グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

引き返す決断

2009年10月16日 | 歴史・文化
 秋らしい過ごしやすい気候になってきました。外で仕事をしていたら日中は暑いくらいでした。モズやヒヨドリが賑やかに鳴いています。

 夕日がキレイそうでしたので、仕事を急いで片付けて海岸に撮影に行こうとしましたが、間に合いませんでした。残念!

 それで、また前に撮った写真でご勘弁頂きます。波浮の港(はぶのみなと)を北側から南の湾口を撮りました。ここは1800年に開港したといいますから、来年で開港210年になります。東側(写真左手)に灯台のある竜王崎があります。その周辺は、鉄砲場の遺跡として地域の方々によって整備され、静かで雰囲気のある場所になっています。

 10年程前になるでしょうか。対岸のトウシキ園地(えんち:公園)辺りから、この竜王崎に橋を架ける計画がありました。計画の妥当性・必要性がないことが分かり、都議会で中止の決断がされたようです。今、鉄砲場遺跡を歩くとその決断で良かったと思います。橋梁の基礎になる場所として三ツ磯が埋め立てられたのは残念でしたが!

 今月1日に、広島地方裁判所で、鞆の浦(とものうら)の埋め立て・架橋計画を「景観は公益だ」として認めないという判決がありました。「鞆の浦の景観は美しいだけでなく、歴史的、文化的価値を有するものであり・・・景観利益は保護に値する」「国民の財産ともいうべき公益だ」というのが、埋め立てを許可してはならないという地裁判決の一文です。日本の司法はまだまだ遅れていると言われていますが、環境保護の訴えが通ったことを喜びたいと思います。

 同じ様な問題に取り組んでいる方たちの励みになるはずです。今までは、工事の免許がおりてから差し止めをいわざるを得なかったので、実質的に環境を保全することができませんでした。2005年に法改正され、執行前に訴訟が提起できるようになったので、実効性がでたわけです。システムにも問題があったわけです。公共土木事業の計画見直し・中止の決断がされるようになったのは、裁判官の理解が進んだこともあるでしょうが、私たち一般市民の環境に対する意識の変化が最大の要因だと思います。

 昨日、県や市が控訴したそうなので、2審判決にも期待しましょう。

 ツアーでも、時に計画変更や引き返す決断が大切ですね。

(なるせ) 
コメント
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