の、唯一の記録である。その昔「ベスト!メニュー」というベスト盤をLPで入手し、最後に「Suki Suki Suki(塀までひとっとびの英題)」が入っていたのだが、その圧倒的な演奏にノックアウトされ、この曲が入っていたLPを探したが当時は廃盤、東芝に再発の嘆願書を当時書いたりした(笑)。ちょうどその頃、再結成騒ぎがあり、程なくしてCD化が実現したのだがこの手紙が効いたか(笑)?
 ブックレットにあるように音源はカセットテープであり、マイクの立て方や音のバランスはちゃんとした作品には及ばない。しかしブートレグに名盤多しの例に漏れず、ブートレグのような音のこの作品、凄すぎる。後藤次利と高橋幸宏の驚異のリズム隊(走る走る!)と、気合入りまくりの高中正義のリードギター!こんなバンドのあとでは演奏したくなくなる気持ちも分かる、ロキシー・ミュージックのジョニー・グスタフスン君。
 拍手や歓声はなんだか後被せっぽいが、最後の大歓声は本物だ。この曲「塀までひとっとび」を聴くためだけでも、本作を手に入れる価値がある。

●ディープ・パープル


道のりは長かったがようやく完全なLive in London が聴けるようになりました。既発のこもったような音より、明らかに抜けが良くなり音質が向上しています。個人的には2001年宇宙の旅で有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」を導入部に引用するSpace Truckin'がドラマチックでかっこいい。Mark3 Final やLive In Paris1975等でも聴けますが、このCDのBURN アルバムツアーでのアレンジがコンサートのファイナルにふさわしく思います。また今までBootにすら収録されていなかったオープニングMCもノーカットで聴けライブの臨場感が高まります。演奏も第三期前半の安定した内容です。カットされがちなYou Fool No Oneもノーカットで聞けます。


●ジョー・スタッフォード


1959年ロンドン・パラジウム劇場でのTV ショウのライブ録音盤が初CD 化。「4月の思い出」「イエスタデイズ」などを収録!!

●アモン・デュール II


当時中学生の私は(1970年台中頃)、このアルバムから入った。なんだか分からなかったが、唯一の情報源であった音楽雑誌「ミュージック・ライフ」で、関西の某輸入盤屋の広告にこのアルバムのことが紹介されており、怖いもの見たさに購入した。確かイギーポップとストゥージズの存在が視界に入ったのもその頃だった。針を落とすとライブ会場の異様にむせ返る熱気に吸い込まれた。メンバーは、当時のベストメンバーと言ってもいい。ジョーン・ヴァインツィアール(g)、ローター・マイト(b)、クリス・カール(s)、フォルク・U・ログナー(kb)、レナーテ・クナウプ・クロウテンシュワンツ(vo)、D・フィッシェルシャー(d)、ペーター・レオポルド(d)。アルバム「イエティ」、と「ロック共同体」のカオスに満ちた楽曲が大胆かつドラマチックなアレンジで甦る。一気に聴いてしまう。特にレナーテのボーカルはまるで神がかり的である。このアルバムの評価は昔から、二極分化していたが、アモンデュールの歴史とは別にして、この作品はこれ自体でとてもすばらしいと思う。

ロンドンで
ライヴをしたら
ライヴ盤

●でんぱ組.inc
MOE JAPAN ~from Akihabara to the World~ 萌え日本!海外向けCDが出来ました(ノ∀`*)!!!!!みなさまよろしくねヽ(*´∀`*)ノ



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【フィッシング】カルメン・マキ/キノコホテル/オーネット・コールマン/でんぱ組.inc

2015年06月14日 01時22分58秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


街の会話やSNSやテレビやラジオで「ツイッターのトレンド入りした」ことが話題にされる昨今、世の中のトレンドとは無縁の道を歩んできた当ブログにもその余波が及ぶことが時々ある。1年半前武道館の記事で亡くなったばかりの大瀧詠一のことを書いたところ「フィッシングまがい」という脳足りんのコメントが寄せられ呆れたが、今回は意図的なフィッシング記事である。釣られる魚がいるかどうか、数字が証明してくれることだろう。
注:記事は過去ブログからの抜粋です。

祝デビュー45周年。カルメン・マキの分裂症的女子道のススメ


デビュー45周年!
何にも縛られず、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを自在に行き来した歴史の中から、自らがベストチューンを選曲。
自身の半生を振り返るセルフライナーノーツ、未公開写真を含めた究極のベスト!
2014年最新リマスター CD3枚組 全43曲 監修:カルメン・マキ

●カルメン・マキ(旧本名:Maki Annette Lovelace、1951年5月18日 - )63歳
頭脳警察デビュー45周年の今年は全日本ロック女子の姐御カルメン・マキにとってもデビュー45周年である。寺山修司の天井桟敷に所属し、1969年に寺山作詞の「時には母のない子のように」でデビューし、一躍大ヒット、紅白出演を果たした時代の寵児。清楚且つ妖艶な美貌は、まさしくアングラ&カウンターカルチャーの女神様。

70年代突然ロックへと転向。ロケンロー、ブルース、ハードロック、メタル、プログレと70年代ロックの王道を突き進み、サディスティック・ミカ・バンドと並ぶ人気バンドとして活躍したカルメン・マキ&OZ。どちらも女子ヴォーカルだったから、ジャップロックのベースは女子が作ったと言っても過言ではないかもしれない。特にマキの伸びやかなシャウトは、イアン・ギランやロバート・プラントを真似ても貧相にしかならない男子を尻目に、ロック女子のパワーを世に知らしめた。

