浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

景色に白がかかる

2012-07-26 21:18:41 | 日記
 近年の暑さのなかで、私は日向の景色に白がかかっているような気がしている。あまりに太陽からの強い光線が、戸外のなにもかもに突きささっている、それが白っぽくしているように思える。

 しかしその暑さの中、用事があれば出かけていかなければならない。午前中は、知人の家を訪問した。花の苗をもっていき、上がり込んで長時間話をしてしまった。

 昼食に帰った後、会合があったので参加した。30人ほどの人間が集まり、3つのグループに分かれて話し合いをするというのだ。

 私が参加したグループは、一つのテーマに集中できない。しばらく一つのテーマに沿って話していたが、その話に終止符が打たれていないのに、別の参加者が隣の人と勝手に別のことを話し始めてしまった。その後も、一つにまとまったり、あるいはばらばらになったり、それを繰り返して話し合いは終わった。一般の人々にとって、討論はなかなか難しいようだ。結論がでないまま、話し合ったという経験だけが残った。

 その後、私は実家の庭の除草作業を行った。もちろん汗まみれである。この時期になると、草は競争するかのように、刈られては伸び、刈られては伸び、を繰り返す。私は、その草の生長のスピードに追われながら、草を刈る。

 その間、またヤブ蚊との闘いが繰り広げられる。蚊取り線香を周囲に置き、煙に囲まれながら刈るのだが、その隙を狙って、ヤブ蚊が私の身体に突進してくる。

 このような夏が、これも繰り返される。暑さが増しているのに、この生活はずっと続いている。

 さて、私は『明石海人歌集』(岩波文庫)を購入し、まずその解説を読んだ。明石は、沼津出身の歌人である。しかし明石については、もうひとつ説明を加えなければならない。明石はハンセン病であった。

 私は、静岡県におけるハンセン病を、歴史的に考えようという決意をもっている。だが日々の雑事や、いろいろな頼まれ事などをこなしているからか、なかなかその決意を実行に移せないできた。

 今月岩波文庫から新刊として出版されたことを契機に、一歩を踏み出そうとしているのだが、解説を読んでいると、明石についても様々な文献があることがわかった。読んでないなあ、とみずからの不勉強を恥じる。

 この文庫の最初、「癩は天刑である。・・・・・・・人の世を脱れて人の世を知り、骨肉と離れて愛を信じ、明を失っては内にひらく青山白雲をも見た。癩はまた天啓であった。」は、私の目をその先に進ませない。癩=ハンセン病者は隔離され、また中には失明する人もいた。その境遇で、明石が発見したことの重さにたじろいでしまったのだ。

コメント
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