浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

現実から学ぶということ

2011-06-30 22:28:02 | 日記
 入院している私の友人は、今しゃべることができない。こちらの言うことは理解できるのだが、自分からの意思伝達はできない。こちらの言うことに、首を動かして応答するだけだ。

 私は何とか意思の伝達ができるように、あいうえおの50音の表を作成した。昨日それを持って行ったら、小さすぎて読めないという。目にも何らかの障害があるようだ。昨日どのくらいの字の大きさならわかるか試してみて、ほぼ5㎝四方のマスにいっぱいに書かれた字なら読めるということがわかり、それを今日は持参した。しかしまだ指が自由に動かせない。表に書かれた字を指すことができないのだ。これは彼にリハビリで頑張ってもらうしかない。

 そこで今度は、文をいくつか用意しようと思っている。たとえば「喉が渇いた」など。彼が必要とする文を書いたものを用意していく、そうづればそれらをいくつか組み合わせて、コミュニケーションがとれるようになる。

 現実を前にして、その現実をどうすれば一歩前にすすめることができるか、少しでも改善できるかを考えて対応していく。それが必要だ。

 ところが日本のエネルギー政策は、行き当たりばったりで、何の先見性、哲学もない。現実から何も学ばない。

 ドイツは学んでいる。

 次の記事は、共同通信配信の記事だ。

独下院、脱原発法案を可決 22年末までに全17基閉鎖

2011年6月30日 21時06分

【ベルリン共同】ドイツ連邦議会(下院)は30日、2022年末までに国内の原発17基を全て閉鎖することを盛り込んだ改正原子力法案を、与党と大半の野党の賛成で可決した。既に連邦参議院(上院)を構成する各州代表の大半も脱原発を支持しており、同国は脱原発に向け本格的に動きだす。

 メルケル政権は昨秋に原発稼働期間の延長を決定したばかりで、福島第1原発事故を受けてエネルギー政策を百八十度転換。フランスや米国などは原発推進路線を堅持しているが、メルケル首相は議会で「福島での事故により原子力の役割を見直す必要があった」と説明した。


 しかし日本は。

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-942a.html

 日本の場合は、単にエネルギー政策のレベルでの話ではなく、政・官・財・学・メディアの相互依存的な利権構造がぐるぐるに原発を取り巻いている。日本の現実を変えるということは、とてつもなく大変なことだ。

 だいたいにして、学校教育から批判的な精神を奪っておいて、「上」の指示に素直に従う人間ばかりを育成してきたので、現実を直視し、思想や哲学をもって考え行動する人間が少なすぎるのである。

 今日『大震災のなかで 私たちは何をすべきか』(岩波新書)が届けられた。まだ内橋さん、大江さんの文しか読んでいないけれど、豊かな問題意識のもと、ヒューマニズム精神、批判精神を背景にした格調高い文は、いろいろ考えさせられる。今こそ、この大震災、あるいは原発事故という現実から、何を学ぶか、若者にとっての大きな課題である。





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武田教授のブログ

2011-06-30 17:17:04 | 日記
 中部大学・武田教授のブログは、必読である。29日のブログも、その通り!!と言いたい内容である。そのままコピーさせていただくが、是非武田教授のブログにアクセスを。

節電」は本当に必要なのか?(1)  電気代はなぜ高い?


この夏は電気が足りないと言う。

でも、どうもうさんくさい.一説では

「原発を再開したいから、電気が足りないと脅しているだけだ。寝苦しい夜を過ごさせて原発賛成にするためのあくどい宣伝だ」

とも言われる.

東京電力は日本の代表的な企業だから、本当はこんなことを言われるようなダメ企業では困るのだが、なにしろ

「東電はウソを言う企業だ」

というのは、原発事故以来、常識になっているので仕方が無い。

そして、福島原発事故の直後、東京電力が「計画停電」というのをやり、大きな影響がでた。

電気機器をつかって患者さんの命を守っている病院や、1度とめたら製品がダメになってしまう工場などはビリビリしていたものだ。
・・・・・・
明らかにおかしい.

東京電力がもっている発電の能力は、6300万キロワット。

これに対して計画停電が実施された3月14日の電力消費量は、たった2800万キロワットだった???

それで「足りない」??? ???
・・・・・・

何かを製造する「製造業」では、設備をどのぐらい使うかという「稼働率」は、収益の死命を制するほど大切なもので、多くの会社は設備稼働率が80%にでもなると、経営はピンチになる.

ところが、

「原発事故で電気が足りなくなるので、計画停電をする。国民は協力しろ」

と東電が言った日の設備稼働率は、実に44%!!

さすが東電だ。これまで、営業成績が悪くなると、電気料金を上げれば良いという気楽な商売をしてきた。事実、日本の電気料金はほぼ世界一、アメリカの3倍とされる.