ニューウェイヴ勢にヘヴィメタで対抗し孤軍奮闘した80年代を経て、90年代以降はロック、バラード、アコースティック、ジャズ、インプロ、ポエトリー・リーディングとジャンルに束縛されない音楽活動を続け、極めて自由度の高いスタンスを貫く。2012年の最新作『FROM THE BOTTOM』では、70年代への想いや阿部薫への追想など、タイトル通りアンダーグラウンドの闇から沸き上がる深い感情を歌い上げた。ジャズ系の小さな会場を中心とした最近のライヴでは、フリー系のミュージシャンとの共演が多く、かつてのロックの女王とは異なる魅力を発揮している。

そんなマキのパブリックイメージは「アングラ・フォーク歌手」と「ロックの女王」に二分される。どちらか一方のイメージに偏ったこれまでの再発やベスト盤では、彼女のスキッツォイド(分裂症)&アンビバレント(両向性格)なスケール感を捉えることは不可能だった。しかし、マキ本人の選曲・監修による此の3枚組アンソロジーには、知識として理解しても経験・体験出来なかったマキの全軌跡がドキュメントされている。マキ自身によるセルフ・ライナーノーツには、選曲コンセプトと背景・理由が詳細に記されている。売らんが為に有名曲を寄せ集めた安易な「ベスト盤」ではなく、カルメン・マキという希有な魂の鼓動が息づく「新作」といえるに違いない。

寺山修司繋がりでもあり、昭和40年代後半アングラ女子の象徴として思い浮かぶのが、もうひとりのマキ、浅川マキ(1942年1月27日 - 2010年1月17日 満67歳没)である。カルメン・マキは自身のブログで、9歳年上のマキ界の女王との想い出を綴っている。

私が初めて「浅川マキ」を観たのは、私が「時には母のない子のように」で歌手デビューする直前の1969年の冬、今は失きあの伝説の「新宿アートシアターギルド(ATG)」の地下「蠍座」だった。あの時の衝撃を私は多分一生忘れないだろう。その少し前に出会った天井桟敷の芝居「青髭」や、その少し後に聴いたジァニスの「チープ・スリル」、ジミ・ヘンドリックスの「Are You Experience?」と同様に、それはその後の私の人生を変えるきっかけとなるものだったと言ってもいい。
だから怖れ多くも「かもめ」を歌うことには当然、随分と勇気が要った。浅川マキファンに申し訳ない、比べられるのではないか、などと悩み、自信もなかった。けれど、そんな私を後押ししてくれたのは意外にもマキさん本人だった。「あの歌を歌えるのはマキしかいないでしょ」大マキ姉さんにそう言われて、私は安堵したと同時に、ただ好きで歌いたかっただけのあの歌が私にとって、もっと大きな意味をもつようになった。(2007年7月31日)


デビューから亡くなるまで一貫して黒とタバコに拘った大マキ姉さん(浅川マキ)と、華やかなスポットライトから再び地下へと戻り、スピリチュアルな歌を唄うカルメン・マキ。両者のイメージがお互いに滲んでひとつの大河となっての流れ出す瞬間(とき)がいつか来るかもしれない。(2014年6月6日記)

キノコホテル@恵比寿リキッドルーム 2014.7.18(fri)~呪縛の胞子を浴びる快楽園


4thアルバム『マリアンヌの呪縛』発売記念ツアー最終日。物販グッズのジャケの大蛇が蜷局を巻く蛇(ヘヴィ)イラストがPOP。2月大雪のエレクトリック・プルーンズ以来今年二回目の実演会参戦だが、プルーンズ、マニ・ノイマイヤー、スージー・クアトロといった海外ベテラン勢との対バンが続いたせいか、筆者を含めオヤジ層が増加しているような気がする。男子率が圧倒的に高いのは毎度のことなので、マリアンヌが限定女子会ライヴをやりたがる気持ちがわかる。

何度も観ている割にマリアンヌに女子らしさを感じたことは多くないのだが、指でイカせるベース女子ジュリエッタ霧島が加入し、バンドの力量が大幅アップするのに反比例してマリアンヌが支配人(リーダー)の重圧から解放され、ガールズパワーを発揮し始めているように思える。それは決して弱さや脆さではなく、夢想力と現実性が渾然一体とした少女期から、サディズムとマゾヒズムの使い分けを心得た大人の女へと成長する、人間本来の生命力の発露としての飛躍である。昨年に続き深夜ヘヴィ(蛇)ロックパーティー出演も伊達ではない。

その証拠に、繰り返されるキーボードを放置してのマイクアピールや、各従業員との絡み、挑発的な肌露出が、21曲130分最新曲から逆に年代を辿っていくようなセトリと違和感無く融和し、エンターテインメントとして完成の域に近づいている。2007年の創業同時から7年に亘り独自の世界を醸造し続ける希有な女子バンのステージは、まさしく現代日本の文化の断面だと言えよう。蛇ロックでも対バンする同じくコスプレ系のアーバンギャルドと帯同して裏JAPAN EXPO海外興行を鬱(打つ)のは如何だろうか?(2014年7月20日記)

オーネット・コールマン18年ぶりのスタジオ録音新作『ニュー・ボキャブラリー』登場


全くと言っていいほど話題になっていないが、ジャズの巨匠オーネット・コールマンの18年ぶりのスタジオ録音アルバム『ニュー・ボキャブラリー(新たな語彙)』が突然ウェブ上でリリースされた。リリース元のSystem Dialing Recordingsのサイトで試聴できる。高齢のためもう演奏できないのではと思ったりもしたが、サワリを聴く限りではトレードマークの明朗な音色でしっかりしたプレイをしている。曲によってはエレクトロ処理されたバックトラックが、今までにないフューチャージャズ的な世界を創造し、新鮮な響きを伝える。CDがまったく売れないというアメリカ市場の動きを反映して、フィジカルリリースはアナログLPのみ、デジタル配信は幾つか違うフィーマットがある。「192/24 STUDIO MASTERS」というフォーマットは聴いたことがないが、どんなクオリティなのか気になる。

