グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

炭焼き

2009年10月30日 | 歴史・文化
 干物を炭火で焼いて食べて美味しかった、と誰かが2~3日前に書いてましたね。島の近海でサンマが捕れる時季は、まだ先ですが、三陸辺りのサンマが安くて美味しい季節になりました。三遊亭円楽さんの訃報のニュース番組で、「目黒のさんま」の一場面が写っていて懐かしかったです。好きな落語家でした。淋しくなりますね。

 今日も気が付くと撮影に出掛ける時間がなくなっていて焦りました(汗)。それで、ご近所の炭焼き窯(がま)を撮らせて頂いて、木炭の話などを少し。

 大島では、こうして現在でも、庭や畑の片隅や、里山の防風林の陰などに炭焼き窯が使われています。炭焼きだけを専門に仕事にされている方は、ほとんどいらっしゃらないと思いますが、農漁業や他の仕事の合間に木炭を作っている方が多いようです。椿の木の炭は最高級ですし、椿以外のイボタやサクラやハンノキなど雑木の炭も作ります。何度か手伝ったことがありますが、口の狭い窯の中へ丸太を運び入れたり、出来た炭を出す作業は、とても大変でした。農協や燃料店を通じて販売しますし、自家用にもよく使われています。

 今は観光関連が大島の主要な産業となっていますが、昭和の初めの頃までは、薪(まき)や木炭が島の主要産品として東京方面へ移出されていたそうです。明治・大正の時代は、山形県から冬場の出稼ぎとして炭焼きに来る方が多く、技術も高く良い炭を沢山作ったそうです。そのまま、島に定住された方も少なくないようです。

 昔の話ですが、村有林を何人かの元締めが入札して払い下げを受け、元締めは炭焼きの職人を数人抱えていて焼かせました。材料を伐る作業は「切り子」という専門職が担当するといった具合に分業されていたようです。大島には、人の手の加わった二次林が多いのですが、それは温暖多雨で樹木の成長が早い風土を生かして循環型の燃料生産を行なって来た証しとも言えそうです。

 島ではクサヤやサンマを焼く七輪だけでなく、今も囲炉裏(いろり)や火鉢を愛用されているお宅もあり、木炭を作り使う文化はきっと継承されていくことでしょう。

 ホームセンターなどの安売り木炭は、原木が熱帯林やマングローブの木材だったりするようです。バーべキューに使う炭も、ぜひ国内産の木炭をお求め下さい! 伊豆大島椿炭をどうぞよろしく!!

(なるせ) 


コメント (2)
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