グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

シマタヌキランが彩る春景色

2010年04月22日 | 植物
今日は冬に逆戻りしたかのような冷たい雨ですが、一昨日は山に行って春を楽しんで来ました。

これは一昨日撮影した、私の大好きな春の山。

雨の後には“幻の湖”が現れる、三原山の西側斜面の風景です。

山を彩るモザイク模様の赤は固有種のイタドリ、緑はやはり固有種のシマタヌキランです。

昨年の4月の日記にも登場したシマタヌキランは、その姿がタヌキの尻尾に見える事から
「タヌキ」という名前がついたと言われています。

一番の花盛りに訪れる事ができれば、本当に
“見渡す限りタヌキの尻尾!!”という風景を見ることができます。

今回は花の最盛期を過ぎていたのと、数日おきの雨と寒さの影響か、
何だかションボリしたものも多くて、少し残念でしたが、
それでも今年もシマタヌキランの花を堪能できて、満足でした。

ところで、ゴワゴワの毛だらけで「どこが花なの?」という風貌のシマタヌキランですが、
高倍率の虫眼鏡で見ると雄花と雌花を観察できます。

①は雄花、②は雌花です。


①の部分を高倍率で見るとこんな感じです。(ただし毛?をかき分けないといけませんが・笑)

まだ花粉が詰まった綺麗な袋(葯)が残っているものもありますが、
ほとんどの物は中身が出てしまってシワシワになっています。

袋には細い糸みたいなものがついていますが、これは袋を支えていた花糸でしょうか?
もういらなくなった袋を糸をほどいて風に飛ばし、処分しようとしているように見えます。

②の部分を高倍率で見るとこんな風に見えます。

長く伸びためしべ先端に粉っぽいものがついています。たぶん花粉だと思います。
めしべの根元の緑色の部分が、これから種になっていくはずです。

風が受粉を手伝ってくれる植物は、目立つ色や香りで虫や鳥を呼ぶ必要が無いため、
“花”というイメージとは程遠い、地味なものが多いです。

でも細かくその仕組みを観察してみると、どれもがきちんと子孫を残すための役割を
はたしていることがわかって、虫メガネをのぞく度に感心します。

同じカヤツリグサ科のオオシマカンスゲが森の中や草の陰など、
風が直接当たらない、十分な栄養を含んだ土の上で生きているのと対照的に、
シマタヌキランは裏砂漠やカルデラ周辺の、強風と貧栄養という悪条件のもとで、
元気に生きています。

4月になっても雪が降るという今年の異常な天候の中で堂々と緑の葉を伸ばし、
フサフサの茶色い花をつけたシマタヌキランの、この凛とした姿をご覧ください。


私はいつも春になるとこの場所を訪ねて、“見渡す限りのタヌキの尻尾”に囲まれるのを
とても楽しみにしています。

(カナ)
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お元気になられて、良かったです! (カナ)
2010-04-22 21:59:10
やぶ椿さん、こんばんは!

病状が快方に向かわれているとのこと。
本当に良かったです。

ところでやぶ椿さんの「自然の営みは切なくたくましい。」というコメント、まったくその通りだと思います。
すべての生き物たちが、常に変化するはかなさと、美しさと、力強さをあわせもっていて、知れば知るほど魅了されるばかりです。

いつの日かフィールドで一緒に感動を探すことができますように。

掲示板投稿もありがとうございました。
鵜の会話が本当に聞こえたような気がしました。
http://9214.teacup.com/gscriku1966/bbs

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楽しいですね (やぶ椿)
2010-04-22 20:17:08
カナさん、こんばんは!

雑草だなと通りすぎる草にも色々な名前があって面白いですね。
みんなそんな中でしぶとく生きているのですね。
自然の営み、切なくそしてたくましいですね。

私事ですが、ゆっくり病状も快方に向かって写真機を持ち出し歩き始め事もできるようになりました。
BBSに最近画像を。
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