老いた枯れたとは言っても世界の自由音楽・前衛音楽・極端音楽の創始者の新作にはもっと注目されるべきであろう。筆者はデジタル配信では満足できないのでアナログLPをオーダーするのでまだアルバム全曲は未聴だが、海外の紹介記事を「勝手に翻訳」するので参考にしていただきたい。

完全に新しくて陽気なほど親密
オーネット・コールマン『ニュー・ヴォキャブラリー(新しい語彙)』は1996年以来のスタジオ録音。
by マーティン・ジョンソン(ウォール・ストリート・ジャーナル)

ジャズの巨匠オーネット・コールマンの新録音作品が衝撃的なほど全く事前予告なしにリリースされた。ニュー・アルバム『ニュー・ボキャブラリー』はリリース元レーベルSystem Dialing Recordingsのウェブサイトで2014年12月下旬に入手可能になった。この革新的サックス奏者兼作曲家が、トランペット奏者ジョーダン・マクリーン、ドラマーのアミール・ジヴ、キーボーディストのアダム・ホルツマンと共演している。

コールマンの新しい音楽が聴かれなくなって久しい。同世代のサックスの伝説ソニー・ロリンズの2011年のライヴ・アルバム『ロード・ショウズVol.2』(Doxy)にゲスト参加した。直近の公式録音作品は2006年のライヴ録音『サウンド・グラマー』(Sound Grammar)で、翌年のピュリッツァー賞音楽部門を受賞した。スタジオ録音作品は1996年の『サウンド・ミュージアム:スリー・ウィメン』(Harmolodic/Verve)以来18年ぶりとなる。

現在84歳のコールマンはジャズ史でもっとも重要な人物のひとり。50年代末に、最初はロサンゼルス、次にニューヨークの音楽シーンに登場し、ハーモニーの規則を緩めて、ミュージシャンが感じたままに演奏することを可能にした。そのアプローチはコールマンの傑作アルバムのタイトルから「フリー・ジャズ」と呼ばれた。60年代後半、弦楽四重奏曲を作曲した最初のジャズ・ミュージシャンの一人となる。70年代に『サイエンス・フィクション』(Columbia, 1971)などの古典的作品を生み、1976年にプライム・タイムの最初の作品をリリースした。プライム・タイムは複数のエレクトリック・ギターとベースをフィーチャーし、ジャズとファンクを自然に融合させた。

突然の登場ではあったが、『ニュー・ボキャブラリー』のリリースは時宜を得たものである。2014年はコールマンへのトリビュート企画が二つ開催された。10月にはバッド・プラスがシリーズ・コンサートで『サイエンス・フィクション』全曲を演奏した。6月にはブルックリンでコールマン本人も参加して『セレブレイト・オーネット』と題されたコンサートが開催された。

ニュー・アルバムは2009年にレコーディングされた。その前年にコールマン氏は『フェラ!』というミュージカルに出席し、終演後バックステージでマクリーンに会った。マクリーンはミュージカルのアシスタント・ミュージック・ディレクターであり、劇中音楽をアレンジし演奏したNYブルックリンで活動するアフロビート・バンド「アンティバラス(Antibalas)」のメンバーだった。二人は意気投合して、コールマンは40歳のマクリーンを自宅へ招待し一緒に演奏した。そのセッションに参加したのはマクリーンのエレクトリック・バンド「ドロイド(Droid)」のメンバーのジヴとホルツマンだった。43歳のジヴは20年以上セッション・ミュージシャンとして活動し、ショーン・レノン、ローリン・ヒル、メデスキー・マーティン&ウッドの作品に参加している。56歳のホルツマンは自らのバンドを率る一方で、マイルス・デイヴィス、チャカ・カーンなどと共演してきた。非公式のジャム演奏は次第に厳格なリハーサルとなり、アルバムに収録された12曲を完成させた。

『ニュー・ボキャブラリー』の収録時間は42分。コールマンの明るく歓喜に溢れたサックスと、マクリーンの電気エフェクトとホルツマンのピアノとの対比が印象的な2曲の小品「ベイビー・フード」「サウンド・ケミストリー」でスタートする。そこから徐々に強度を増した「アルファベット」「ブリーディング」「イフ・イット・テイクス・ア・ハッチャー」「H20」へと進む。ジヴのドラムがパワーをまし、コールマンとマクリーンがドライヴするリズムに乗せてグルーヴィなプレイを繰り広げる。アルバムは雰囲気を変えた黙想的な「ゴールド・イズ・ゴッズ・セックス」で幕を閉じる。

オーネット・コールマンのプロジェクトの多くは、全く新しい何かを提示するか、過去の作品に密接に関連したものを提示するかのいずれかである。プライム・タイムや『サウンド・ミュージュアム』バンドは革新的変貌だった。『サイエンス・フィクション』は先立つブルー・ノート作品の集大成だったし、『サウンド・グラマー』はコールマンの馴染深いセッティング=カルテットで長いキャリアからのレパートリーの再演だった。『ニュー・ボキャブラリー』は両方兼ね備えている。直接的な引用のメロディーはないが、コールマンのプレイは所々で彼の60年代初期、70年代初期、80年代後期の作品を想起させる。一方バッキングは彼の演奏をレコーディング作品だけで知るリスナーにとっては、全く目新しいものである。コールマンはそんなバンドメイトからエナジーを得ている。彼がこれから目指す新たな方向性を示唆している。水面下の発進にもかかわらず、『ニュー・ボキャブラリー』はオーネット・コールマンの輝かしいディスコグラフィーに新たな価値を付け加えるに違いない。(2015年1月16日記)


でんぱ組.inc@渋谷Club Quattro 2014.7.29(tue)& 30(wed)


