浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

裸男

2013-01-27 10:29:19 | 日記
 針葉樹の緑も寒さに耐えるのが精一杯で、くすんだ色になっていた。落葉樹は寒風に枝をふるわせていた。道ばたの草も枯れ、生気は凍りついていた。

 山の中は、風の音だけが唸りをあげていた。ふとみると、裸の男が枯れ草の下から顔を出していた。これはたいへんだと、同乗の友人が携帯電話を出して警察に連絡を取ろうとした。ボクは男に声をかけた。

 「どうしたのですか」
 
 男は顔を上げてこちらを見て言った。「別に、ただ寝ているだけだ」

 「大丈夫ですか、車の中に入りませんか」
 「別にここでいい。俺はここにいたいからいるんだ」
 「そんなこと言わずに、そんなところにいたら死んでしまいますよ」
 「俺は死なない」

 そう答えてから裸男は、一気にしゃべり始めた。あまりの早口に、ボクはよく聞き取ることができなかった。

 「人間、生まれた時は裸・・・・・・・ずっと普通に生きてきた・・・・・・山の中に入り・・・・・自由・・・・・・生まれた時もひとり・・・・・・・・死んでいく・・・・・誰にも世話・・・・・結局・・・人間の世界は・・・・・・・」

 その饒舌に唖然としているとき、目が覚めた。裸男は消えた。

 寒さに耐えながら着替えをしてパソコンの前に座った。あるニュースが目に入った。

郵便局長会、参院選で自民回帰 民営化以来8年ぶり 2013年1月27日 02時19分

 2005年に当時の小泉純一郎首相の郵政民営化方針に反発して自民党支持から離反した「郵政」団体が、夏の参院選で8年ぶりに自民党支持に回帰する方針を固めたことが分かった。現在の全国郵便局長会(全特)で、比例代表での組織内候補の擁立も検討している。関係者が26日、明らかにした。今後の税制措置などを念頭に、与党に復帰した自民党との関係修復が必要と判断した。

 政権復帰に伴い業界団体の支持回帰が相次ぐ自民党にとって、さらに追い風となるのは確実だ。ただ組織内には、激しく対立した自民党への全面回帰に慎重論もあり、候補擁立まで踏み込まない可能性もある。


 小泉自民党・公明党が推し進めた郵政民営化は、中山間地域や過疎地域を切り捨て、郵便局で働く人たちを苦しめる悪政であった。だから私も反対したし、全国各地で小規模な郵便局を維持している全国郵便局長会も激しい反対運動を展開した。実際、郵便局が閉鎖され、中山間地域の困惑が伝えられてもいた。だが郵政民営化に反対した議員も自民党に復党し、今また郵便局長会も自民党に回帰する。問題は何も解決されていないにもかかわらず。

 そういえば裸男はこうも言っていた。「所詮人間なんて、目の前に・・・・・・利益だけをみながら生きてる・・・・」
 
 そうかもしれない。際限なくカネを求めて蠢く人間。そのために手段を選ばない人たち。そういうなかで、ボクたちはいつも試されている。




 
コメント
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