大島のジオサイトの一つ“地層切断面”は、1953年、道路建設工事中に偶然発見された高さ30m、
長さ600mの美しい地層で、海外の火山研究者にも広く知られているそうです。
100~200年毎の大噴火で降り積もった火山礫や灰が約100層重なり、
見事な模様を作っています。
島の中での通称は「バームクーヘン」
約1万年~1万5千年分の噴火の歴史をここで見ることができます。
この地層は周囲からの圧力で歪んでできたのではなく、
もとからあった地形の上に、噴火で降り積もった火山礫や灰が積み重なってできています。
噴火の最初はパワーがあって、スコリアなどの火山礫を降り積もらせ、
その後に火山灰を降らせ、噴火活動の休止期には土ができる、というのが1セットです。
土の層には植物が生えているのでわかりやすいです。
こうやって見ると、層の厚さは様々です。
そしてそれぞれの厚さが島の噴火の歴史を語っています。
スコリアが厚ければ、当時ずいぶん長く大きな噴火が続いていたのでしょうし、
土の層が厚い時は火山の休止期が長かったのでしょう。
ところでここの地層、パッと見たところ綺麗な層になっているようですが
実はちょっとズレたような、おかしな模様のところが何か所かあります。
このおかしな模様を“不整合”と言います。
なんでこんな事が起きたのでしょう?
「地滑り?」
不思議に思って専門家の方に聞いてみました。
“やぎさん”こと“川なべさん”からいただいたメールによると、
不整合については、実はまだ良くわかっていないのだそうです。
ただ全体に渡ってほぼ同じ時期に不整合になっていることから、
気候や噴火によって侵食されやすい条件が重なったか、
何かの事件が起きたのだろうと言われているようです
(たとえば、直前に細い火山灰が厚く降り積もり水が地下に浸透しにくくなった時期と
雨が多かった時期が重なり、斜面(谷?)が削られた…等も考えられるようです。)
私が推理した地滑り説については、
「地震や大雨による地すべりの可能性もありますが,地すべりにしては不整合の形が変なので,
あまり可能性は高くないかも。」という回答をいただきました(^_^;)
ところでこの地層切断面の右端の上には、他とかなり雰囲気の違う黒い塊があります。
これは噴火で降り積もった火山礫や灰ではなく、火口から斜面を流れ下ってきた溶岩流です。
こんな場所まで溶岩を流した時代は、一体いつ頃なのでしょうか?
川なべさんによると「上下の年代からおよそ3000年くらい前」が考えられるのだそうです。
私の予想よりかなり昔でビックリしました!
そしてさらに地層切断面では、他にも何本かの溶岩流が観察できるそうです。
「大切断面には,西の端(2500年くらい前?),谷埋め溶岩流(2700年前?),
東の端に2枚(上が前述のもの、下が7000年くらい前)溶岩があります。」
そんなにたくさん溶岩流が観察できるとは、実は知りませんでした。(^_^;)
今までは地層切断面を見に行っても、どちらかの端で車を降りて眺めるだけでしたが、
これは歩いてジックリ観察しないと、もったいないように思えてきました。
噴火の度に、地球の内部で作られた熱いマグマを吹き出しながら、少しずつ島を高く大きくしてきた大島火山。
近いうちに、島を形作った火山の物語に思いを馳せながらゆっくり歩いて、
大島の宝物のような地層を楽しみたいと考えています。
(カナ)
でも、人の一生はこの一層の何分の一なのですね。これだけあっても1万年分以下。100万年とか1億年というのは、とてつもない長さなのだと・・・。この地層を見ながら、コンビニのバウムクーヘンで、水割りちびちびやりながら物想いにふけると、泣けちゃいそうです。
「(ご)ちそう」と「バウムクーヘン」。すごいひらめきですね。脱帽です!!
この地層の中にさえ、どれほどの生き物たちの(人間も含めて)歴史が刻まれているのかと思うと、それだけでも胸をうたれますよね…。
しかし、バウムクーヘンで水割りとは…もしや片岡さんは甘党ですか?(*^_^*)
いつか本物の地層の前で、ミニボトルとバウムクーヘンで時を過ごせたら素敵ですね。機会がありましたら、是非お訪ねくださいね。