(日本)武道館の神通力が如何に強いのかを証明するかのようにメディア露出&SNS投稿が増加中のでんぱ組が、いよいよ実質的に(日本)武道館後最初のリリース日を迎えた、シングル「ちゅるりちゅるりら」と(日本)武道館公演のDVD『ワールドワイド☆でんぱツアー2014 in 日本武道館~夢で終わらんよっ! ~』がリアル&バーチャル店頭を賑わせる中、全国ツアーがスタート。フラゲ日&リリース日に渋谷クラブクアトロで公演。(日本)武道館の十分の一のキャパなので、当然両日とも完全ソールドアウト。手荷物持込禁止という措置は初めての体験だったが、邪魔モノなしで、とても快適に観戦出来た。

ガチのヲタと新規ファンの混在する場内は、例えばBiSの解散ツアーのような切羽詰まった狂乱ではなく、オラがアイドルを応援するほのぼの愛が主導するピースフルな空気の熱気が溢れ出していた。でんぱ組自身がとりわけ楽しみにしていたツアーであり、外の通りを宣伝トラックが走るお祭り感に感染したハイテンションでトレンディーなキレのいいパフォーマンスを堪能。いくらメディア露出が増えようとも、ライヴこそが最もリアルな現場だと再認識した。将来的にリアル現場がどこまで規模を拡大するかは未知数だが、「いま、この国に”でんぱ組.inc”というグループがいるのはおもしろい」(成瀬瑛美/81 JAPAN summer)ことは確か。このおもしろさがいつまでも続くことを願ってやまない。

個人的にはメンバーそれぞれのキャラクターがより個性的に輝きを増していく状況が興味深く、推しメンのえいたそ☆成瀬瑛美の暴走ぶりは勿論、筆者の妄想力をこれほど刺激してくれる存在感は、アイドル云々関係なく面白い。これまでは「前衛とポップの融合」が音楽を聴く際の大きな関心事だったが、今では別に交じり合わなくても、想像力=妄想力を拡大させてくれる音楽こそ、求めるべきものだと思う。前衛でも地下音楽でもロケンローでもアイドルでもJ-POPでもジャズでも、その気持ちは変わらない。(2014年8月1日記)

仲直り
リボンをつけて
夜露四苦!


祝!6/19Mステ出演!




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【和ジャズよ、自由が巴里の日だ】加古隆/高木元輝/沖至/富樫雅彦/豊住芳三郎

2015年06月12日 01時43分36秒 | 素晴らしき変態音楽


70年代に局地的に吹き荒れた日本のフリージャズの活動の場は、新宿ピットイン二階の楽器置き場を改造したニュージャズホールや、渋谷シアタースナック『プルチネラ」や明大前『キッドアイラックホール』、初台『騒』、荻窪『アケタの店』、八王子『アローン』などの都内の小ホールだったことは間違いないが、それに次ぐ聖地が仏蘭西の巴里だったことに言及した評論やメディアにはお目にかかったことが無い。



フリーだろうが無かろうが、ジャズに一家言ある先生や諸先輩が何も語らないということは、いくら筆者のような落ちこぼれの愛好家(アマチュア)/マニア/フェチ/ヲタ/偏執狂が今更何をほざいた所で出来上がった歴史を覆すことは不可能であることは、覆水盆に帰らずの諺の通り、緋を見るよりも明らかである。



そうはおっしゃいましても私としても物言わぬは腹膨るる業なり、と申します通り、覆水と腹水を秤にかけて導きだした結論は、元々ヤサグレブロガーが何を言っても自分の勝手、こんなブログを読む物好きな皆様に無様な姿をお届けするのが我が願い。目にもの見せてくれようなどと穿ったことは露程にも考えておりません。



1962年にジャズの新しい形を求めた高柳昌行を中心に旗揚げされた「新世紀音楽研究所」の活動拠点が銀座ヤマハの裏にあったシャンソン酒場『銀巴里』。日本自由ジャズは始まりから仏蘭西国旗のトリコロールに縁取られていた。高柳、富樫雅彦、菊地雅章、山下洋輔、豊住芳三郎など、のちの自由ジャズ闘士が揃ったシルバーパリス(銀巴里)で束縛から解き放たれた音響が空気を満たした。



パリは60年代にニューヨークを中心に勃発した「ジャズの十月革命」お担い手たちが、反動保守に逆転された故国を離れて移り住んだり、思いのままのブレない無軌道演奏を一般市民に披露するため屡々訪れたコスモポリタンシティ。地元のミュージシャンも米国極端音楽に親しみ、BYGレーベルを立ち上げ、亜米利加では発売できないヤヴァい音源を次々世に送り出した。



サルトル、ヴォーヴォワール、ロートレアモン、アポリネール、アルトー、セリーヌなど、反体制派やボヘミアンを惹き付ける思想や文学関係者も多く排出するこの街に魅せられるのは、何もファションデザイナーやファッションモデルやファッションフォトグラファーだけではない。現代音楽、電子音楽、ミュージック・コンクレート、変態ジャズや気狂いジャズを極めるために多くの音楽家も夢に見る憧れの地が花の巴里であった。



1971年7月、フランス政府給費留学生として渡仏した加古隆というメガネの芸大出ピアニストが、オリビエ・メシアンに師事しながら、彼の地の自由ジャズの魅力の虜になった。先に日本を飛び出し世界を渡り歩いていた豊住芳三郎(ds)と意気投合しバンドに加入。同時に欧米ジャズメンのサイドマンとして頭角を現し、やはり巴里に来た高木元輝(ts)や富樫雅彦(ds)、遅れて70年代半ば渡仏した沖至(tp)等と共演。日本自由ジャズ史に残る数々のアルバムを発表した。加古が80年に帰国するまで、10年に満たない間、日本のフリージャズの流れは花の都パリにて育てられたと言っても過言ではなかろう。

自由ジャズ
パリを燃やして
巴里で萌え



 



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【トランペットの皮算用】ドン・チェリー/レスター・ボウイ/沖至/近藤等則

