グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

磯の貝達9

2009年09月02日 | 植物
先日、大島に台風が来ました。北東の風が強く吹き
海も陸も大荒れの天気になりました。
落ち着いてから波の様子を見に行ってみると、近くに寄るのも怖い位の大きな波が海岸に打ち寄せていました。

こんな海を見る度に浅場の生き物は、この自然の猛威をどうやってやり過ごしているのか不思議になります。
岩肌に張り付いている貝ならそれも可能なのかも知れませんね。

今日、話題にする貝はそんな台風のお陰で数を増やす事が出来る貝です。
島で「トコブシ」と呼ばれている貝です。
漁業の対象種としても非常に重要な貝です。
形はアワビに非常によく似ています。見分けるには殻の表面にある呼水孔と呼ばれる穴の数を見ると分かりやすいです。
アワビなら3~4個 トコブシなら7~8個です。
「トコブシ」「トコブシ」と書いていますが、大島で見られる「トコブシ」は正確には「フクトコブシ」と呼ばれる種類で
殻の表面は平滑で中心が膨れます。

このフクトコブシが何故、台風に寄って数が増えるのか?
それは、先に書いた大波に関係があります。
大きな波は岸近くの岩を大きく転がします。凄い時には軽自動車位のサイズの岩は引っくり返ります。
この岩が転がる事により、フクトコブシの住処が増えるのです。
トコブシを含めるミミガイ科の貝は岩の下に隠れて棲んでいます。
台風が来なくなり、海が荒れないとその岩の隙間に砂が詰まり、住処が無くなってしまうそうです。

自然の力で岩が転がる事により、より数多くのトコブシが数を増やせます。
何百年・何千年と続いてきた自然のサイクルの中で、この様な摂理が生まれて来ているというのは実に面白い話です。
人間が我侭に任せて、自然を狂わしてしまうと、この様な何の罪も無い貝にまで影響が出て来る訳です。
そのツケは必ず人間に帰って来るでしょう。
今からでも遅くありません、自然に積極的に触れその大切さを再認識してみるのはいかがでしょうか??
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