それでもお客さんから文句は来ない。もし文句を言えば「じゃ、電気を売らない」と言えば、それで良い。「やらせ番組を放送しているから、受信料を払わない」と言う視聴者を不払いで裁判に訴えるというNHKと同じ体質だ。
・・・・・・
稼働率が低い理由は、真夏の昼間に多くの人が「エアコン」を使う.かつてはこれに「高校野球」が加わってテレビを見るので、さらに電気が必要になる.

だから、半分しか使わない春の稼働率が44%になるのは仕方が無いというのが「東電の言い分」である。

もちろん、東電の言い分がウソだ。ウソをつく人というのは、

「原子炉が壊れているか?」

ということだけウソをつくのではない.

「原発事故が起こったから、電気が足りない」

というのも、

「日本は質の良い電気を供給しているから、電気代が高くなる」

というのも、全部、ウソなのである。

電気の蓄積方式(集中蓄積、分散蓄積)、発電方式(設備費と燃料費の関係)、電気機器会社とタイアップした電気の平準化システムなど、設備の稼働率を上げるためには、やることは山ほどあるけれど、このような「面倒な事」より

「たっぷりと発電所を作って、時々、動かしたらよい」

という方が楽だ。
・・・・・・
稼働率が下がり、経費が嵩むようになれば、電気代を上げればよい。簡単で誰にも文句を言われない。

それに対して、電気が足りなくなると、文句を言われる.

だから、発電所をたっぷり作って悠々と生活した方が良いと思うのはお公家さんの東電の経営者としては当然だからである.

電気会社のシステムが悪い。個別に「これもすればよい、あれもすればよい」と言っても、巧みに言い訳されて終わりだ。

こんなことは個別にいくら言っても、ケンカになるだけで電気代が安くなることはない。

でも、もし東電に競争相手が居たら、設備の稼働率はたちまち80%になり、電気代は半分になるだろう。

その点では技術も大切だが、安全を守り、電気代を安くするには、「電気を供給する社会的なシステムに競争原理を入れる」ことも重要であることが判る。

(平成23年6月29日 午前10時 執筆)

http://takedanet.com/2011/06/post_7073.html
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犯罪者

2011-06-30 07:31:57 | 日記
 東電などの株主総会で、原発推進政策に対する疑義や抗議がなされたという。当然のことだ。あのような被害が出たら、当然人間は二度と同じ過ちを繰り返さないために、原発を止めるはずだ。なぜなら、安全な原発なんてあり得ないからだ。


 しかし、海江田経産大臣は、原発推進政策の経済産業省の省益を背景に、佐賀玄海原発の再開を求めた。玄海原発の地元自治体も、危険から町民や周辺住民を守るという立場ではなく、カネを求めて再開に応じる姿勢を示した。日本人の近視眼的、今が良ければいい!!という姿勢の典型的な例である。

 ところで、東京電力は、なぜ刑事告発されないのであろうか。福島県などの住民、静岡県の茶農家、茨城県の漁業者などに健康被害を引き起こすような「毒」をまき散らしたのである。意図はないから故意とは言えないかもしれないが(危険性が指摘されていたにもかかわらず、安全措置を経済的理由から執らなかったから「未必の故意」にはなるかもしれん)、過失傷害などに問えるのではないか。

 人々に保障されている人権、生存権、職業・移転・居住の自由、財産権その他の人権が大きく損なわれたのである。損なったのは、明確で、東電やそれを推進してきた経産相・・・彼らの責任を厳しく追及しなければならない。

 日本人は、社会現象をあたかも自然現象であるかのように、人知ではどうにもならないとして受忍する傾向が強い。しかし社会現象は基本的に人為的なものである。人為的なことで被害が生じたのであるから、徹底的に責任を追及すべきである。行政責任、刑事責任、民事責任。

 責任追及が甘く、またとくに上級に対する責任追及がなされないために、日本の社会はよくならないのである。悲しいことに、日本は上級に対してではなく、下級に対する責任追及は厳しく行われるのだ。

 政府や官僚、そして大企業(マスメディアも入る)などの「上級」は、こうした責任追及の甘さを知っているから、彼らは平気で居直るのだ。

 この間の原発に関する、保安院や東電、原子力安全委員会などのしゃあしゃあとした態度を想起すればよい。情報を隠したり、ウソをついたり・・・・国民をバカにしているからできることなのだ。

 彼らの利益のために起こした事故により、なぜ何の関係もない私たちが放射能に汚染された食物を摂り、汚染された水を飲み、汚染された空気を吸わなければならないのか。

 許せない!という怒りを、持たなければならない。なぜなら彼らは「犯罪者」なのだ。


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