2015年06月10日 01時12分04秒 | 素晴らしき変態音楽


縦笛~フルート~テナーサックス~バリトンサックス~アルトサックスの木管人生を送ってきたので金管にはちょっと疎い。黄金色のキンキラ金環蝕ボディの三つのバルブでどうやって12音×3オクターブを鳴らせるのか、52年経っても分からない。来年こそはと思い続けて早6ヶ月半、諦めムードも漂う今日この頃の凹み癖を吹き飛ばす為にも金冠楽器の庶民派トランペットに着目し、梅雨の気殺を乗り切りたいものだ。

●ドン・チェリー


本来ならサッチモから始めるのが礼儀だが、無作法には際限がない愛好家的にはオーネット・コールマンやアルバート・アイラーの金管パートナーのドン・チェリーでペットの快感を学んだ。「ロンリー・ウーマン」でのオーネットとの千鳥足デュエットもいいが、ココはやはりジョン・コルトレーンとの『アヴァンギャルド』に注目してみたい。オーネットのリズム隊=チャーリー・ヘイデン(b)、エド・ブラクウェル(ds)をそのまま流用して、王者トレーンに咬ませ犬の如く組まされたドンチェは、凹むこと無く魂プレイを鳴らしている。トレーンの完璧すぎる感性の限界に風穴を開けるべく不断の挑戦が果たして報われたかどうかは聴き手の愛情次第。筆者的にはFU●K TRANEスタンスがもっとあってもいいかも。



●レスター・ボウイ


弟のジョセフはトロンボーンという金管兄弟。アート・アンサンブル・オブ・シカゴでは白衣やスーツ姿で、ロスコー・ミッチェルやマラカイ・フェイヴァース、ドン・モイエの原住民ファッションに対抗した人呼んで金管王子。AEOC以上にリーダー作でのカッコマンぶりが鬼畜かも。ブルージーな土器色アンブッシャーからファンタジックな浮遊プレイまで、変幻自在なペット模様はグラム時代のデヴィッド・ボウイと紙一重。筆者的には井野信義と笑顔で交歓した『デュエット』のゆるキャラぶりに軍配を上げたい。収録曲のタイトル通り「二人三脚」の「獏の欠伸」である。



●沖至


間章と並ぶ漢字二文字フリージャズ者の代名詞。富樫雅彦・佐藤允彦とESSGで同胞ながら74年に渡仏し、現在もパリの空の下に住まいを定め活動する。その当時から浮遊感に溢れたペット吹きとして他を圧倒する。『しらさぎ』の渡り鳥が一斉に飛び立つような広大な音宇宙の創出は、世界に飛び出すジャズ戦士の魂が求めた桃源郷の調べ。その感性が至る先には沖のカモメが羽を休める岩礁が広がっている。何処までも続く空は41年前と同じように晴れ渡っている。空気染み渡る金管の音色は白鷺になって世界へ羽ばたく。



●近藤等則


沖と並ぶ自由ジャズペッター。世界を相手に闘ってきた即興戦士が自然を相手に孤独なペット人生を送ったことは、やはり闘士の心意気が成せるワザだろう。筆者的には法政大学学生会館で長い竹竿を床に叩きつけながらフロアを闊歩する姿が鮮明に思い浮かぶ。新体道で培った壮観な面持ちには、常に闘い常に交歓してきた男=漢の生き様が皺のように刻み込まれている。無伴奏ソロ作『Fuigo From A Different Dimension』(79)に於けるペットの可能性と不可能性を暴露するかのような挑戦は、今となっては忘れかけた過去かもしれないが、世界の中の日本に少しだけ引っ掻き傷を残した功績は後の世に語り継ぐべきだと信じている。



マンションは
ペット禁止だ
ご無体な

●Sun Ra All Stars and the Sun Ra Arkestra with Archie Shepp Berlin 10/291983


★Don Cherry & Lester Bowie参加!

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【個から孤へ】NY即興ソロ事情~C.ピッツイオコス/A.ドゥルーリー/M.プライド/P.ニゲンケンペル

2015年06月09日 00時20分09秒 | 素晴らしき変態音楽


ニューヨーク・ハードコアジャズ・シーンの「今ここにあるリアルジャズ(Jazz Right Now)」を視ていると、ブルックリンを中心に様々なミュージシャンがキラ星の如く煌めき、国内外からの訪問者や居留者(レジデンシー)と交歓を繰り返しながら、即興音楽の新章を産む創造の坩堝のリンゴ(Big Apple)の中から、他者との対話から一時離脱して、自分独りで唯我独尊、我が道を追求する流れが目立つことに気がつく。いわゆるソロ作品は、かつては個々の個人が一個人として個別に個性を発揮する作風が多かったが、21世紀以降の機材やPCの進化で多重録音やマルチ演奏が一般的になった現在、孤城のように孤立した孤独な魂がお互いの孤高を維持したままで契りを交わす誓約書の象徴として重要な意義を持ち得るようになった。それは時代の要請であり必然である。則ちソロ演奏・ソロ作品が単なる分裂した『個』ではなく、屹立する『孤』の共同体として機能する時代が到来したのである。かつては忌み嫌われた孤独が、創造性の泉として賞賛されるべきものへと向かいつつある2015年6月9日午前0時20分現在、NYハードコアジャズ・シーンから発信されたソロ作品を吟味することで、孤立とはひとりぼっちではない、という真理が詳らかにされるに違いない。

●パスカル・ニゲンケンペル Pascal Niggenkemper(b)


