浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【映画】かぞくのくに

2012-10-17 19:55:32 | 日記
 ヤン・ヨンヒ監督の作品。

 重い、重いテーマを描いた映画だ。重苦しい雰囲気が、映画館のなかを包んでいた。笑いはない。

 大日本帝国の植民地支配は、民族差別を生み出した。植民地下においた朝鮮半島から、生活を破壊された人びとが日本に渡ってきた。そして日本で生活するようになった。

 1945年、日本の敗戦により植民地はなくなったが、民族差別はなくならなかった。在日朝鮮人は、朝鮮半島が南北に分断されたこともあり、差別にさらされながら日本に生きた。日本にいる在日朝鮮人の出身は、南部が多い。

 しかし朝鮮半島の南北分断により、北を支持する朝鮮総連と、韓国を支持する民団が組織され、対立抗争していた。差別と対立。

 そういう状況から逃れるために、あるいは「祖国」に貢献するために、多くの在日朝鮮人が北へ「帰還」していった。北は「楽土」だと宣伝された。また日本政府も在日朝鮮人の数を減らしたいために、その事業に乗った。帰国事業であった。帰国事業は、北政府と日本政府の合作でもあった。

 ところが北は「楽土」ではなかった。「凍土」であった。

 この映画の話は、帰国事業で「帰還」した「兄」が脳腫瘍の治療のために一時的に日本に帰ってきた。北への「帰還」は、朝鮮総連の幹部であった「父」の方針であった。「兄」は16歳で北へ行った。その「兄」が25年ぶりに帰って来たのだ。監視付きで・・

 日本に残っていた家族はとても喜んだ。ところが短期滞在では脳の手術は無理と医者に言われる。それどころか、北政府からすぐに帰国せよという「命令」がくる。「兄」は「帰還」していく。「凍土」へと。

 重い現実を描いているので、とても重い映画なのだ。

 北朝鮮は、ほんとうに変わって欲しいと思う。理不尽がまかり通る社会はあってはならないからだ。

 http://kazokunokuni.com/

 
コメント
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