ドイツ生まれ、ブルックリン在住のベーシスト、パスカル・ニゲンケンペルのソロ・アルバム。リーダー(Vision 7)、コラボレーション(PascAli)、そしてサイドマン(ハリス・アイゼンシュタットのゴールデン・ステーツ、ネイト・ウーリー=デイヴ・レンピス・カルテット)のいずれに於いても才能を現してきた。『ルック・ウィズ・ザイン・イアーズ(汝の耳で見よ)』は彼の初めてのソロ・アルバムであり、ベースの音響的可能性を拡大する試みである。しかしそこに留まりはしない。ニゲンケンペルは鋭い音楽センスを持つ熟練したプレイヤーであり、あらゆるベース奏法テクニックを駆使して深遠なサウンドスケープを創造し、ベテラン・リスナーをも驚かすのである。常に多層的で、複雑で、角張って、鋭利なこのアルバムは、演奏に使われる素材の幅広さだけでも、リスナーに対する挑戦といえる。各曲が全く新しい方向を持ち、ガラガラしたメタリックな摩擦音の芳醇な弓弾きから、一つの楽器から出ているとは信じ難いほど逞しく凶暴なロック・リフまで、無限の幅を持つ。このレコードは、革新的ベースの次世代の展望に興味を持つ人すべてにアピールするだろう。

『ルック・ウィズ・ザイン・イアーズ Look with Thine Ears』 (Clean Feed)



公式サイト


●マイク・プライド Mike Pride(ds)


夢想家のドラマー、マイク・プライド 初のソロ・アルバム。厚く列を成すドラム類を縦横無尽に奏でる驚異的な才能、またはプライドが自ら記しているように「大量のパーカッションへの強迫観念」を露わにしている。スタジオで無限と思える長時間を孤独なレコーディングに費やし、生まれた60曲を越えるトラックの中から18曲をアルバム用に選んだ。スロヴァニアの前衛パンク音楽家ドゥシャン・ヘドゥルとの共演にインスパイアされ、プライドは聴き手がソロ・ドラム・レコードから想像する先入観を覆す、美学的に美味しい即興演奏を味わえるサウンドを制作した。

『リスニング・パ-ティ(Listening Party)』(Akord Records)





●アンドリュー・ドゥルーリー Andrew Drury(ds)


アンドリュー・ドゥルーリーの『ザ・ドラム』というシンプルなタイトルのレコード。全編フロア・タムだけで演奏された、より語彙構築的なアルバムである。様々なオブジェ、例えば木片や金属塊、ブラシや電動ドリルなどを駆使して、あたかもドラムを愛撫し虐めるように音響を鳴らし続ける執拗さは、ドラムと同じ視線で対峙する『孤』対『孤』の鬩ぎ合いである。マイク・プライドに比べて多様性は少ないが、それゆえドゥルーリーは我々の感覚の可能性を拡大する。

『ザ・ドラム The Drum』 (Soup & Sound Recordings)



試聴サイト


●クリス・ピッツイオコス Chris Pitsiokos(alto sax)


NYハードコアジャズ界の風雲児、アルトサックス奏者クリス・ピッツイオコス。2012年春ブルックリンの音楽シーンに登場して丸3年、20代半ばの若き獅子は順調に活動の幅を広げ、リリース作も4作を数える。自己のトリオ、クリス・ピッツイオコス・トリオ(マックス・ジョンソン b、ケヴィン・シェイ ds)のデビュー作『Gordiane Twine』のリリースを7月10日に控えたピッツイオコスが、配信のみで発表したソロ・アルバム。『忘却/恍惚』と題した本作は6つのトラックからなる。2014年6月に一発録音された音源を全く編集加工なしで収録。高周波のフリークトーン、気配のみの無音演奏や、息継ぎなしのミニマル音響、ラストはサックスではなく爆音フィードバックノイズ。"サックスを支配するのでは無く、サックス自身が鳴りたがる音を導きだす”と自らの演奏姿勢を表現するピッツイオコスの『孤』性を明らかにする孤高作。6曲のタイトルを並べると「Ecstasy is the thread between order and oblivion. I spin it.(エクスタシーは秩序と忘却の間を結ぶ糸である。私はそれを紡ぐ)」。ピッツイオコスのアルトはエクスタシーへの導きなのだ。

『オブリビオン/エクスタシー Oblivion/Ecstasy』



試聴/ダウンロードサイト

独りでも
みんながいるし
仲間だもん

▼メガネ女子ギタリスト、メアリー・ハルヴァーソンも今秋ソロ・アルバムをリリース予定。

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MAGMA(マグマ)@渋谷TSUTAYA O-EAST 2015.6.5(fri)

2015年06月07日 01時06分07秒 | 素晴らしき変態音楽


THE ENDLESS TOUR IN JAPAN 2015
MAGMA




2010年、奇跡のフジロック出演から5年。結成45周年を経てマグマ来日決定!

1969年、巨匠クリスチャン・ヴァンデを中心に結成されたマグマ。コバイア神話の世界を圧倒的な演奏力と壮大なイマジネーションによって作り上げた芸術性は各界から高い評価を得ている。結成45周年を迎えた2014年には『リア・サヒルターク~孤高のコバイア人の末路~』をリリースしその健在ぶりをアピール。そして今年になって『シュラグ・タンズ~鞭打ちの舞踏曲~』を間髪入れずにリリースし天井知らずの才能を見せつけた。
5年振りとなる来日公演はこの2作品によって裏付けられたその高いパフォーマンスと45年というキャリアを通して再現してくれることだろう。闇と静粛の中に怒涛のごとく押し寄せる幾重ものリズムと崇高なボーカリゼーションはプログレッシブ・ロック・ファンのみならずジャズ・ファンにとっても必見のステージとなるにちがいない。

マグマ (フランス)
MEMBER
Stella Vander – vocals
Isabelle Feuillebois – vocals
Hervé Aknin – vocals
Benoît Alziary – vibraphone
James Mac Gaw – guitar
Jérémie Ternoy – keyboards
Philippe Bussonnet – bass
Christian Vander – drums



筆者のプログレ遍歴の始まりは、中2の頃フィルム・コンサートでリッチー・ブラックモアのギター破壊を観てあまりの残虐さにショックを受け「もう二度とロックなんて聴くもんか」と決意して、ジョニー・ウィンターかマーシャル・タッカー・バンドを買うつもりで貯めたこづかいで代わりに購入した冨田勲『火の鳥』だった。クラシックだと思って聴いたら、幻想的な現代曲とシンセサイザーの未来的・宇宙的なサウンドに魅了され、続く『惑星』にも心酔した。同じ頃渋谷陽一のラジオ番組でジェネシスを聴いて、冨田勲に通じるものを感じ、再びロックを聴きはじめた。



中3でパンクにハマると、それ以前の旧体然としたロックは聴かなくなったが、セックス・ピストルズが解散して、ジョニー・ロットンがジョン・ライドンになり、パブリック・イメージ・リミテッドがデビューしポストパンクが台頭した79年頃には、そのルーツとしてアングラロックや異端派バンドに光が当てられるようになり、ジョン・ライドンが影響を受けたバンドとしてCANと共に名前が挙がったのがフランスのマグマだった。



同じ頃キング・レコードのヨーロピアン・ロック・コレクションがスタートし、入手が難しかったヨーロッパの知られざるプログレ作品が安く手に入るようになった。シンフォニック系のバンドには余り興味を惹かれなかったが、マウロ・パガーニやアレア、ラ・デュッセルドルフなど個性的なバンドは面白かった。そのシリーズの第4回でマグマのリーダー、クリスチャン・ヴァンデ(ール)『トリスタンとイゾルデ』が発売された。コバイア語のチャント(合唱)の迫力は、『Fool's Mate』の記事で読んで想像していた通りの異世界だった。それと共に脅迫するようなピアノの連打に圧倒された。


(ライヴ写真はTwitterで拾ったものです。以下同)

他のアルバムは高価で手が出なかったので、90年代にCD化されるまで『トリスタン~』こそが唯一聴けるマグマの音源だった。だから『呪われた地球人たちへ』『コンタルコス』など全盛期のアルバムをCDで聴いた時には管楽器やキーボードのジャズっぽいサウンドに軽い違和感を覚えたものである。T.美川のようにコバイア語を鼻歌で歌える程ではないが、筆者にとって『トリスタン~』の歌は記憶に染み付いている。数年前に吉田達也のソロピアノ演奏を聴いたとき、強烈に『トリスタン~』がフラッシュバックした。



90年代からもう何度も来日しているらしいがマグマの来日公演を観るのは初めて。数年前のユニヴェル・ゼロやイタリアン・ロック・フェスティバルのように、白髪も目立つ男子90%の現場を予想していたら、思いの外若く、女子の姿も目立つソールドアウトのO-Eastは、BGMが暗くて重いSUNN O)))だったにも関わらず、WKTK感漂う和やかなムード。見知った顔もチラホラし、あちこちでプログレヲタ話が咲いている。隣の席の二十代半ばの女子二人組は音大出身らしく、教師や同級生の音楽活動の話題で持ち切り。それによれば三浦君が今年のフジロックに出るらしい。



開演時間とおりにステージに現れたメンバーは黒地にマグマ印Tシャツを着て、70年代当時の魔界的なオーラは殆ど無い。それでもフロントに立つ金髪のステラ・ヴァンデと赤毛のイザベルの風雅な佇まいは、渋谷のラブホ街をパリ郊外の没落貴族の館へワープさせる波動を放っていた。肝心のクリスチャン・ヴァンデはキーボード奏者の陰になってあまり見えないが、頭髪こそ寂しくなったものの『トリスタン~』のジャケットの鋭い目つきは健在だった。アンコールを含め20分前後の長大な曲を4曲立て続けに演奏、情動的な3声のコーラスと変拍子プレイが交互に飛び交う「これぞプログレ」曲展開は、あらゆる煩悩を祓って魂を浄化する異星人の鎮魂祭に相応しかった。



<Set List>
1. Köhntarkösz
2. Slag Tanz
3. Mekanïk Destruktïw Kommandöh
4. Zombies (Encore)

ゴング逝き
マグマは生きてる
エルドンは?

▼来日キボンヌ!プラスティック・ピープル・オブ・ザ・ユニヴァース(チェコ共和国)




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【ピアノの羽根運動】ロバート・グラスパー/ブッゲ・ヴェッセルトフト/レオン・ミッチェナー

2015年06月05日 00時36分45秒 | こんな音楽も聴くんです


錆びた鍵盤は小鳥も喰わない、という諺は無いが、赤褐色の粉塵が表面を覆った64鍵には鳥じゃなくても触れたくはなかろう。筆者にとってもピアノとは唾棄する程ではないが尽く敬遠すべき関係を築いてきたかのも知らない。実際ピアニストで誰が好き?と聴かれても即答出来ない体たらくぶりである。時を同じくしてリリースされる異端ピアニスト三名のオーラは富士山頂に於かれてもオトナと子供に準えられる。「私はピアノ」と有り得ない妄言を人に吐かせるほどの魔性ぶりが横浜開港祭で完全スルーされた事実こそ。即興音楽に於ける機能主義・演繹法的問題解決の為の序章と言わずして何ぞや!

●ロバート・グラスパー『カヴァード』


R&Bヒップホップに接近しすぎてすっかり「あっち側の人」のレッテルを貼られてしまった。グラミー賞の話題も日本では全くと言っていい程萌え上がること無く沈下した。油断してた所にポッと現れたピアノ・トリオ作。元々鍵盤楽器には思い入れが無いので、誰とでも何処ででも自由にスワッピングOK。新世代のキラメキは薄いが、ポストロック風ピアノトリオがオフィスに流れていても仕事の妨げにはならない。




●ブッゲ・ヴェッセルトフト&フレンズ『プレイ・イット』


21世紀になりたての世界キュンにおはよう!と未来派ジャズ野郎が溢れ出したオーロラ國ノルウェー版ディズニーランド(USO)『ジャズランド』の総元締ブッゲと欧州の友人たちとの交歓プロジェクト。二回来日しているが観ていない。エレクトロ風味が減退したアコースティック・クロスオーヴァー感は、ジャズ即興よりもコンセプチュアル自由交響楽に活路を見出し跋扈する。




●レオン・ミッチェナー『クラヴィコン』


UKノンクラシカル派ピアニストの正式デビューアルバム。ジョン・ケージにヒントを得たプリペアドピアノを追求し続けて25年、最早初志貫徹などと形容するのは無意味の極致(アクメ)。悪魔払いのように踊る洋風キン肉マン・フィギュアを観ていると、真面目に音楽だけやる気にはなり得ない。玩具箱をピアノの中にぶちまけて、全裸待機で掻き乱すのがオーロラ世代。


NONCLASSICAL公式サイト

ピアのマン
マンピアのママ
ママあルカ



[2015/6/5 23:45追記]
注:このブログは何度も寝落ちしかけながら朦朧とした頭で書き綴ったものです。翌朝読み直したら、我ながら支離滅裂な文章で、論評は愚か感想文にもなっていませんが、夢遊病状態、またはNatural Altered Statesの思考体が産んだ夢日記のサンプルとして、手を加えずに残しておくことにします。薬物なしのトリップは時に人智を超えた真実を暴き出すのかもしれませんね。
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【7吋の淫靡な塩ビ】連続射殺魔/JUNGLE'S/マリ千鶴/COMMUNE/Onna/ゾンビーズ/分裂

2015年06月04日 02時03分25秒 | 素晴らしき変態音楽


7インチというサイズは地下茎にも雌蕊にも誠に理想的である。片手で掴めて楽チンだし、5インチの銀盤よりも黒光りして逞しい。ブッとい低音のスロッビング・グリッスルの如き振動に男も女もウェットりすること間違いない。ターンテーブルに挿入し易い穴の空いたドーナツ盤だと尚更そそる。俺のニードル(針)が貴女の淋しい心の襞のスリット(隙間)を引っ掻くフリクション(摩擦)で、ホットな塩ビ盤の淫靡のアクメ(極致)をお届けしよう。

●Onna『コルティジアーナ ダル ベーロ/胸をつつんで』(1983 Cupid & Psyche Records)


エロティシズムを描きつづける伝説にして孤高の漫画家、宮西計三のバンド。ジャケット通りのアングラなエロスに満ちた禍々しさが皮膚にじっとり滲み込む。2007年にアルバム『片羽 katawa』をリリース。ダンサーの薔薇絵と共に活動している模様。


公式サイト 

●マリ千鶴『母の海/1/10の魂/魔女りか』(1982 CH-102)


マリ千鶴は80年代初頭の現役ストリッパー。日本的な呪いや祈りを踊りで表現した独特の芸風だったという。音だけ聴くとオンナの色気は皆無。ロリータ以前の童女の歌声は、日本昔話の挿入歌のようで立たず。
映画遁世日記:マリ千鶴「ザ・ストリッパー 堕ちて藍」(1980)

●連続射殺魔『愛して欲しい/G線上のアリア』(1980 HIP Records)


70年代半ばに早熟な高校生ギタリストとして話題になったサウスポーの和田哲郎のバンド。ジミヘンばりのファズギターは70年代ヘヴィサイケを引き摺り続ける。80年台半ばから女装し琴桃川凛として多数のソノシートをリリース。



●ゾンビーズ『ファイナル・ソング/幻想曲』(1982 rough minds records)


素性は明らかではないが、工藤冬里がゲスト参加しているのでその筋では有名なレコード。ジャケットを80年代地下音楽の代表的イラスト画家、霜田誠二が描いている。工藤の参加も納得の陰鬱なロックソングはとてもいい。

●分裂『哀愁のチェルノブイリ/白い工場 無職の煤煙/安全な核兵器と同居しよう』(1988 テレグラフレコード)


ロック喫茶「夢音」を中心にした横浜サイケデリック・シーンのひとつ。高橋ヨーカイ、時岡秀夫(sax)など吉野大作&プロスティテュートのメンバーも参加。原発事故をテーマにした3曲目は2013年にEP-4がライヴでカヴァーした。

●COMMUNE『WILL/I CAN'T BELIEVE』(1983 AUTONOMY)


元アーント・サリーのリズム隊が結成したファンク・ロック・トリオ。ファンクといってもギャング・オブ・フォーやリップ・リグ&パニックの影響の濃い硬派なビートと政治的な歌詞はポストパンクの香りがプンプン。

●JUNGLE'S『BREAK BOTTLE/COUNTRIES/JUNGLE BEAT』(1981 CITY ROCKER)


SEX~SYZE~SPEED~4PMと日本のパンクの聡明期を渡り歩いてきた川田良(g)が80年に結成したロック・トリオ。これぞ東京ロッカーズ!と言った感じのシャープでキレキレのギターがカッコいい。82年にヴォーカルを加え普通のR&Rバンドになった。解散後、川田はフールズに参加。



ナナインチ
八十八ヵ所
九十九姫

●でんぱ組.inc『おつかれサマー/続PUNCH LINE!』(2015 Toy's Factory)


えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 2時間2時間前
わああああ6/17発売のNew Single「おつかれサマー!」のMusic VideoがとうとうYouTubeに公開されました!観てねヽ(*´∀`*)ノ!!!☆

最高にインビなヤツキタキタキタキタ━━━(゜∀゜≡(゜∀゜≡(゜∀゜≡(゜∀゜)≡゜∀゜)≡゜∀゜)≡゜∀゜)━━━━!!!!!!!!









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